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[連載]最新インバウンドビジネスinチャイナ(4)中国現地における訪日インバウンド需要

2018/08/06

昨年、日本を訪れた外国人は2869万人、このうち735万人を中国人が占めています。4人に1人が中国人と言う割合です。日本にいると「中国」を一つとして捉えがちですが、エリア、所得、海外への意識など都市によってさまざまです。

訪日観光は個人が主流に

日本の魅力を再発見してもらう場として好評を得ている「Visit Japan Salon」

弊社では毎年、訪日インバウンドPRを主目的に「魅力の日本再発見Visit Japan Salon(ビジット・ジャパン・サロン)」を年2回、中国上海で開催し、2015年のスタートから7回を数えるまでになりました。これまで延べ127団体・企業、2930人に参加いただいています。個人旅行者(FIT)を対象に、日本各地や日本の商品の魅力を再発見してもらう場として好評です。

上海は、外国に対して受容性が高く、国際感覚にあふれています。ビジネスを含めた訪日需要が多い都市です。このサロンを開始した2015年当時、上海総領事館のビザの発給件数は「団体」(ツアー)が「個人」(FIT)を上回っていましたが、2017年には逆転し、以降、現在に至るまでその状況が続いています。

この3年でサロン来場者の日本へのニーズは年を経るごとに変化しています。

例えば、「日本で中国人のいないエリアを教えて欲しい」「来週から九州に行くが○○に行くための手段を知りたい」「来月、友達と沼津(静岡県)に海鮮料理を食べに行く」「日本の歌手のコンサートを追っかける」「3カ月に一度日本の病院に診察に行っている」…。釣りやスキーなど多種多様な訪日ニーズが普通に起きています。

2015年当時と比べても、訪日の目的は、観光や「メード・イン・ジャパン」製品の爆買い目的から個人の趣味嗜好へと明らかに変わってきており、その変化のスピードは非常に速いのも特徴です。

日本の情報発信、再考の余地

訪日中国人のニーズを的確につかんだ情報発信が求められる

一方で発信する側の日本の情報は、まだまだ観光を主とした訴求が多く、そのニーズ変化に対応しきれていないように思います。今や団体旅行者向けの情報から、多様化する個人ニーズの嗜好に合わせた情報内容の提供が求められています。

また、訪日中国人のFITは、お金持ちが多く、高級ホテルやタクシーなど利用すると思いがちですが、現在のFITはビザの緩和や中間所得層の増加により、ごく一般の会社勤めの人が多いのが実態です。こういった人たちは、民宿に泊まり、列車など公共交通機関を使う場合が多く、これらのインフラや対応力、情報などはまさに知りたい情報の一つと言えます。日本側の発信情報と知りたい側の情報内容の乖離は現実的な課題となっていると思います。

これは上海に限らず、今後、ますます拡大する訪日中国人需要において重要な要素であり、そういった情報を提供することが、地方創生や爆買いの「ブーム」から「定番化」へと安定化させる切り口だといえます。現実のニーズをしっかり把握し、具体的な情報を提供できれば、まだまだ訪日中国人需要の拡大は期待できます。

清水保之(しみず・やすゆき) Meeting Force/清保(上海)貿易有限公司総経理。大学卒業後、セールスプロモーションの会社に入社。化粧品・航空会社などを担当。子会社代表取締役社長、上海現地法人副総経理など経て2012年に独立、13年中国・上海に清保(上海)貿易有限公司を設立した。日系企業と中国マーケットを結び付る具体的なプロモーション事業やコンサルタント事業を展開。ビジット・ジャパン・サロン(訪日インバウンドイベント)、日本の食と酒サロン、企業別プロモーションなどで定期的に上海と日本を行き来している。中小企業基盤整備機構 海外支援アドバイザー。

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