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[連載]観光立国のフロントランナーたち フードダイバーシティ・守護彰浩社長(2)

2018/02/19

ジャパンインバウンドソリューションズ(JIS)の中村好明社長 (一般社団法人日本インバウンド 連合会理事長)が、日本の観光立国実現に奔走するキーマンたちと、その道筋について語り合う大型対談「訪日ビジネス最前線 観光立国のフロントランナーたち」。フードダイバーシティの守護彰浩社長との対談の第2回では、起業のきっかけ、仕事に対するやりがい、守護社長のこれまでの歩みについてお聞きしました。

観光立国には欠かせない食の禁忌への対応

中村 日本の「食」にこだわってインバウンドビジネスに取り組む最初の原点は何だったのでしょうか?

守護社長 学生時代、ムスリム(イスラム教徒)の留学生と関わる機会があったのですが、その中で、「食べられるものが全然ない」という声をよく耳にしていました。その後、社会人になってからも、イスラム教徒の方々と一緒に働いていたのですが、そこでも、やはり食べる物が全然ないと聞きました。日本の食はすごく世界で評価されているのに食べられないというのはおかしいと思いました。

中村 そこで 「ハラール」の食に関心を持ったのですね。

守護社長 日本が誇るべき食材をまだ食べたことがないというのは大きな衝撃でした。それは、「食べていない」のではなく、「食べることができない」…。CAN NOTのほうです。そこに気付かされました。「日本食を食べることができない」という大きな壁があるということを知り、その壁を壊せば、日本はもっと大きなフロンティアが見えるのではないかと感じました。

中村 守護社長にとって、日本の観光立国を阻害している壁がいろいろとある中で、「食」という壁を突き崩すことに起業の大きな可能性があると感じられたわけですね。「食べることができない」というソーシャルな課題を解決してあげたいという思いが自分の生きていく道につながったということですね。

守護社長 つながりましたね。最初はたまたま知り合ったのがイスラム教徒だったという話ですが、この仕事を通して食の禁忌を持った方々と会う機会が増え、やはりこの方々に日本食を食べてもらいたいと思うようになりました。

日本食のハラール対応は次のステージへ

中村 この4年間取り組んでこられたやりがいや手応えはありますか。

守護社長 私はムスリムの方々がレストランを選ぶにあたって4つのカテゴリーができてきたと思っています。

まずひとつは、ハラール対応店が周りにないため妥協して選ぶベジ・シーフドレストラン。もうひとつは、ハラール対応しており、安心して食べられること。3つ目は、ハラール対応かつおいしい。4つ目は、ハラール対応で、なおかつ日本人が並ぶ店に行きたいという需要が出てきています。日本以外のアジアでは、レストランに行く際に並ぶ文化はあまりありませんが、ムスリムがハラール対応している行列店に並んでいるというのがうれしいですね。

今、東京、大阪、京都は完全に味勝負になっています。もう、ハラール対応だけでは呼べません。日本の食が彼らに受け入れられたということがすごくうれしいです。

中村 ハラールの文化が日本の中に受け入れられ、成熟しつつあるということですね。

守護社長 ハラール対応のなかでも、味勝負の次元になっていることがすごくうれしいです。3~4年前にハラール対応のオーストラリア産牛肉を使ったすき焼きパーティを主催した際は200人くらいの人たちが集まりましたが、今、同じことをやろうとすると、「和牛ですか?」と食材のことを聞かれます。また当時、すき焼きでも生卵をほとんどの人が手を付けなかったことを鮮明に覚えていますが、今はほとんどの人が抵抗なく食べるようになりました。食べ方も含めて日本の食に対するムスリムの方々のニーズが明らかに高いということですね。また、地方では、まだ、ハラールの対応が進んでいないところも少なくないので、とても可能性を感じています。

中村 都市部では4つ目のステージにきていますが、地方ではまだということですね。

守護社長 そうですね。最近は、よくご当地物のハラールが食べたいというお問い合わせをいただくことが多くなりました。ハラール札幌ラーメン、ハラールもつ鍋などですね。これらに対応できれば、より多くのムスリムの方々を誘致する大きな材料になると思います。

中村 ご当地フードのハラール対応というのは、これからの課題であり、また同時に大きなチャンスでもあります。 (続く)

守護彰浩(しゅご・あきひろ) 1983年石川県生まれ。千葉大学卒業後、2007年楽天株式会社入社。2014年1月に「ハラールメディアジャパン」を創業し、日本国内のハラール情報を6言語で世界に発信するポータルサイトの運営をスタートさせた。また、ハラールにおける国内最大級のトレードショー・「ハラールエキスポジャパン」を4年連続で主催。国内外の事業者やムスリム2万人以上が来場するイベントとなっている。2017年10月に社名を「フードダイバーシティ」に変更。ハラールに加えてベジタリアン、ビーガン、コーシャなどありとあらゆる食の禁忌に対応する講演、及びコンサルティングを行う。

中村好明(なかむら・よしあき) 1963年佐賀県生まれ。ドン・キホーテ入社後、分社独立し現職就任。自社グループの他、公共・民間のインバウンド振興支援事業に従事。2017年4月、一般社団法人日本インバウンド連合会理事長に就任。国際22世紀みらい会議(Mellon 22 Century)議長。日本インバウンド教育協会理事。ハリウッド大学院大学および神戸山手大学客員教授。日本ホスピタリティ推進協会理事・グローバル戦略委員長。全国免税店協会副会長。みんなの外国語検定協会理事。観光政策研究会会長。著書に『ドン・キホーテ流 観光立国への挑戦』(メディア総合研究所、2013 年)、『インバウンド戦略』(時事通信社、2014年)、『接客現場の英会話 もうかるイングリッシュ』(朝日出版社、2015年)、『観光立国革命』(カナリアコミュニケーション、2015年)、『地方創生を可能にする まちづくり×インバウンド 「成功する7つの力」』(朝日出版社、2016年)、『儲かるインバウンドビジネス10の鉄則』(日経BP社、2017年)がある。

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