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[連載]観光立国のフロントランナーたち 全国免税店協会 阿部英行会長(3)

2017/02/28
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日本のインバウンドビジネスの開拓に奔走するジャパンインバウンドソリューションズの中村好明社長が訪日ビジネスの最前線を進む人々を迎え、「観光立国」実現に向けた道筋について語り合う大型対談「訪日ビジネス最前線 観光立国のフロンティアたち」。第3回では、世界でも珍しい日本の免税制度とその課題について免税店の民間団体、全国免税店協会(全免協)の阿部英行会長が語ります。

訪日外国人の買い物客に優しい国ニッポン

中村 2014年に従来、免税対象ではなかった食品や薬品、化粧品などの消耗品が免税対象になるなど、ここ数年で日本の免税制度は大きな変化が起きています。

阿部 この3年の動きはもう激変と言っていいでしょう。消耗品を免税対象にするときに財務省からヒアリングを受けたのですが、当初、私は大反対でした。訪日外国人観光客がお土産で買ったものを国内で食べたり飲んだりしても厳密にチェックできないと思ったからです。しかし、観光庁から「お菓子や地酒が売れる地方のことも考えてほしい」と言われ、考え方が変わりました。

中村 免税制度には日本と諸外国との間には違いがありますが、ここ数年の制度見直しをどう評価していますか。

阿部 私は諸外国に比べて日本が一歩リードしたと思っています。諸外国はリファンド(払い戻し)方式といって、払うときに建て替え、後から手数料が差し引かれた分が戻ってきます。多くの場合は空港に設けられた窓口で払い戻しをするのですが、日本の場合は、免税許可を受けた店舗によりますが、外国人観光客がパスポートを提示すれば、消費税を免税した価格を支払うだけで済みます。外国人観光客からすれば、日本は買い物天国ですよ。しかも日本の方式は払い戻しがない分、経済効果が大きいですからね。

中村 空港での払い戻しですと、そのお金を持って帰国していまいますが、日本の場合は、払い戻されたお金を日本国内で使うことができます。

阿部 その通りです。国全体で見ると無視できない規模の経済効果になると思います。外国では、搭乗間際になると、払い戻しのために空港の窓口に長い列ができて、払い戻しまですごい時間がかかることがあります。そんな空港での手続きが簡単なことを考えると、日本は外国人観光客にとして優しい国といえます。

中村 世界の中でも珍しい免税制度といえますが、それ自体がすごいということで外国人観光客が増えているのかもしれません。

まだ多い改善の余地 データ化にさまざまなメリット

201702281637_1.jpg中村 逆に、課題はあるのでしょうか。

阿部 日本の制度では、パスポートに購入記録票を張り付けなければなりせん。これは大きな課題です。買えば買うほど書類が増え、パスポートが厚くなる仕組みですので、改善の余地があるでしょう。免税制度を利用する訪日客がお店でモノを買ったら、誰が何をいくらで買ったかをデータとして管理できるようにする必要があると思います。

中村 購入記録をビッグデータ化して、それを活用すれば、訪日客が何を本当にほしいのか。訪日客に何が売れるのかを分析することもできます。そうすれば、新たな可能性も見えてきますね。

阿部 観光庁が空港などで日本酒をPRしていましたが、データ化すればそういうプロモーションの効果が詳しく分かります。例えば、フランスからの訪日客が特定のものをたくさん買うと分かれば、輸出に力を入れてもいい。向こうの国に売り場をつくるなどいろいろなアイデアが出てくるはずです。そういう意味も含めてデータ化というのは、免税手続きの負荷軽減だけではなく、非常に広く戦略的な活用できるのです。

中村 訪日客の買い物の傾向を全体的なマーケティングに生かすわけですね。

阿部 もし実現すれば、これは大変に正確なデータになります。国としての財産になるでしょう。

昔の秋葉原は「電気街」、今は…?

中村 少しテーマを変えて訪日外国人観光客に人気のスポット、東京・秋葉原についておうかがいしたいと思います。阿部会長は40年以上にわたって秋葉原を見てきました。かつての電気街も今や同時にオタクの街へと変化しました。その変化をどうみていらっしゃいますか。

阿部 秋葉原は4つの要素のうち1つを持ってないと成り立たないと考えています。その4つとはオタク、部品(パーツ)、中古、外国人。家電で一般家電だけやろうと思っても売れないんですよ。

中村 メイド喫茶などが出てきて雰囲気が変わったのでは

阿部 いい言葉教えましょうか。昔は「秋葉原電気街」でしょ、今は「秋葉原電気“以外”」。うちの社員が言っているだけですが(笑)。ある意味で、こだわりの街なんですよ。

中村 次回は、ご自身が経営されているアッキーインターナショナル社長としてのご経験を踏まえ、免税店の運営の難しさについてお話しをうかがいます。

阿部英行(あべ・ひでゆき) 1974年朝日無線電機(現ラオックス)入社。海外事業部長として同社の免税品販売を担当してきた。関連子会社のダイオー、神田無線電機の社長を歴任後、2002年に退社。同年免税店を展開するアッキーインターナショナルを設立、社長に就任した。現在、東京・秋葉原を中心に国内に4店舗の免税店を展開している。2005年輸出物品販売場等税務懇話会会長に就任。14年から輸出物品販売場等税務懇話会から名称変更された全国免税店協会の会長を務める。全国間税会総連合会常任理事、東京国税局間税会連合会副会長。1955年、新潟県生まれ。

中村好明(なかむら・よしあき) 1963年生まれ。ドン・キホーテ入社後、分社独立し現職就任。自社グループの他、公共・民間のインバウンド振興支援事業に従事。日本インバウンド教育協会理事。ハリウッド大学院大学および神戸山手大学客員教授。日本ホスピタリティ推進協会理事・グローバル戦略委員長。全国免税店協会副会長。みんなの外国語検定協会理事。観光政策研究会会長。一般社団法人国際観光文化推進機構理事。著書に『ドン・キホーテ流 観光立国への挑戦』(メディア総合研究所、2013 年)、『インバウンド戦略』(時事通信社、2014 年)、『接客現場の英会話 もうかるイングリッシュ』(朝日出版社、2015 年)、『観光立国革命』(カナリアコミュニケーション、2015 年)、『地方創生を可能にする まちづくり×インバウンド 「成功する7つの力」』(朝日出版社、2016年)がある。

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