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不気味に動くロシアとアゼルバイジャン パリ撤退の万博誘致、大阪は気を抜けない

2018/02/21

 パリが撤退した2025年国際博覧会(万博)の開催地をめぐる争いで、大阪の対抗馬として残るロシア中部のエカテリンブルク、アゼルバイジャンの首都バクーに、関係者は警戒感を強めている。ロシアでは誘致に向けた予算措置をめぐり、政府内での足並みの乱れが鮮明化。アゼルバイジャンも経済の低迷で大型公共投資の見直しが進められている。ただ、両国とも政権の意向次第で財政難をスルーできる。日本は最後まで気が抜けない誘致レースを強いられそうだ。(黒川信雄)

 「厳しいレース変わりない」

2017年7月、ロシア中部エカテリンブルクで開かれた産業展示会で、日本企業のブースを視察するプーチン露大統領(中央)。左隣は世耕弘成経済産業相(黒川信雄撮影)

 開催地を決める11月の投票を前に、パリの撤退が伝わったのが先月21日。その後、現地の誘致委員会の反発などもあったが、今月7日、博覧会国際事務局(BIE)がフランス政府から正式に立候補辞退を通知してきたことを発表した。理由は「財政上の懸念」だった。

 一連の経緯の中で、大阪の最大のライバルと見られていたパリの撤退を歓迎する声が上がったが、一方では「厳しいレースになるのは変わりない」と楽観論を戒める見方も根強かった。事実、ロシア、アゼルバイジャンは決してくみしやすい相手ではない。両国は近年、大型国際イベントの招致に相次ぎ成功。「国際社会での地位の向上」を目的に、採算性を度外視した政権主導の誘致活動を展開してきた。

 五輪、サッカーW杯誘致の実績

 ロシアは14年にソチ冬季五輪を開催、今年6月に開幕するサッカーワールドカップ(W杯)の誘致を実現させた。その中心にいたのが現大統領のプーチン氏だった。14年のウクライナ危機、組織的なドーピング問題などで孤立するロシアにとって、万博誘致は国際社会との関係回復を図る貴重な機会となる。

 アゼルバイジャンも国際イベントを重視する。近年は自動車のF1レースの誘致に成功したほか、大型の文化、スポーツ行事も招致してきた。資源産業で存在感を増す同国は、ロシアとは距離を置きつつ、欧州と接近するなど独自の外交政策を続ける。国内では抑圧的な政治体制を敷くが、国際社会の一員としての存在をアピールするために、これらのイベントは重要だった。領土問題を抱える隣国、アルメニアとの国力の差を示す狙いがあるとも指摘される。

 最終的には政治判断

 ただ、両国ともほころびは見え隠れする。現地報道によると、ロシアのドゥボルコビッチ副首相は1月28日、エカテリンブルク市への連邦政府の投資を「最小限の支出」にとどめる考えを表明。その直後、副首相の発言を打ち消すかのように、同市サイトには万博開催に向けたインフラ投資が「約10億ユーロ(約1370億円)」にのぼるとするマントゥロフ産業貿易相の発言が掲載されたという。実情は不明だが、主要輸出品の石油・天然ガス価格が不安定な動きを続けるなか、政府内でも万博に向けた財政支出をめぐり見解が一致していない可能性が高い。

 アゼルバイジャンも経済は低迷している。石油・天然ガス生産量の低迷を受け、同国の経済成長率は16年からマイナスに転じた。「政権への反対意見は容認されない」(関係筋)ともいわれる同国だが、14年以降の原油価格下落を背景に反政権デモも発生している。財政悪化を受け、政府は優先度の低いインフラ投資などを中止しているという。

 さまざまな思惑が絡み合うロシア、アゼルバイジャンの万博誘致活動だが、政権がどこまで注力するかは最終的には、極めて政治的な判断になる可能性が高い。両国の誘致活動そのものの情報もパリと比べると格段に少なく、大阪は引き続き困難な誘致レースを余儀なくされそうだ。

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