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本場・中国に「中華そば」で殴り込み 山形の老舗製麺会社、売りは健康・安全・うまさ

2018/05/15

 所得の向上やライフスタイルの変化で「食」の幅が広がってきた中国。文政年間(1818~30年)に創業した山形県天童市の製麺会社が、この市場への挑戦を続けている。とりわけ訪日経験のある中国の消費者は「日本製の食材」にこだわる傾向がある。200年近い伝統をもつ日本の製麺会社。食塩や着色料など添加物を使わない特殊製法と中国市場向けの独自商品を携え「健康」「安全」の食を13億人に訴えている。(上海 河崎真澄)

健康志向が後押し

上海市内の大手百貨店「久光」のデパ地下で山形県から直輸入した日本製「乾麺」を実演販売する昭和製麺(本社天童市)の小川義宏社長(中央)。食塩を使わない高度な製法や、自然な野菜成分を加えた「野菜麺」が中国でも人気を集め、試食した地元客は争うように購入していった(3月31日、河崎真澄撮影)

 「この野菜の麺、うちの両親と子供に食べさせたいわ」。上海市内の大手百貨店「久光」の食品売り場で乾麺を試食した30代の上海人女性は、こう言って目を輝かせ、「野菜麺」を5束まとめて購入した。女性は東京、大阪以外にも札幌や仙台などへの訪日観光経験があるという。実演販売では認知度を高めるため、1束約20元(約360円)で販売し、このデパ地下だけで1日に200束以上が飛ぶように売れたという。

 山形県の昭和製麺が宮城県塩釜市の商社、東源物産や上海市の商社、東銀来と共同開発した中国向けの商品だ。乾麺に野菜の成分を加え、ニンジン、カボチャやほうれん草など6種類の味がある。麺を乾燥させる製造工程で、通常は必要とされる食塩の添加を行わない独自の技術が売りだ。

 中国でも都市部では、高血圧症で減塩が欠かせない中高年は少なくなく、一方で野菜を食べたがらない子供も多い。塩分を含まない上に、野菜成分のみの色合いで着色料も含まない自然な味の麺。健康志向を強める中国の消費者に、じわじわ人気が広がっている。

訪日客が魅力発見

 山形県国際経済振興機構の後押しも受け、上海のデパ地下で実演販売した東銀来の夏語●さんは、「麺の長さも20センチほどと短めで高齢者にも食べやすく、健康的な介護食としても注目されています」と話した。家族連れなど、試食した消費者の多くは「好吃(ハオチー、おいしい)」と笑顔をみせ、何束も買い物かごに入れて会計に向かった。

 中国の消費者が、広く日本の「そば」「うどん」の魅力に気付いたのは、最近のこと。そもそも中国東北部を中心に麺文化があったが、年間500万人を超える旅行客が訪日する時代となり、「旅先で実際にそばやうどんを食べて味を覚えた経験から、日本の麺文化に惹かれる中国人が増えてきた」(夏氏)ようだ。野菜麺のみならず、日本の伝統的なそばやうどんも、人気の商品になっている、

 中国において、乾麺そのものの市場規模はまだ大きくないが、健康志向のみならず保存性の高さなどからも、需要の成長性に期待が高まる。民間の市場調査によると、中国全体の加工食品・飲料市場は2010年ごろから年率8%前後で拡大を始め、16年からは10%を超え、20年ごろからさらに加速する予想もある。国内総生産(GDP)の成長率を大きく超えるスピードだ。

 日本の消費者以上に食の多様性を求め、健康志向を強める消費者の急増が乾麺の需要を押し上げる可能性がある。上海市内だけ考えても、1000万人を優に超える富裕層と中間所得層が暮らす。日本製食品のもつ魅力を訴求すべき価値のある市場といえる。

そば、うどんだけでは「ダメ」

 伝統的なそば、うどんに安全を加え、野菜麺で中国に打って出た昭和製麺の小川義宏社長だが、「それだけではダメだ」と考えている。次なる一手の戦略商品は「中華そば」だという。「安全で安心な日本品質の“中華そば”を本場の中国で勝負してこそ道が開ける」と強調した。すでに商品化を終えて店頭にも並べ始めた。

 最上川をいただく山形県は古来、美しい水や空気に囲まれて「そば栽培」の文化が根付いた。麺の製造には「美しい水」をふんだんに使える環境が必要だ。大陸中国でここまで水資源が豊富な生産地は、いまのところない。中国市場で日本製の安全な麺が新たな花を咲かせようとしている。
●=王へんに番

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