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三越伊勢丹HD、大西社長退任で調整 爆買い鈍化への対応、構造改革で成果出せず

2017/03/07

百貨店最大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)の大西洋社長(61)が3月末に退任する方向で調整していることが3月6日、分かった。国内市場での百貨店離れや中国人訪日客の“爆買い”の鈍化で業績が悪化する中、構造改革で成果を出せなかった責任を明確化する。

201703071358_1-300x0.jpg三越伊勢丹ホールディングスの大西洋社長

伊勢丹出身の大西氏は平成24年に三越伊勢丹HD社長に就き、三越出身の石塚邦雄会長(67)を後ろ盾にグループを率いてきた。大西氏の後任は現時点では未定で、石塚氏は留任するもようだ。

同社は6日、「代表取締役の異動は、7日開催の取締役会で決議する予定」とのコメントを発表した。

三越伊勢丹HDは売上高に占める百貨店事業の比率が競合他社に比べ大きいことが課題で、大西氏は地方店の閉鎖や他社との提携といった構造改革に取り組んだが、29年3月期の営業利益は前期比28%減の240億円と大幅減益の見通し。

29年2月期の営業利益見込みでライバルの高島屋が3%増、J・フロントリテイリングも6%減に止まるのに対し、三越伊勢丹の業績は見劣りしていた。

業態転換でライバルに遅れ 閉鎖店舗めぐり社内対立も

三越伊勢丹HDの大西社長が退任する方針を固めた背景には、他の大手百貨店に比べ業態転換などで出遅れていることがある。屋台骨の伊勢丹新宿本店(東京都新宿区)など旗艦3店も客離れを起こし、大西社長は今春にもリストラ策を公表するとしていた。だが、リストラをめぐって、社内対立が起きているとの見方も浮上している。

「今のビジネスモデルで良いとは思っていない」。昨年11月の中間決算発表で大西社長はこう語った。

ユニクロなどの専門店やショッピングセンター(SC)の台頭で、平成28年の国内の百貨店の売上高は5兆9780億円と、ピーク時の3年に比べ6割程度まで縮小。一時は訪日外国人による“爆買い”で一息ついたが、それも終息した。

百貨店を取り巻く環境の変化に対し、高島屋は6日、婦人服売り場の一部を健康や美容関連に転換し、15日に新宿店(東京都渋谷区)を改装オープンすると発表。大丸松坂屋を運営するJ・フロントリテイリングも4月に銀座松坂屋跡地(東京都中央区)にオフィス一体型の複合商業施設「GINZA SIX(ギンザシックス)」をオープンする。

競合他社が業態転換を急ぐ中、三越伊勢丹は衣料品などを仕入れて自前で売るという従来型のビジネスモデルに固執し、出遅れた。

「リストラをめぐり、社内で意見対立があった」(三越伊勢丹HD関係者)との指摘もある。大西社長は三越千葉店(千葉市)や三越多摩センター店(東京都多摩市)を3月に閉店するだけでなく、松山三越(松山市)、広島三越(広島市)の売り場縮小などを検討すると表明。管理職のポストの1~2割の削減、人員削減も検討していた。

売り場縮小の検討は伊勢丹の松戸店(千葉県松戸市)と府中店(東京都府中市)も含まれるが、旧三越出身者からは「三越ばかりがリストラされる」との不満の声も聞かれるという。

20年に統合した三越伊勢丹HDは、かねて老舗ゆえに経営統合がうまくいっていないとの見方が業界内で強かった。給与や人事面などの待遇でも旧伊勢丹が優遇され、不協和音があったとされる。

昨夏に賞与格差は解消されたが、リストラが火種となって旧三越と旧伊勢丹出身者の確執が深まり、大西社長の退任につながったとの見方もあり、三越伊勢丹HDの株価は6日、前週末比5.1%安と、大きく値を下げた。

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