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韓国旅行業、壊滅的打撃か 米軍THAAD配備で中国が報復、観光禁止令

2017/03/08

韓国による米軍の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の国内配備決定に対する中国の報復行動が相次ぐ中、韓国旅行業界では、15日からの中国旅行会社による韓国ツアー販売停止がさらなる壊滅的な打撃をもたらすとの懸念が高まっている。(ブルームバーグ Bruce Einhorn、Sohee Kim)

201703081405_1-300x0.jpg韓国・済州島の海岸を散策する人たち=2015年6月(ブルームバーグ)

韓国の人気リゾート地・済州島を昨年訪れた中国人観光客は約310万人で、外国人観光客総数の約85%を占めた。同島のウォン・ヒリョン知事は、中国国家観光局による韓国旅行の販売禁止令が「致命傷を与える」と指摘。観光地だけでなく、レンタルバス会社やホテル、旅行代理店にも影響が及ぶと危惧した。

島内の人気観光スポットの一つ、テディベア博物館のゼネラルマネジャー、ピョン・チャンシク氏は「今年に入り、中国人旅行者がすでに約20%減少している。自力ではどうすることもできない」と嘆いた。

2015年に同島で開業したデジタルテーマパーク「PLAY K-Pop」も、韓流スターのホログラムコンサートなどが人気の観光スポットだ。同館のカン・オヒョン氏は、1日当たり6、7台の中国人ツアーバスが来場していたが、最近では1台でさえ厳しいと語る。

中国共産党系の機関紙・環球時報は3月5日、中国の大手ネット配信サービス数社が韓流ドラマなど人気の韓国製コンテンツを排除したと報じ、両国間の対立の影響は広がりをみせている。

ハナ・フィナンシャル・インベストメントのストラテジスト、キム・ギョンファン氏は、中国政府による圧力はいずれ、韓国製の自動車や携帯電話、化学製品の販売にも悪影響を及ぼすだろうと指摘する。ブルームバーグのデータでは、韓国の現代自動車にとって中国は最大市場だ。

キム氏は自動車だけでなく対中輸出全体が「5~10%減少する」と予測。「中国が全ての制限を解除したとしても、状況が改善するには6カ月から1年はかかるだろう」と語る。

中国と日本が12年に尖閣諸島の領有権をめぐり膠着(こうちゃく)状態にあった際、中国では反日デモが繰り広げられ、トヨタ自動車の販売店や他の日系店舗が攻撃された。日系自動車メーカーの中国販売の回復には1年を要した。フィリピンや台湾も、中国政府による経済的報復を経験している。

豪シドニー大学のジェームズ・ライリー准教授(政府・国際関係学部)は「中国は、外交的圧力をかける上での有力なツールとして、自国消費者の購買力を利用することに一層の関心を示している」と指摘する。

韓国政府は3月5日、中国が世界貿易機関(WTO)や中韓自由貿易協定(FTA)の規定に抵触している場合、法的措置を講じる可能性があると表明した。

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