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就活「外国人留学生」に熱視線 人手不足、海外展開…企業狙い

2018/06/12

 平成31年春に卒業する大学生・大学院生に対する経団連加盟企業の面接選考が6月1日解禁され、就職活動が本格化する中、企業側は外国人留学生にも熱い視線を注いでいる。留学生限定の合同企業説明会は盛況で、将来の幹部候補としてグローバル人材を採用したい国際的な大企業だけでなく、将来を見据えて内需企業やベンチャーも関心を寄せる。人手不足に悩む企業が女性、高齢者に次ぐ「高度人材」として、語学が堪能で仕事への意欲も高い留学生に狙いを定めている。

海外から日本の大学に留学し、卒業後も日本企業への就職を希望する女子留学生を対象としたメーキャップセミナーも開かれている

 「日本で働きたい。いい会社が見つかった」。企業説明会が解禁された3月最初の土曜日、国内最大級の留学生向け合同説明会「TOP CAREER 2019」に参加した中国人女子大学生はこう喜んだ。

 この日、東京・新宿の会場に訪れた留学生は1000人超。東大や京大、早慶上智といった上位大学の優秀な学生ばかりで日本語能力も就労意欲も高い。欲しい人材が集まるとあって日本航空や日立製作所、三菱UFJ銀行などグローバル企業41社が顔をそろえた。

 会場はごった返し、人気のブースでは用意した椅子に座れなかった留学生が立ったまま、担当者の日本語による説明を熱心に聞きながらメモしたり、質問したりしていた。日本語の理解度を試す狙いもあるが、留学生は苦にしていない。鉄鋼に強みを持つ商社、阪和興業人事部の三井悠大郎氏は「1人でどんどん市場を開拓する社風に外国人は合うので採用したい。中国人や韓国人に加え、(南米など)新たな市場開拓先が母国語とするポルトガル語を話せる学生が欲しい」と意気込む。参加企業の担当者から「日本人より就労意欲が高い」との声も聞こえた。

 説明会を開催した人材サービスのフォースバレー・コンシェルジュ(東京)の柴崎洋平社長は「あまたある国から日本を留学先に選んだわけで、日本語がうまく、日本文化もよく知る。大企業はグローバル人材を採用できるチャンスととらえている」と説明。22年の第1回は12社にとどまった参加企業が41社に増えたのも「トップ大学の留学生のみが集まるというブランド力が高まってきたから」と胸を張る。

 一方、優秀な学生に仕上げて合同説明会に送り出すのが、外国人専門の人材紹介を手掛けるASIA Link(東京)。「留学生が希望する日本企業に就職できるように手間暇かけて指導する」(小野朋江社長)のが強みだ。

 同社が毎年3月に開催する合同説明会「社長LIVE」に参加できるのは、同社が事前に選抜した学生のみ。それだけ「クオリティーは高い。2年間で3人を採用した」と語るのは、工作機械などを手がける黒田精工の黒田浩史社長。昨年の社長LIVEでは留学生5人に1人の割合でマッチングに成功しており、参加企業の半分はリピーターという。

 今年は企業9社に対し、留学生は12カ国・地域から厳選された85人が参加した。「学生が企業を選ぶ売り手市場なので、欲しい留学生を口説くのに企業は必死」(小野氏)で、企業代表者がリレー形式でプレゼンテーションし、本気度を直接学生に伝えた。

 環境分析などを手がける環境管理センター(東京)の浜島直人取締役は「説明に身を乗り出してくるほど学生のモチベーションは高く、毎年2人は取りたい。(水落憲吾)社長は『全員が留学生でもいい』といっている」と笑う。ベトナム拠点設立に合わせ、ベトナム人の採用を狙う。

 自治体が企業の採用をサポートする動きも出てきた。川崎市は3月13日、市内で初の合同説明会を開いた。「人材不足が顕著でありながら、年々増加している留学生の採用に二の足を踏んでいる企業がある。留学生との出会いの場として開催することにした」(経済労働局雇用担当課の新沼真琴課長)。当初はどれくらい集まるか不安だったが、受付には長蛇の列ができるほどで、参加23社の代表による「企業のひと言PR」用に並べた椅子が足りず、急遽(きゅうきょ)増やすなど対応に追われた。

 中国やベトナム、ネパールなどからの留学生170人超を前に企業側の採用意欲も高まり、1分間スピーチでは「留学生の斬新なアイデア、行動力に期待している」「外国人採用を将来の海外進出の足がかりとし、幹部候補生を採用したい」と入社を呼び掛けた。また「国籍も学歴も年齢も関係ない。人物重視」「給与や待遇は日本人と一緒」と働きやすさも訴えた。

 日本学生支援機構によると、27年度に卒業・修了した留学生約4万人のうち、日本で就職したのは約1万2000人と3割にとどまる。留学生全体では6割強が日本での就職を希望しており、乖離(かいり)は大きい。留学生はチャレンジ精神に富み、起業意欲も旺盛といわれる。海外展開を目指す企業にとってグローバル人材の確保は課題で、留学生への期待度は高まるばかりだ。

 一方で「自己主張が強く、社風に合わない」「留学生が希望する職種とずれがある」などミスマッチも。「専攻と職種の不一致で就労ビザがおりない」といった外国人採用における法的制約に阻まれることもある。外国人留学生が人手不足にあえぐ日本企業の“救世主”となるには、まだハードルも多い。(経済本部 松岡健夫)

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