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サウジ国王がやって来る 豪華外遊「高級ホテル1200室は押さえた」それでも足りない 1500人の大訪問団 

2017/03/09

サウジアラビアのサルマン国王が3月12日から4日間の日程で来日する。サウジ国王が日本の土を踏むのは昭和46年以来46年ぶり。対日関係や国際情勢をめぐる発言は政財界の関心を集めるが、注目されるのはそれだけではない。世界最大級の産油国トップだけに規格外の豪華外遊となりそうだ。(杉本康士、大山文兄)

201703132132_1-300x0.jpg貨物機から運び出された国王専用のエスカレーター型のタラップ=5日午後、羽田空港(大山文兄撮影)

「既に東京都内の高級ホテル1200室は押さえている」。日サウジ外交筋はこう明かす。国王来日には複数の閣僚や王子が同行する。来日に先立つインドネシア訪問には約1500人が随行。日本に直接来る随員も含めるとさらに増えそうで、日本で受け入れ準備が着々と進んでいる。

国王専用のエスカレーター

動きがあったのは5日午後3時過ぎ。1機のロシアの貨物機が羽田空港に降り立った。貨物機をチャーターしたのは、サウジアラビア政府だった。人影もまばらな駐機場で、貨物を出し入れする後部ハッチから運び出されたのはエスカレーター式のタラップだった。サルマン国王の空の旅に欠かせないものだ。

「日本に移動式タラップはあるか?」

サウジ政府関係者は12日からの国王来日を前に、日本側に確認を求めた。サルマン国王は81歳で、2月末から約1カ月にわたるアジア諸国歴訪には細心の注意が必要となる。日本側で準備できないことが分かると、サウジ政府は国王専用のタラップを持ち込むことを決めた。

ハイヤー業界は嬉しい悲鳴

昨年9月、国王の息子で実力者のムハンマド・ビン・サルマン副皇太子が来日したときは、約500人が13機の飛行機で同行しており、約200台のハイヤーやバスが借り出された。アラブ産油国の王族が外遊する際に大規模な同行団が編成されるのは「中東を専門にする外交官にとっては常識」(外務省関係者)だが、サルマン国王の来日は別格となりそうだ。

サルマン国王は来日に先立ち、マレーシア、インドネシア、ブルネイを歴訪。英BBC放送は、移動式エレベーターを含む459トンもの貨物をインドネシアに運び込んだと報じた。

日本政府関係者は「アラブ諸国は直前まで何人が来るのか分からない」と話す。日本への空の足は、最大40機の飛行機となる見通しだ。日本国内移動のために400台以上の車両確保も進められている。ハイヤー業界関係者は「指定されるのはベンツやBMW、レクサスなどの高級車。関東だけでは足りず、東海地方のハイヤーも探さざるを得ない」と語る。

世耕氏厚遇でびっくり

これだけの出費を伴ってでもサルマン国王が来日するのは、純粋な儀礼外交を行うためではない。

日本は輸入原油の3割以上をサウジに依存しており、両国関係は良好な状態が続いてきた。特に2015年1月にサルマン国王が王位を継承してからは、サウジ側の積極的な姿勢が目立つ。日本政府関係者を驚かせたのが、昨年10月の世耕弘成経済産業相のサウジ訪問に向けた事前調整で、サウジ側から告げられた言葉だった。

「4日後にサルマン国王が世耕氏とお会いします」

サウジ国王が海外の閣僚と会談することは異例中の異例。しかも、サウジ国王との面会が確定するのは当日になることが通例だ。外務省幹部は「サウジがこれまで以上に日本を大切にしている証拠だ」と語る。

サウジが日本重視を強めるのは、ムハンマド副皇太子が進める脱石油依存の国内改革に対する日本の協力を期待しているからだ。昨年9月の副皇太子来日時に設置した閣僚級協議で、経済交流促進のための環境整備や人材育成・共同研究など5分野での協力を今後、検討していくことで合意した。

ただ、サルマン国王は15日に来日を終えた後、中国へと向かう。習近平国家主席は昨年1月にサウジを訪問しており、サウジとの関係強化を図っている。

日本と中国を競わせ、双方からより大きな協力の果実を得る-。サルマン国王のアジア諸国歴訪には、サウジの国益増大を図るしたたかな計算も垣間見える。

 

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