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ホテル建設ラッシュに沸く姫路、理由は城観光だけではなかった

2018/03/30

 世界文化遺産の国宝、姫路城を抱える兵庫県姫路市が、外国人観光客を当て込んだホテルの建設ラッシュに沸いている。今年だけで新たに5カ所のホテルがオープンし、客室は計約千室増えることになる。背景には、姫路城を訪れる外国人観光客が過去最多を更新するなど観光地としての魅力に加え、姫路ならではのもうひとつの理由もある。迎え撃つ既存ホテルも、リニューアルなどでサービス充実を図っており、姫路城下の“ホテル合戦”が激しさを増している。(香西広豊)

駅周辺で続々誕生

ホテルモントレ姫路の「ロイヤルスイートルーム」。宿泊代は1泊18万円=兵庫県姫路市

 「観光での長期滞在とブライダル(婚礼)需要を掘り起こすのが狙いだ」

 JR姫路駅前で3月23日に開業した「ホテルモントレ姫路」の大原拓也総支配人は運営戦略をこう説明する。

 同ホテルは地上14階建てで客室数は274室。観光客を主なターゲットにするため、部屋のタイプはシングルはなくツインとダブルのみだ。

 ブライダル需要への対策としては、最上階にガラス張りで姫路城など市内を一望できる開放感のあるチャペルと宴会場を配置。ホテルの顔とされる1階には、広くて豪華な内装のブライダルサロンを設けた。

 姫路市でのホテル開業ラッシュについて、大原総支配人は「競争するよりは切磋琢磨(せっさたくま)し合ってホテル業界の質を高めたい」と話す。

 ホテルモントレ姫路に続き、JR姫路駅周辺では新ホテルの開業が相次ぐ。

 外食大手ロイヤルホールディングスの子会社、アールエヌティーホテルズ(東京都世田谷区)は、同社としては県内初となる「リッチモンドホテル姫路駅前」を今夏にオープンする。地上9階建てで216室を予定。姫路駅南口から徒歩3分の好立地で、「リラックスできる癒やしの空間とサービスを提供する」としている。

 また、9月末には大和ハウス工業の子会社が運営する「ダイワロイネットホテル姫路駅前(仮称)」が開業。地上13階建てで218室を予定し、市中心部のファッションビル跡地で建設が進められている。

 さらにリブマックス(東京都港区)は2月に「ホテルリブマックス姫路市役所前」(78室)をオープン。12月には「ホテルリブマックス姫路駅前南」(194室)を開業予定で、姫路市内で1年間に2カ所のホテルを誕生させる。

既存ホテルも対抗策

 こうした新ホテルの開業ラッシュに既存ホテルは危機感を強めており、リニューアルなどのサービス充実で迎え撃つ方針だ。

 姫路駅前のホテル日航姫路は3月4日、1階のビュッフェレストラン「セリーナ」をリニューアルオープンした。内装を一新して明るく開放的な空間にする一方、地産地消をテーマに地域の食材や郷土料理を取り入れ「姫路・兵庫を味わえるビュッフェ」にした。

 店内は姫路の豊かな自然と姫路城をコンセプトに明るい木目で統一。料理は播磨灘のハモや播州百日鶏、姫路野菜などの地元食材を使ったメニューを用意。播磨地域の地酒21種類をワイングラスで提供する。

 同ホテルは「サービスの向上で、姫路を訪れた方に満足いただけるよう努めたい」とする。

新幹線で京都まで45分

 このように姫路でホテル建設が相次ぐ背景には、姫路城の魅力も要因だが、外国人観光客に人気の高い京都へのアクセスの良さが大きい。

 新幹線を利用すれば姫路から京都までは45分程度しかかからず、姫路に宿泊しても日帰りで十分に京都観光が満喫できる。姫路市も「相次ぐホテルの開業に合わせ、関西観光の宿泊地としての利便性をアピールしたい」と目論むほど。

 大阪の客室不足も姫路のホテル業界には「追い風」だ。観光庁の調査によると、平成29年の客室稼働率は大阪府が83・1%となり都道府県別で1位となった。特に大阪市内など都市部では90%を超える宿泊施設も少なくなく、客室不足が顕在化している。

姫路城以外は苦戦

 ただ、姫路城以外の観光地は苦戦している。姫路市によると、28年度に姫路城を訪れた外国人観光客は約36万5千人で過去最多。

 一方で、日本人を含む市内全体の観光客は約1026万人で前年度から約163万人減少した。28年度末時点で市内にはすでに60軒のホテルがあり、観光客の減少傾向が続くと、開業ラッシュで過当競争になる可能性もある。

 また、別の要因として姫路を訪れる観光客の行動特性がある。市内での宿泊を伴う観光客は全体のわずか13・9%に過ぎない。姫路城という観光資源はあるものの、市の担当者は「長く滞在できる仕組み作りが必要」と指摘する。

 この点については、姫路商工会議所の齋木俊治郎会頭も「ホテルというハード面に対して、観光地などのソフト面に関する情報発信が不十分」と分析。「姫路市内だけではなく、たつの市など姫路市周辺の市町を含めた広域的な観光ルートをPRするのも一つの手ではないか」と提案する。

 滞在型観光への取り組みは、姫路のホテル事業者にとって大きな課題となる。姫路城の存在だけに頼らず、観光協会や旅行代理店、地元事業者などと連携し、ホテル独自の観光ツアーを提供するなど、観光客を呼び込み滞在させる仕掛けが必要になりそうだ。

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