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JTBが訪日客向け型破りツアーを企画 北海道から九州まで網羅、2020年代にはバスと船でアジア縦断も

2017/04/02

JTB(本社・東京都品川区)が「着地型」と呼ばれる訪日外国人客向けの国内ツアーで、勝負をかけようとしている。北海道から九州までを網羅する全48コースのバスツアーを2017年度から本格的に展開するが、ツアーにも関わらず途中参加や途中離脱も可能のほか、1人でも成立するという斬新なサービスが売りという。「将来的にはバスとフェリーを使ってシンガポールまで結ばれる」という壮大なビジネスモデルの成否やいかに―。

欧州で普及「乗合型ツアー」のノウハウ導入

201703311258_1-300x0.jpgJTBが先行実施したバスツアーはスペイン語圏からの訪日客に好評だった(JTB提供)

ツアーは欧州で普及する「乗合型ツアー」のノウハウを取り入れた。日本人にはあまりなじみのない形態だが、言い換えれば「観光バスを地下鉄のように定期巡回させるもの」(JTB)で、訪日客は行き先を決めたら定期運行されるバスを乗り継いで目的地に向かう。路線バスと違うのは、バスごとに英語などを話す通訳案内士が同乗し、観光スポットでの案内を務めてくれる点だ。

基本ルートは、(1)東京・関東~東北~札幌循環(1周10日間)(2)東京・関東~中部~京都循環(8日間)(3)大阪~高野山~京都循環(5日間)(4)大阪~広島~四国(6日間)(5)韓国~下関~広島~福岡循環-の5つで、各ルートは主要都市でつながるためルートをまたいだコース設定が可能。ツアーの一部だけ参加することもできるという。

宿泊先はJTBが提携するホテルや旅館などを紹介する予定で、価格の一例では、13日間のコースが宿泊代を含めて約3920ユーロ(約47万円)。すでに欧州や東南アジアも含めた20カ国で、4月8日スタートの東京~京都循環ツアーの販売を始めた。29年度中に5000人の販売を見込むほか、5年後に数万人規模の顧客獲得を目指す。

従来型に限界…自由度高いツアーに活路

JTBが異色のツアー販売に踏み切ったのは、従来型のツアーでは訪日客の地方誘客に限界があるとの危機感からだ。

政府は東京五輪・パラリンピックが開催される2020年までに訪日客数を4000万人とする目標を掲げる。だが都市部の宿泊施設は需給が逼迫(ひっぱく)している一方、二次交通などの未整備もあり地方誘客は不十分だった。JTBグローバルマーケティング&トラベル(本社・東京都品川区)の座間久徳社長は「訪日客もはるばる来日したなら各地を回りたいはずなのに、自由度の高いツアーがこれまでなかった」と分析する。

そこで目をつけたのが、JTBが出資するスペインの旅行大手ヨーロッパムンドバケーションズ(EMV)が欧州で展開する乗合型ツアーだ。EMVが昨年実施した国境をまたぐツアーは、約800のコースに約12万7000人が利用する人気で、長期滞在の需要を取り込んでいた。
201703311258_2.jpgヨーロッパムンドバケーションズ社が実施する乗合型バスツアーは欧州などで人気となっている(JTB提供)

ツアー客が1人でもいればバスを走らせるビジネスモデルのため採算が不安視されたが、28年5月から、EMVの主要顧客のうち中南米などスペイン語圏を対象に国内バスツアーを先行して実施したところ、中高年を中心に好評だった。地方の宿泊施設が手頃な価格設定にできることも含め、「損益分岐点に十分達する見通しが得られた」(座間社長)という。

異色のビジネスモデルは今後の展開に向けた青写真も型破りだ。

「すばらしいプロジェクトが日本からアジアに広がっていく」。3月上旬の記者会見でEMVのルイス・ガルシア社長が2022年のプランとしてぶち上げたのは、バスと船でアジアを縦断するという壮大なツアー計画だ。北海道から始めて韓国、中国に入り、最終的にはシンガポールまでつなぐという。

訪日客の地方誘客には二次交通網の整備などが課題だが、バスツアーならば公共交通機関で行くには不便な観光スポットも行くことが可能だ。JTBは今後、ツアーコースとなる「隠れた名所」を掘り起こしていく計画で、九州エリアの拡大など国内コースのさらなる充実を図る。(経済本部 佐久間修志)

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