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[連載]最新インバウンドビジネスinチャイナ(3)急拡大する中国のシェアリングエコノミー

2018/05/21

個人や企業が保有する資産やサービスなどを賃貸したり、交換したりして共有する「シェアリングエコノミー」。民泊やカーシェアなど日本にも広がりをみせていますが、中国では、さまざまなトライアルが行われ、急成長していますが、無秩序な広がりに弊害も生まれています。

百花繚乱、シェアサイクル

路上に設けられたシェアサイクル

中国では、地方から都市部に来た人が、共同で住宅を借りたり、家賃負担を軽減するため、部屋を貸したりするはハウスシェアリングが普通に行われていました。2012年以降、タクシーの配車やライドシェアサービス、シェアサイクルなどのサービスが続々と登場。2016年の市場規模は前年比2.03倍の3兆4520億元(約56兆5500億円)。今後も年平均40%前後の成長が続くと見込まれています。

自転車を貸し出すシェアサイクルが上海に普及し始めたのは3年ほど前からです。当初は借りた場所に戻す形式でスタートしました。上海各地に自転車の貸し出し拠点が設けられ、オレンジ色のシェアサイクルが歩道を覆うほどになりました。しかし、利用者が増えず、乗り捨て形式に変更。爆発的に利用者が増え、多くの事業者が参入。ピーク時20社以上に上ったとされています。事業者によって、自転車の色も違い、黄色、青、オレンジ、赤、緑、レインボー、ゴールドとまさに百花繚乱の様相を呈していました。

利用するにはスマートフォンなどのアプリから日本円に換算して約5000円程度の保証金を支払い登録すると、1回50毛銭(日本円約8円)から利用することができます。競争が激しくなる中、わずか10毛銭(日本円1.7円程)でサービスを提供する事業者も現れました。

路上放置、盗難、破損…弊害が顕在化

放置されたシェアアサイクル

乗り捨てOKになり、利便性が上がった分、路上放置や盗難、破損などモラルや管理の問題も噴出。参入事業者も費用を捻出できず、管理しきれない状況に陥ってしまいました。現在は地方政府が新規登録台数を制限したり、新規の参入抑制をしたりするなど規制に乗り出しています。

こうした状況になった最も大きな問題は利用者の意識にあります。歩道への放置、部品の盗難、車両の私物化、取り扱いの粗雑さが目立ち、利用しようとすると、自転車が壊れて利用できないこともよくあります。

参入事業者の競争は「規模」の争いとなり、結果的には、投入する自転車の数が多い会社が生き残り、新規の車両を投入できない事業者は淘汰されつつあるような状況になっています。

上海では、自転車以外にも傘のシェアサービスがあり、駅構内やバス停など公共の場所に傘が設置されており、上海ではよくある極地ゲリラ豪雨などの際、非常に気が利いたサービスとして広がっています。ダイヤル式でロックされており、携帯の微信などで登録後、ダイヤルコードが送られてきて解錠、使用出来る仕組みです。傘で言えば、最寄りのコンビニが無料で傘を貸す仕組みもあります。こちらは、携帯で検索し最寄りのコンビニが表示されますが、距離や本数などで、利便性はまだ向上していません。

利用者の「心構え」課題に

傘のシェアサービスも始まったが…

「借りる」形ですので、「戻す」が通常ですが、現実シェアサイクルと同様、借りた場所に戻すなどの面倒さもあり、雨が降った後日貸し出し場所に戻っているケースは殆どありません。(画像)自転車以上に難しい事かもしれません。

「シェア」すると言うのは、「別の人も利用する」ということであり、次に使う人への思いやりや気遣いが大事になります。中国では、サービス導入のスピードが速く、サービス内容も非常に魅力的ですが、「シェア」をする上で必要な「心構え」が欠けている利用者が少なくありません。中国で急拡大するシェアリングビジネスですが、社会的な弊害が広がれば、ビジネスそのものが急速に縮小する可能性もあります。それだけに、利用者に「シェア」する上での心構えをいかに定着させられるかが、中国でこのビジネスが普及するうえでの大きなカギを握るのではないかと感じています。             

清水保之(しみず・やすゆき)Meeting Force/清保(上海)貿易有限公司総経理。大学卒業後、セールスプロモーションの会社に入社。化粧品・航空会社などを担当。子会社代表取締役社長、上海現地法人副総経理など経て2012年に独立、13年中国上海に清保(上海)貿易有限公司を設立した。日系企業と中国マーケットを結び付る具体的なプロモーション事業やコンサルタント事業を展開。ビジット・ジャパン・サロン(訪日インバウンドイベント)、日本の食と酒サロン、企業別プロモーションなどで定期的に上海と日本を行き来している。中小企業基盤整備機構 海外支援アドバイザー。

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