Logo sec

空き家を丸ごと宿泊施設に 東京五輪にらみ施設不足解消に民間も一役 神奈川・湘南エリア

2017/02/26

2020(平成32)年東京五輪のセーリングの会場となる神奈川・湘南エリアでは、今後、周辺を訪れる外国人観光客の増加が見込まれる一方、宿泊施設不足が懸念される。そうした中、湘南エリアで相続時に住まなくなるなどの理由で増加している空き家を一棟丸ごと宿泊施設として提供し、宿泊施設不足解消につなげようとするビジネスが民間主導で動き始めている。

201702241824_1.jpg空き家を改修し、一棟借りできる宿泊施設のおしゃれな内装=逗子市

JR横須賀線逗子駅から徒歩12分。閑静な住宅街に白を基調とした洋風のおしゃれな建物が目に飛び込んでくる。昨年4月に開業した「貸別荘 Vacation+ZUSHI Guesthouse」の建物だ。しかし、外に看板はなく、一見しただけでは、宿泊施設とは気づかない。

◆修繕費を負担

201702241829_1-300x0.jpg一棟借りできる宿泊施設の外観

実は、この建物は約1年間、空き家の状態だった。オーナーから活用法の相談を受けた地元の不動産会社、ユニークホームズ(本社・神奈川県鎌倉市)の阿部真美代表が提案したのが、一棟貸しの宿泊施設として稼動することだった。

建築から27年がたっていたため、内外装の修繕費用を同社が負担。オーナーには、昨年4月の開業後、毎月、相場よりやや高めの家賃を同社が支払う一方、運営費として宿泊料金の一部を同社が受け取る仕組みをとることにした。

施設内は、食器や冷蔵庫、テレビなども備え、調理もできる。大人7人まで宿泊でき、人数やシーズン、宿泊日数によって設定は異なるが、1泊1人6000~1万5000円程度。

あくまで、「自分の別荘のように使ってほしい」(阿部代表)との思いから、宿泊当日は、阿部さんが出向き、鍵の受け渡しと簡単な施設の説明にとどめる。ただ、近隣住民や宿泊にまつわるトラブルを避けるため、宿泊者とは事前にメールや電話で要望などのコミュニケーションをしっかりとる。

◆トラブルなし

逆に「コミュニケーションをしっかり取れない方とは、こちらから宿泊キャンセルできるルールにした」(阿部代表)ことで、マナー違反などのトラブルは起こらずにいるという。

神奈川県や湘南エリアの訪日観光客数は年々増加傾向にあり、すでに人気の鎌倉や江の島は宿泊、公共交通、ともに飽和状態だ。さらに、東京五輪では江の島がセーリング会場に決まり、根本的な宿泊者対策が求められている。

湘南エリアには、古くからの立派な建物が多く存在する一方、例えば親世代が住まなくなって、子世代が移り住まずに放置し、結果、空き家になるケースが目立っているという。

今回のビジネスは、この点に目をつけ、宿泊施設不足、オーナーの土地活用、ともに満足できる仕組みとしてスタートした。逗子海岸まで徒歩1分という好立地も手伝ってか、稼働率は「ほぼ8~9割」(同)という。

◆1社では限界も

阿部代表によると、鎌倉でも同様の施設の開業を目指しているほか、問い合わせもあるという。ただ、「1社では限界があるので、同じような事業を行う人が増えてくれたら。そのためには協力を惜しまない」と話す。

空き家をめぐっては、自治体も定住を促進するために「空き家バンク」などで空き家の活用を進めているが、今回のような新しい発想による民間の取り組みもさらに求められそうだ。

空き家バンク 自治体が中心となって、定住促進のために空き家を紹介する制度。自治体によっては各種助成金制度などの優遇措置や、空き物件に関する情報提供を優先的に行うところもあり、県内では、相模原市や横須賀市、小田原市などで取り組みが行われている。

あわせて読む

東京五輪

もっと見る
「東京五輪」の記事をもっと見る

不動産

もっと見る
「不動産」の記事をもっと見る

神奈川県

もっと見る
「神奈川県」の記事をもっと見る