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ベンチャー企業「QRコード決済」に続々参入 「キャッシュレス後進国」日本で普及の起爆剤となるか

2018/08/06

 2次元バーコード「QRコード」によるスマートフォン決済をめぐり、ベンチャー企業が相次いで市場参入している。電子商取引(EC)大手、中国アリババ集団の決済サービス「支付宝(アリペイ)」の日本への本格進出がささやかれる中、ベンチャー各社は隙間的なニーズに特化したサービスで巻き返しを狙う。「キャッシュレス後進国」と揶揄(やゆ)される日本で、普及の起爆剤となるか注目される。

観客席の売り子が販売する飲料の代金を、QRコードで支払いできるサービスのイメージ。QRコード決済は煩わしい小銭のやり取りをなくすのに役立ちそうだ=仙台市の楽天生命パーク宮城(楽天提供)

 店舗購入時のキャッシュレス化に貢献できそうなのが、スマホによるカードレス決済サービス「atone(アトネ)」を運営するネットプロテクションズ(東京都中央区)だ。

 アトネは、店舗に支払うべき会員の購入代金を一時的に立て替え、会員は翌月にコンビニエンスストアなどから一括で後払いする仕組み。8月からQRコード決済の実証実験を始める。

 同社は、クレジットカードを持たず、商品購入後に現金による「後払い」を好む中高年層や女性の消費者に着目。クレジットカードにひも付かず、電子マネーのように事前にチャージ(入金)しない、後払いのシステムを構築した。

 今回の実証実験では、店舗側が負担する決済手数料(業界平均で3%前後)について、1.9%(実証実験時)からに設定した。加盟店はタブレット端末やスマホにアプリをダウンロードするだけでよく、初期費用や月額固定費は無料。同社には、加盟店を増やすことで会員の利便性を高める狙いがある。

 イラスト投稿サイト「pixiv(ピクシブ)」を運営するピクシブ(同渋谷区)は、スマホで個人間決済ができる決済サービス「pixiv PAY(ピクシブ ペイ)」を昨年8月から展開しており、順調に推移している。

 同人誌の愛好家の間では、即売会などのイベントの会計で長い行列を作り、現金をやり取りするのが面倒だという声が多かった。そこで、出品者の表示するQRコードをスマホで読み込むだけで、スムーズかつ安全にクレジットカードで買い物ができる仕組みを作った。クリエーターが売上金の管理などに煩わされずに創作活動に専念できる、というニーズに対応した。

 大手企業もベンチャーと協業し、QRコード決済を採用する。

 JR東日本は7月24日、ベンチャー企業と協業し新たなビジネスを実現するプロジェクトで、青森県などとともにキャッシュレス化をテーマにした実証実験準備に着手すると発表。「Origami(オリガミ)」(同港区)が提供するQRコードを使ったスマホ決済アプリを活用する考えだ。

 ソフトバンクも国内ではないが、ヤフーのグループ会社、インドのスマホ決済大手と組み、今秋にもQRコード決済サービスを始める。加盟店がソフトバンク側に支払う手数料を0円にし、普及を進める。

 QRコード決済への参入が相次いでいる背景には、アプリを使った独自サービスの仕組み構築が容易で、参入障壁が低いことがある。店舗側もタブレット端末やスマホなどにアプリを入れるだけで導入できることから、初期費用を最低限に抑えられるというメリットがある。

 国内では、アリババや中国・騰訊控股(テンセント)がQRコード決済で存在感を示している。中国人を中心とする訪日外国人向けの決済手段として、QRコードの魅力は大きい。

 とはいえ、日本ではNTTドコモがシステムを開発した「おサイフケータイ」が先行普及している。NTTドコモは、携帯電話による決済インフラを普及させようと、他社にシステムをライセンス提供したことが奏功。おサイフケータイの強みは、電子マネーとしての利用だけでなく、乗車券・チケット購入、会員証機能などさまざまな用途に使われていることだ。

 MMD研究所のスマホ決済の利用動向調査によると、最も利用している決済サービスは(複数回答可)、おサイフケータイの「楽天Edy(エディ)」が18.5%で、「モバイルSuica(スイカ)」と「iD」が続く。一方、QRコード決済は、先行している「楽天Pay(ペイ)」ですら9.5%、「LINE Pay」も7.7%で、認知度はそれほど高くない。

 とはいえ、QRコードは自動車部品大手のデンソーが開発した日本発の技術。訪日観光客向けに導入店舗が拡大していけば、決済業者間のサービスのさらなる向上が期待できる。

 国はQRコードの伸びしろがあるとみており、経済産業省は7月3日、産官学の連携組織「キャッシュレス推進協議会」を設立。消費者や店舗の利便性を高めようと、QRコードの規格統一を目指す。成否の鍵は、業界や官民を越えた連携を深め、普及施策を早急に実施できるかにかかっている。(経済本部 鈴木正行)

 QRコード 白黒のモザイク模様で四角形のコード。自動車部品大手デンソーの事業部(現デンソーウェーブ)が平成6年に開発。従来のバーコードが横方向(1次元)にしか情報を持たないのに対し、縦と横(2次元)に情報を入れられるため、数字だけでなく、英字や漢字など多くのデータ(数字のみで最大約7000字)を収容できる。QRはクイック・レスポンスに由来し、データを瞬時に読み取れるのも特長だ。

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