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中韓リスク回避へ 外国人体験記のサイト掲載で大阪の魅力を欧米・東南アジアへ発信、訪日客多様化を

2018/06/04

 訪日外国人客が増え続ける中、大阪観光局は欧米や東南アジアからの旅行者の拡大に取り組んでいる。米国人ライターらによる関西旅行の体験記を英語で発信。東南アジアでは旅行博覧会への出展やソーシャルメディアの活用を積極的に展開している。大阪に来る外国人旅行者は中国、韓国など東アジアからが8割近くを占めており、依存度が高いのが現状。訪日客を多様化することで、外交関係に左右されやすい観光産業のリスクを抑えたい思惑もある。

 昨年大阪を訪れた外国人旅行者は過去最高の1111万4千人。このうち中国からは402万4千人と全体の36・2%、韓国からは241万人と21・6%を占める。台湾、香港をあわせるとこれら東アジアからの旅行者は857万5千人と77・1%に上る。関西国際空港発着の格安航空会社(LCC)の運航便が増えたことで、空からの玄関口になる大阪の観光客は増加傾向にある。

 これに対して、欧米とカナダ、豪州は計90万2千人で8・1%。タイやシンガポールなど東南アジアでも107万人で9・6%にとどまる。

 そこで大阪観光局は、観光客層を広げようと、関西を旅行した米国人ライターらが書いたルポルタージュをサイトに掲載。買い物や食事よりも、旅行先の歴史に関心が高い欧米人向けに神社仏閣や史跡、伝統などを詳しく記している。

 宗教や文化の違いに配慮した食の情報発信も充実。豚肉やアルコールなどの摂取を禁じるイスラム教の戒律に適した食事を提供する店や礼拝できる場所を載せたガイドブックのほか、ベジタリアン(菜食主義者)向けのパンフレットの配布も始めた。東南アジアでは現地開催の旅行博への出展のほか、割安で観光地を巡ることができる「周遊パス」の販売を促進。SNS(会員制交流サイト)での旅行体験の発信を呼びかけている。

 観光局はこれらの施策を通じて平成30年度は欧米豪からの大阪への旅行者を前年より計1割増やし、ベトナム、フィリピン、インドネシアからは計3割増やしたい考えだ。

苦い経験、限られた地域からの旅行需要に頼ることのリスク

 多くの外国人観光客でにぎわう日本だが、限られた地域からの旅行需要に頼ることは禁物だ。外交関係の悪化によって旅行者が激減し、経済的な痛手を負う危険性が大きくなるからだ。

 実際、日本は苦い経験をさせられた。2012(平成24)年9月、日本政府による尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化に抗議する中国の反日デモで、日系企業が暴徒に襲撃される事態が発生。日本の自動車メーカーの販売が落ち、訪日中国人観光客が一時大幅に減った。「チャイナリスク」が顕在化した形だ。

 韓国も昨年、米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」受け入れを背景に中国との関係が冷却化。団体ツアーを中心に中国人旅行者が激減し、韓国の観光業界に痛手を与えた。

 多様な国・地域から観光客を呼び寄せることは、こうした外交・安全保障の摩擦で生じる経済的なショックを和らげる備えにつながる。(黒川信雄)

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