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地味な施設が「インスタ映え」で人気に…岐阜のモザイクタイル博物館、入場者は予測の6倍

2018/03/13

 写真共有アプリ「インスタグラム」を通じて意外な施設や観光地にスポットが当たるようになったが、岐阜県でも地味な印象の地場産の振興施設などが脚光を浴びている。多治見市がタイル製造の歴史をアピールするため開館した博物館はピラミッドのような外観が前衛的に映り、インスタによる拡散で入場者が当初予測の6倍に。天地逆さまの建物などで錯覚を誘う養老町の体験型芸術施設も、都心から離れているにもかかわらず客足を伸ばしている。若者のレジャーに今やソーシャルネットワークサービス(SNS)は欠かせない存在で、卒業旅行シーズンも重なり、インスタ映えスポットが人気を集めている。(三宅有)

地味施設が黄色い歓声に包まれる

モザイクタイルミュージアムを背景に写真を撮影する来場者。見ようによってはピラミッドを背にしているような…=岐阜県多治見

 2月中旬の平日。多治見市の博物館「モザイクタイルミュージアム」は女子大学生のグループやカップルでにぎわっていた。傾斜した地面に盛り上がるように建つ建物を背景に、東京から卒業旅行で来た女子短大生の2人組は「かわいい」「メルヘンチック~っ」などと歓声をあげ、自撮棒にスマートフォンを付けてパチリ。タイルの原料の粘土の採掘場をモデルにしたという外観だが、「そんなことは知らない。へえー」。驚きながらひとしきり撮影した後、館内へ入っていった。

 モザイクタイルがちりばめられた館内でも、入館者があちこちで撮影する姿が。昭和の住宅を思わせるコーナーに並んだタイル貼りの流し台や洗面所、トイレや風呂、釜戸、銭湯の壁画…。「ばあちゃんのところで見た」「私は初めて」。そんな声も聞かれ、館内ではマリリンモンローのタイル絵や、全面をタイルで覆ったタイルカーも人気を集めていた。

 名古屋市から来た大学4年の女性グループは「インスタを見て興味を持ち、来ようと思った。洗面台などおじいちゃんの家で見たようなレトロ感や懐かしさ、かわいらしさが同居してておもしろい」と笑顔で話した。

 施設は市が約12億円かけ1昨年6月に開館。モザイクタイルとは、1枚の表面積が50平方センチ以下のタイルの総称。かつては多くの家で使われていたが、プラスチック製品の普及で姿を消しつつある。

 そんな中、同館はモザイクタイルの生産全国一の同市がデザインの良さや耐久性を見直してもらい、地場産業を活気づけようと建設。タイルに関する史料、生産の最新技術も紹介し、リフォームなどの相談も受け付けている。

 入場者は当初、年間2万5千人程度と見込んでいたが、開館後は6倍の15万人が訪れた。インスタ映えで若者らを呼び込んだようで、学芸員の村山閑(のどか)さんは「今年も大学が春休みになる2月ごろから若者が目立ってきた。(建物や展示が)新鮮に映るようで、ポップで明るい感じにとらえられている。きっかけは何であっても、タイルに魅力を感じてもらえたらうれしい」と話す。

ハコモノ復活、非日常画像に人気

 養老町の体験型芸術施設「養老天命反転地」も、インスタ映えで活気を取り戻したスポットだ。天井や壁、机などを天地を逆転させて配置した建物や、通路を進むうちに壁となって歩けなくなるフィールドなどが起伏にとんだ広大な敷地に点在し、さまざまな錯覚を体感できる。

 斜めに作られたドアの前はインスタ映えのポイントで、「ドアに合わせて身体を曲げて」などと声を掛け合い撮影するカップルも。

 施設は平成7(1995)年10月にオープン。非日常空間は前衛作家が集まり設計した。県都市公園課によると、入場者は平成26(2014)年度まで6万人前後で推移していたが、27年度に8万3千人を超え、28年度は13万人に上った。

旅先選定はSNSで

 卒業旅行シーズンも佳境に入ったが、スマホの普及とともにインスタで旅行先を決める若者が増えている。

 国内外の航空券やホテル、レンタカー情報の一括比較検索サービスを提供する「スカイスキャナージャパン」(東京)が2月、卒業旅行に関する親世代(45~55歳)とその子の若者世代(18~30歳)の意識の比較調査を行ったところ、行き先のきっかけが親世代は「ずっと行ってみたかった」「観光地」「費用」「雑誌で見たから」と続いた。一方、子供世代は「観光地」がトップで「ずっと行ってみたかった」「費用」と続き、大人世代の雑誌に代わって「SNSで見たから」がランクインした。

インスタ見てスマホで即予約

 また、世界最大級の米総合旅行サイト「エクスペディア」の日本語サイト「エクスペディア・ジャパン」が2月に行った卒業旅行に関する調査によると、SNSで行き先を検索する学生が約6割を超えた。

 インスタで画像を見て投稿の多さなどを判断材料にしているとみられる。スマホでインスタを見れば、すぐに交通手段などを予約できるのもインスタ映えの人気スポットに客が集中する要因のようだ。

 エクスペディア・ジャパンの広報担当、村井晶奈さんは「SNSで実際に行った第三者のインスタなどにリアリティーを感じ、格安航空会社をオンライン予約で費用を抑えるのが、旅行の当たり前のスタイルとして定着しつつある」と分析する。

 この現状に日本旅行(東京)は「卒業旅行・学生旅行の思い出」をテーマにインスタを活用した学生フォトコンテストを実施、インスタ映えを旅行商品の参考にしようとしている。

 多治見市や養老町のようなメジャーでない観光施設にもスポットを当てたインスタ映え。多治見市産業観光課の長谷川昭治課長代理は「斬新で魅力的な建物にしたい思いはあったが、インスタ人気は想定外。特別に広告費用も使わずにみなさんが拡散してくれるのはありがたい」と驚く一方で、「人気がいつまで続くか」と心配も。

 施設にとっては、若者が広げてくれた関心をいつまで引っ張れるか、今後の企画力も試されそうだ。

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