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[連載]観光立国のフロントランナーたち 全国免税店協会 阿部英行会長(1)

2017/02/13
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日本のインバウンドビジネスの開拓に奔走するジャパンインバウンドソリューションズの中村好明社長が訪日ビジネスの最前線を進む人々を迎え、「観光立国」実現に向けた道筋について語り合う大型対談「訪日ビジネス最前線 観光立国のフロンティアたち」。第5回は、全国免税店協会(事務局・東京都千代田区、全免協)の阿部英行会長をゲストに迎えました。

訪日観光客の“爆買い”に沸いた市場は落ち着きを取り戻しつつあり、観光立国のための中長期的戦略が官民に求められています。政府が掲げた「2030年に訪日外国人旅行消費額15兆円」は達成できるのか。免税ビジネスに40年以上関わってきたプロフェッショナルとともにインバウンドのこれからを探ります。

急拡大する免税店 参入事業者に向けて講習会など開催

中村 会長から全免協がどういった活動をされているのかご説明いただけますか。

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阿部 税務行政への協力、それが大前提です。最近はインバウンドの盛り上がりとともに免税店が急拡大しているので、新たに許可を受けたところを対象とした講習会を国税局と共催しています。また加盟店が困っていることを聞いてまとめたり、政府から免税店に関する調査の依頼を受けたりしています。民間では唯一の団体ですから。

中村 特殊な分野である免税についての知見がある、と。

阿部 有識者会議では不正なランドオペレーター、無資格ガイドの取り締まりなどでも意見を求められたりしますね。

中村 では協会の歴史についてもご説明いただけますか。

阿部 32~33年前の話です。当時は物品税という税がありまして、これを撤廃して消費税(1989年4月1日から適用)に移行しようとする動きがありました。物品税というのはある意味、平等さに欠けた制度だったからです。

中村 確かに、購入する品目によって課税比率が違うといった不公平感がありました。

阿部 家電で言うとテレビ、冷蔵庫には物品税がかかっていました。ところが当時、出てきたばかりのパソコンには物品税がかからない。非常に高額な商品であるにもかかわらず、です。

中村 新しい商品に制度が追いつかなかったわけですね。

阿部 そういう不公平さをなくすため、広く浅く取る税制が必要だということで消費税が導入されます。ですが、物品税の時代にも免税制度があったのですが、消費税に移行するときの草案そのものに免税制度が欠落していました。これは大変なことです。どの国でもそうですが、海外に持ちだすものには税金はかけません。基本的には消費地でかけるものですから。

そこで免税制度の維持をお願いしたいということで、当時の上司と一緒に国税局に相談しました。そうしたら「一社一法人ではなく団体を結成し、活動したらよいのでは」という話になったのが団体発足につながりました。あちこちの業者、百貨店に「こういう会を作りますので団結しましょう」と呼びかけました。南北アメリカやヨーロッパからのお客様が真珠をよくお買上げになる時代だったので、真珠販売の大手も回ったのを覚えています。

爆買いは一服…インバウンド消費は今後も堅調

201702131429_3-300x0.jpg中村 “爆買い”の勢いがしぼんでいますが、これからのインバウンド消費をどう見ていますか。

阿部 爆買いイコール中国人の動向なんです。これを除いても(インバウンド消費が)結構伸びているので、順調にいくと予想しています。

中村 爆買いのときがバブルだったということでしょうか。

阿部 あれは異常でした。あまり振り回されないことです。中国からの観光客でいうとFIT(海外個人旅行)が増えるのではないでしょうか。一度、団体観光で漢字文化の日本を訪れると「次は一人でも来られるな」と自信をつけて、個人旅行で再来日する人が多いと思います。

中村 中国では関税引き上げなどの法整備が進んで、ある意味でまっとうになりつつあります。

阿部 この業界には面白い現象があるんですけども、必ず国別にブームになるんです。例えば、僕が入社した頃って、まさに韓国・アメリカ・台湾ブームでした。特に韓国・台湾なんて、ものすごい買ってたんですよ。その後は1985年、このときはバングラデシュ、パキスタンです。そのちょっと前、昭和58、59年にはイランブームがありました。もうイラン人が上野で偽物テレホンカード売って儲けちゃって(笑)。そう考えると中国ブームだったという風に捉えれば、何もおかしくないんですよね。また、同じようにどこかの国からブームが起きることもありえます。

中村 次回は、阿部会長が免税ビジネスに取り組まれたきっかけについて、お話しをおうかがいします。
 

阿部英行(あべ・ひでゆき) 1974年朝日無線電機(現ラオックス)入社。海外事業部長として同社の免税品販売を担当してきた。関連子会社のダイオー、神田無線電機の社長を歴任後、2002年に退社。同年免税店を展開するアッキーインターナショナルを設立、社長に就任した。現在、東京・秋葉原を中心に国内に4店舗の免税店を展開している。2005年輸出物品販売場等税務懇話会会長に就任。14年から輸出物品販売場等税務懇話会から名称変更された全国免税店協会の会長を務める。全国間税会総連合会常任理事、東京国税局間税会連合会副会長。1955年、新潟県生まれ。

中村好明(なかむら・よしあき) 1963年生まれ。ドン・キホーテ入社後、分社独立し現職就任。自社グループの他、公共・民間のインバウンド振興支援事業に従事。日本インバウンド教育協会理事。ハリウッド大学院大学および神戸山手大学客員教授。日本ホスピタリティ推進協会理事・グローバル戦略委員長。全国免税店協会副会長。みんなの外国語検定協会理事。観光政策研究会会長。一般社団法人国際観光文化推進機構理事。著書に『ドン・キホーテ流 観光立国への挑戦』(メディア総合研究所、2013 年)、『インバウンド戦略』(時事通信社、2014 年)、『接客現場の英会話 もうかるイングリッシュ』(朝日出版社、2015 年)、『観光立国革命』(カナリアコミュニケーション、2015 年)、『地方創生を可能にする まちづくり×インバウンド 「成功する7つの力」』(朝日出版社、2016年)がある。

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