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舟屋、古民家…体験型「農泊」関西で注目 都市部集中の外国人客を地方に取り込め

2018/05/21

 訪日外国人客(インバウンド)が増加している関西で「農泊」の取り組みが広がっている。都市部や神社仏閣のある名所に偏っているインバウンド需要を地方に取り込むのが狙いで、自治体が連携し、農業や伝統文化にふれあう「コト消費」の魅力を発信している。

珍しいスタイルの「舟屋」を活用

京都府伊根町の舟屋を見学する外国人旅行者ら=平成30年4月(海の京都DMO伊根地域本部提供)

 京都府北部・丹後地方にある伊根町。海に面して1階に漁船を収納し、2階が居室になっている「舟屋」が立ち並ぶ区域に外国人観光客の姿があった。全国でも珍しいスタイルを興味深げに眺めていた。

 京都府では府、伊根町、福知山市など北部にある7市町が連携し、外国人観光客を誘致する社団法人「海の京都DMO」を一昨年発足。農泊や伝統的食文化の良さを発信している。

 京都府の調べによると、平成28年に同府内で宿泊した外国人客は約326万人だったが、地域別で見ると、京都市内が約318万人と約98%を占めた。多くの初来日の訪日客は宿泊地に関する情報が限られ、認知度の高い都市部の観光地周辺に宿泊する傾向が強い。

 そこで、京都市内からの人の流れをつくり、インバウンド増加の「恩恵」を得るため、「海の京都DMO」は7市町に55ある民宿施設を33年までに100に増やし、訪日客の宿泊者数を倍増させたい考えだ。また、昨年は京都市内の調査で、同市内から伊根の舟屋までの直行便を要望する声が多かったため、直行バスを運行した。

古民家改修

 大阪府南部、山間の急勾配に古民家が点在する大阪府河南町では、農林水産省が29年度に開始した農泊推進のための支援制度を活用し、地域住民が約150年前に建築された古民家の宿泊施設への改修を進めている。

 計画を進める浅川賢二さんによれば、同地域は農林業の衰退で空き家が増大。経済活性化のために農泊推進が必要と感じたという。京都府と同様、大阪府でもインバウンド需要は都市部に集中しており、「1日1、2組でもいいから外国人旅行者が来て、ゆっくりしてもらえるようになれば」と語る。河南町に隣接し、同府内で唯一、過疎地域指定を受ける千早赤阪村でも住民が支援を申請中だ。近畿農政局管内では昨年度、25地域で同制度による支援が認められた。

 ただ、交通インフラなどで都市部に大きく劣る農漁村へのインバウンド誘致は決して容易ではない。農泊の運営実態に詳しい福知山公立大学の中尾誠二教授は「収入面で成功している事例もあるが、小規模な宿泊施設で生計を立てるのは厳しい」と指摘する。恒常的に訪日客を受け入れるためには、ニーズにきめ細かく対応することも求められそうだ。(黒川信雄)

農泊 旅行を目的とした農漁村での宿泊。農林水産省は農漁村での生活体験や、住民との交流を楽しめる“滞在型の旅行”と定義している。宿泊形式は特定されておらず、ホテルや民宿、民泊なども対象となる。政府は平成28年3月に策定した観光ビジョンで、農漁村へのインバウンド需要呼び込みや農水産物の消費拡大の方策として、農泊推進を打ち出した。

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