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車いすでマラソン大会、介助サポーターが同行 「ユニバーサルツーリズム」障害あっても旅を愉しむ

2017/03/29

障害者や高齢者らが気兼ねなく旅行を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」が広がっている。車いすを使う人がマラソン大会に参加するツアーが企画されたり、旅行中の介助をする“サポーター”が同行したり。障害を持つ人が快適に過ごせる部屋を提供するホテルも充実してきた。(櫛田寿宏)

オーロラや星空満喫

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東京都に住む60代の女性は昨年12月、車いすでホノルルマラソンに出場し、10キロのコースを完走した。「1回しかない人生を楽しまなくちゃ。体力、気力が続く限りこのツアーに参加したい」

「このツアー」とは、旅行会社のエイチ・アイ・エス(HIS、本社・東京都新宿区)が催行しているパッケージツアー「たびのわ」のこと。障害者や高齢者らを対象としており、毎年700~800人が参加している。

社会福祉士などの資格を持つスタッフが添乗し、旅行先はハワイなど人気スポットだけでなく、オーロラが見られるアイスランドや、大草原で満天の星空を満喫するモンゴルなど、個人旅行では行きにくい国も。添乗員が旅行中に会員制交流サイト(SNS)で「旅の実況中継」をするので、家族の安心にもつながっている。

埼玉県に住む、車いすの20代の女性も約2年前、たびのわでホノルルマラソンに出場した。「今度はフルマラソンに出場したい」と笑顔を見せる。

HISユニバーサルツーリズムデスクの薄井貴之所長は「旅は最高のリハビリで人生の最大の楽しみ。障害や高齢を理由に諦めることがないよう、サービスの充実に努めたい」と話す。

旅行会社、クラブツーリズム(本社・新宿区)も障害者らの旅行に力を入れている。添乗員とは別に、荷物の運搬や車いすでの移動などを介助するトラベルサポーターがいる。介護職員初任者研修や看護師などの資格を持つ人たちで、現在約300人が登録している。

追加料金は海外旅行の場合、基本旅行代金の70%。料金は割り増しになるが、就寝中のトイレ介助などをしてくれるプランもある。

電動ベッドで補助

宿泊施設も、旅行が楽しかったか否かを決める大きな要素だ。京王プラザホテル(新宿区)は障害者や高齢者らに優しい10室のユニバーサルルームを備える。

ユニバーサルルームには電動ベッド、立ち上がる際に座面が上がるアームチェアがある。耳の不自由な人のためには、ドアがノックされると光や振動で知らせる装置があり、タブレット端末でフロントなどにメッセージを送ることもできる。バスルームは車いすのまま入ることができ、また、スロープや手すりなどは着脱可能で、普通の客室としても利用できる。

京王プラザホテル客室支配人の中村さおりさんは「ホテルとしての高級感を損なわないよう心がけながら、あらゆる人が快適に過ごせるよう工夫を重ねている」と説明している。

高い潜在需要

ユニバーサルツーリズムは、市場としても魅力がある。公益財団法人ちゅうごく産業創造センター(事務局・広島市中区)によると、平成27年のユニバーサルツーリズムの推計市場規模は同伴者を含めると1兆750億円。これに何らかの理由で旅行を諦めている潜在需要を合わせると3兆5410億円としている。

NPO法人高齢者・障がい者の旅をサポートする会(事務局・東京都目黒区)の久保田牧子理事長は「旅先には楽しいことがいっぱいある。生き生きと暮らすために、旅を諦めないでほしい」と話している。

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