五輪誘客・地域活性化へ「民泊」受け付け開始 住民トラブルを懸念する声も
一般住宅に旅行者らを泊める「民泊」の営業を希望する家主らの事前受け付けが15日、都道府県など全国の自治体で始まった。インターネットでの届け出も受け付ける。政府は2020年の東京五輪・パラリンピックに向けた訪日外国人旅行者の宿泊施設確保策の一環と位置付ける。自治体からは地域活性化への期待の一方、住民トラブルを懸念する声も上がった。
6月15日の住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行により、都道府県などの窓口に届け出た家主ら事業者は、年間180日まで民泊の営業ができるようになる。
ホテルや旅館が原則営業できない「住居専用地域」でもサービスが可能となる。ただ環境悪化を懸念する自治体も多く、条例で営業地域や期間を規制する動きも広がる。
ネットでの届け出は、マイナンバーカードの電子署名を活用する。国が開設した専用のホームページから必要書類を提出する仕組みで、住宅がある自治体へ自動的に情報が提供される。
東京都世田谷区はこの日朝から区役所で受け付けを開始。担当者は「住民の生活環境を確保しつつ、訪日客の増加による地域経済の活性化や国際交流を促進したい」と話す。相談に訪れた女性(61)は「利益が出るのか、宿泊者にルールを守ってもらえるのかと不安はあるが、近く届け出をしたい」と語った。
京都市でも朝から担当課へ問い合わせの電話が相次いだ。市内の民泊物件は将来的に数千件に達する可能性もあると予想。担当者は「事業者には条例で騒音対策やごみ捨てルールの説明義務を課し、周辺住民とのトラブルが起きないよう求めていく」と強調した。