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2020年に全国100カ所超でバス無人運転 政府が成長戦略素案公表

2018/06/05

 政府は4日の未来投資会議で、新たな成長戦略の素案を公表した。自動運転技術の高度化や人工知能(AI)を活用できる人材の育成、行政手続きの電子化推進などが柱。無人自動運転に関しては、2020年をめどに公道で移動サービスを開始し、30年までに全国100カ所以上で展開する目標を掲げた。成長戦略実行の司令塔となる「産官協議会」を設置する方針も示した。

未来投資会議で発言する安倍晋三首相。右は麻生太郎副総理兼財務相=4日午後、首相官邸(春名中撮影)

 安倍晋三首相は会議で、関係閣僚らに「経済社会システムの大改革に挑戦する。そのような野心的な新しい成長戦略を取りまとめてほしい」と指示した。  成長戦略は与党と調整した上で6月中旬に閣議決定する見通し。AIやロボットなど「第4次産業革命」の技術革新を取り込み、デジタル化で社会の変革を図る「ソサエティー5.0」の本格的な実現を目指す。

 無人自動運転をめぐっては、20年の移動サービス開始に向け、ニーズが高い中山間地域などで公共交通機関を遠隔操作で走らせる実証実験の実施を想定。AI人材の増加策では基礎的科目としてプログラミングなどを学ぶ「情報I」を大学入学共通テストに加えることを検討するほか、複数の行政機関・企業にまたがる申請をインターネットで一度で済ませられるようにすることも盛り込んだ。

 一方、産官協議会は現場に近い企業経営者らが参加。25年を目標にした中期ビジョンを来年夏までに策定する。

 政府が提示した成長戦略素案では、無人自動運転の推進や次世代ヘルスケア・システムの構築などさまざまな施策が盛り込まれた。ただ、第2次安倍晋三政権発足以降の成長戦略を振り返ってみると、目標に到達していない項目も多く、成果にばらつきが目立つ。首相は新設する産官協議会を成長戦略の推進力としたい考えだが、首相自身の強いリーダーシップも欠かせない。

 「デジタル革命が急速に進展する中、価値のあるデータや人材をめぐる熾烈(しれつ)な争奪戦が世界で繰り広げられている。このまま手をこまねいていてはならない」

 首相は未来投資会議でこう述べ、「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業によるビッグデータ独占などが進む中、埋没気味の日本の現状に危機感をあらわにした。

 こうした懸念を踏まえ、成長戦略素案では、重点分野を「フラッグシップ(旗艦)・プロジェクト(FP)」と位置づけ、工程表も示しながら成長戦略を集中的に進める姿勢を強調。茂木敏充経済再生担当相も会議後の記者会見で「デジタル新時代の中で日本の立ち位置を明確にした上で、地域や人材がどう変わっていかなければいけないのか具体的な姿を示した」と説明した。

 ■尻すぼみ危惧、首相の後押し不可欠

 ただ、過去の安倍政権の成長戦略では、大風呂敷を広げただけで終わっている項目は少なくない。

 第2次政権発足後、2013年6月に最初に取りまとめられた成長戦略「日本再興戦略」を見ると、訪日外国人旅行者を30年に3000万人超とする目標を掲げ、17年に2869万人まで達しているといった順調に推移している項目は少数派だ。今後10年間で世界大学ランキングトップ100に10校以上という目標はいまだ東大と京大の2校のみ。ビジネス環境ランキングで先進国3位以内との目標については、17年時点で34位と、厳しい数字が並ぶ。

 政府高官は「世界の経済状況は常に変わるので、見通し通りに行かない部分が出てくるのはやむを得ない」と釈明する。

 新たに設置される産官協議会は、20年頃までに実現する「FP2020」、25年頃までに実現する「FP2025」を選定し、人材・資金を重点配分すると掲げるが、過去のように尻すぼみに終わらないためにも首相の後押しが不可欠だ。(桑原雄尚)

 ■成長戦略の主要項目

 ≪交通≫

 ・2020年に無人自動運転による移動サービス実現、22年に高速道路でのトラック隊列走行の商業化

 ・19年度までに羽田空港などで完全自動運転に向けた通信インフラ整備  

 ・18年度中に首都圏でオープンデータを活用したスマホアプリによる公共交通機関の運行情報提供の実証実験 

 ≪健康・医療・介護≫

 ・全国的な保健医療情報ネットワークの20年度からの本格稼働

 ・介護現場でのロボット・センサー、AIの開発・導入の推進

 ・服薬指導を含めた「オンライン医療」の充実 

 ≪エネルギー≫

 ・デジタル技術によるエネルギー制御、蓄電、水素利用などエネルギー転換・脱炭素化に向けた技術開発

 ・ネットで蓄電池やEVの電力需給を調整する「バーチャルパワープラント」の21年度からの事業化

 ≪キャッシュレス≫

 ・ブロックチェーン技術を用いた本人確認手続きシステムの構築

 ・18年中に産官学の「キャッシュレス推進協議会」設立 

 ≪行政≫

 ・「デジタルファースト法案」の18年中の国会提出

 ・個人向け行政手続きのワンストップ・ワンスオンリー化

 ・19年から法人設立登記を24時間以内に完了 

 ≪農林水産業≫ 

 ・センサーデータとビッグデータ解析による栽培管理

 ・AIによる熟練者のノウハウ伝承

 ・ロボット、ドローンによる無人・省力化 

 ≪教育≫

 ・小学校でのプログラミング教育のため、20年度までに無線LANや学習者用コンピューターなどICT環境整備

 ・大学入学共通テストの基礎的科目に「情報I」追加

 ・先端的なAI人材育成へ大学設置基準を改正

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