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霜降りか肉らしさか…海外で評価割れる和牛 「少量なら…」「ステーキではない」

2017/03/19

ナイフがなくても食べられる柔らかさと、美しい霜降りの「サシ」から溶け出すバターのようなコクから、和牛は世界最高の牛肉と評価されることが多い。和牛と表示可能な子牛は生まれてすぐに登録され、厳しい基準に沿って飼育される。手がかかっているだけに、値段も張る。例えば米カリフォルニア州ビバリーヒルズにあるセレブ御用達のステーキハウス「CUT(カット)」では、宮崎県産和牛のステーキ2オンス(56グラム)が140ドル(約1万6000円)する。

201703171047_1-300x0.jpg ロンドン・メイフェア地区のレストラン「グリーンハウス」のフレンチ風和牛(ブルームバーグ)

だが、誰もが和牛を称賛しているわけではない。英国で今週発売の牛肉レシピ本「プライム:ザ・ビーフ・クックブック」の著者、リチャード・ターナー氏は和牛が「嫌いだ」と断言する。

食べると「味わいが頭全体に広がるが、すぐに消える。それが好きという人はいるが、僕は英国人だ。牛肉の風味をもっと長く味わっていたい」と話す。

ロンドンで和牛がどのように料理されているかを調べるため、筆者はメイフェア地区にあるミシュラン二つ星の日本食レストラン「UMU(ウム)」の石井義典シェフと食べ歩いた。

パークレーンにある「CUT(カット)」はシェフ自身が和牛びいきで、最高級の鹿児島産和牛を使ったニューヨーク・サーロイン・ステーキ(6オンス)が140ポンド(約2万円)から。和牛は中東出身者の間で特にファンが多いという。

金融街、カナリーワーフにあるイタリアンの店のベラ・コサでも、和牛がメニューに載ることがある。そして、ケンジントンの日本食レストラン、ヤシン・オーシャン・ハウスではあぶりの和牛をネタにしたにぎりずしや、和牛すき焼きが食べられる。

そして、メイフェア地区のレストラン、グリーンハウスではニンジンやグレープフルーツ、黒ごま、タマリンドを使ったフレンチ風の和牛料理を味わうことができた。ここのシェフ、アルノー・ビニョン氏は「日本と同じように少量しか食べないのであれば、和牛は良い」と話した。

ファンも多い和牛だが、ステーキに関する本の著者、マーク・シャツカー氏は和牛をあまり高く評価していない。

素晴らしい肉ではあるが「ステーキではない。全く違う。どちらかというとフォアグラだ。ステーキからは血がしたたる。動物の肉を食べていると実感でき、自分の中の野生が満たされる。和牛はもっと繊細だが、だからといって(他の牛肉より)優れているわけではない」と述べた。

石井シェフはUMUで群馬県産和牛を出すが、客の一部にはその良さが理解されておらず、脂っこすぎると苦情を受けたことがあるという。焼くと霜降り部分が溶けて見えなくなるため、本当の和牛を使っていなのではないかとクレームをつけられたこともあると話す。

ただ、その石井シェフも、自宅で牛肉が食べたい時は和牛でなく、スーパーでスコットランド産の熟成ビーフを買って調理する。「牛の本当の味が好きなんだ」と話した。(ブルームバーグ Richard Vines)

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