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“走る高級サロン” たった10席の豪華バスが人気 9万円ツアーは即完売

2017/02/23

観光バスが、ただの移動手段から乗車を楽しむものへと進化している。1月に大阪-東京間などで運行が始まった豪華路線バス「ドリームスリーパー」は個室を備えたぜいたくな内装に加え、新幹線を超える乗車賃が話題を呼んだが、大型観光バスも豪華さを競っている。高級バスツアーの売れ行きは上々で、安くなければ売れないという常識は変わりつつある。(田村慶子)

車内は高級サロン

201702231102_4-300x0.jpg阪急交通社のツアーで今年運行が始まる滋賀中央観光バスの豪華バス「サミットV.I.P.」=1月27日、大阪市北区(田村慶子撮影)

「豪華列車が走るホテルなら、当社のバスはさながら“走るサロン”です」。4月からJTB首都圏(本社・東京都品川区)が運行を始める豪華バス「ロイヤルロードプレミアム」を担当者はこう例えた。

大型観光バスは通常45席程度あるが、ロイヤルロードプレミアムは全10席。座席は革張りで、外の景色を楽しめるようすべて窓側に配置してある。各席には映画などが見られるモニターが設置されている。まさに高級サロンのような空間だ。

1月に予約の受け付けを始めたツアーはキャンセル待ちが出る人気ぶりで「国内の富裕層を中心に法人やインバウンド(訪日外国人客)も呼び込める」と期待は広がる。

201702231102_5-300x0.jpg豪華バス「サミットV.I.P.」は白と紺のコントラストがさわやかな全10席のシートを採用(田村慶子撮影)

阪急交通社(本社・大阪市北区)も滋賀中央観光バス(本社・滋賀県長浜市)と手を組み、全10席の豪華観光バス「サミットV.I.P.」を今年から導入。高価格帯旅行「極(きわみ)」シリーズに1泊2日で淡路島を巡る約9万円のツアーを設定したところ、すぐに完売した。同型のバスで滋賀方面のツアーも追加した。

バージョンアップ

201702231102_6-300x0.jpg「ゆいPRIMA」にある2タイプのデザインのうち唐草や獅子などをモチーフにした布張りシートを採用した車内。足を伸ばしゆったりと座れる=2月3日、神戸市中央区(田村慶子撮影)

他社に先駆け高価格帯のバス旅行を強化してきたのが神姫バスツアーズ(本社・兵庫県姫路市)だ。全26席、1万5000円超の日帰りツアー「ゆとり」は平成20年の発売から延べ3万5000人以上が利用するヒット商品となった。

昨年はさらにバージョンアップさせた全18席の豪華バス「ゆいPRIMA」を導入した。

デザインは、JR九州の豪華列車「ななつ星in九州」を手がけた水戸岡鋭治氏が担当し、シートに地元名産の「姫路レザー」を、床や天井には木をふんだんに使うなどして高級感を演出。専任アデンダントらによる手厚いサービスが人気を呼んでいる。

豪華バス人気のほか訪日外国人の増加によるバス需要の増加もあって、大型バスの販売台数はここ数年で急上昇。日本自動車販売協会連合会などの調べによると、28年は前年比約24%増の6543台と、過去20年で最多となった。増産に乗り出したメーカーも多い。

「常識」は変わりつつある

こうした豪華バス旅行に人気が集まっている背景には、格安バスツアーに対する不安や不信があるとみられる。14年の規制緩和で新規参入事業者が増加し、一気に低価格競争が激化。その一方で、コスト削減、運転手の過重労働が原因とみられる事故が相次いだ。

こうした中、高額でも安全で安心できる旅を楽しみたいとのニーズが広がっており「バス旅行は低価格でなければ売れないとの常識は変わりつつある」(業界関係者)。海外でテロ事件が後を絶たず、富裕層が国内旅行にお金をかけるようになったことも影響しているという。

足腰の弱いシニア層にとって、観光地で小回りが利くバスは利便性も高い。実際にリピーターも増えており、豪華バス旅行市場はしばらく盛り上がりそうだ。

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