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ドコモ、メルカリ、中国資本も…広がるシェアサイクル

2018/04/09

 同じ色・形の自転車がずらり、街角に居並ぶ光景を見かけたことはないだろうか。おそらくそれは、一定のエリア内で自転車を借りたり、降りたりが自由にできる「シェアサイクル」だ。レンタルサイクルとは違い、借りたのとは別の場所に返却可能なこのサービスが今、全国で広がっている。

チャリツーリズムに期待

東京・大手町のオフィスビルの横に設置されているシェアサイクル。利用者に聞くと、「気候のいい春には、通勤・帰宅時間帯の利用が増え、乗れないこともある」と明かした=東京都千代田区(津川綾子撮影)

 中国資本のシェアサイクルサービス「ofo(オフォ)」の日本法人「OFO JAPAN」は今年3月、日本進出の第一歩として和歌山市でサービスを始めた。バス停留所の近辺や商業施設、観光スポットや公園など市内25カ所(4月3日現在)に専用のポートと、専用自転車約120台を設置。30分100円の都度利用▽1日500円の1日パス▽月額2500円の月額パス-の3プランがある。

 「OFO JAPAN」によると、利用想定は大きく2パターンある。

 (1)市内在住・在勤・在学で、駅やバス停から目的地までの距離が不便という人の日常的な移動手段。

 (2)昨年4月に文化庁の日本遺産に登録された和歌の浦をはじめ市内にある観光拠点をめぐる訪日外国人客らの周遊手段。

 「アジアからの訪日客の傾向は、定番コースをめぐる団体客から東京・大阪以外を個人で巡る体験型観光にシフトしている。和歌山は和歌の浦を擁するうえ、関西国際空港からのアクセスも良好。シェアサイクルは、そんな海外からの観光客の足になりうる」と、「OFO JAPAN」の日本市場統括、日吉良昭さんは自信を示す。

 実際、サービス開始後は観光客が夜桜見物にシェアサイクルを利用しており、観光客を誘致したいという商店主から敷地にポートを設置したいとの声もあがっているという。

 尾花正啓(おばな・まさひろ)・和歌山市長も3月27日の会見で「シェアサイクルに慣れた外国人観光客の誘客につながれば」と期待を語った。

 平成29年の「自転車活用推進法」施行や、相次ぐ事業参入を追い風に、「シェアサイクル」の普及は全国で進んでいる。国土交通省によると、国内で本格導入しているのは平成29年10月時点で110自治体。これは5年前から3倍近くでで、検討中も含めると175自治体がシェアサイクル事業に関わっている。導入の狙いは「観光推進」。次いで「公共交通の補完」だった。

追い風は吹くが…

 使い勝手も徐々に向上している。全国25エリアの700ポートで、7200台のシェアサイクルを運用している「ドコモ・バイクシェア」(東京都港区)は、自治体の壁を越え都内9区で相互に乗り入れ・返却を可能にし、都心で働く人々に重宝されている。

 東京・大手町で働く会社員女性(44)は、「時々、会社から駅まで利用する。運動不足だと感じたり、春など気候が穏やかな時期には、区の境も越えて遠くの駅まで乗ることもある。いい気分転換になるし、仕事にも便利だ」と話す。

 ドコモ・バイクシェアの会員数は29年度末時点で34万人と前年度比1・7倍にまで増えた。「自転車活用推進法」には条文でシェアサイクルのポートの整備促進が位置づけられたほか、今年に入り、冒頭の「ofo」の参入や、フリーマーケットアプリ運営のメルカリ(東京都港区)の子会社が新規参入するなど、追い風が吹く様相だ。

 しかし、課題を指摘する声もある。NPO法人「自転車活用推進研究会」の小林成基理事長は「シェアサイクル自体はまだ“公共財”と認められておらず、使い勝手に課題がある。米ニューヨークや英ロンドンなどに比べるとまだまだポートも台数も不十分」と状況を見る。鉄道やバス、タクシーなどと同様の公共交通のレベルにまで格上げし、利便性向上につなげるには、「自治体の首長の判断で、普及を図っていくことが必要だ」と話した。(文化部 津川綾子)

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