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中国外貨準備3兆ドル割れ、不安強まる中国経済 元安進行で訪日客消費に波及も

2017/02/08

中国の外貨準備高が約6年ぶりに3兆ドルを下回った。このまま、中国当局による外貨準備の取り崩しが続くと、中国経済への不安が高まる恐れもあり、日本企業は中国ビジネスに二の足を踏みかねない。さらに、金融市場で投資家がリスク回避姿勢を強めれば、円高人民元安や円高ドル安を招き、輸出企業の価格競争力が弱まる可能性もある。(山口暢彦)

201702081232_1-300x0.jpg7日午後5時現在の外国為替市場での人民元相場は、中国の外貨準備高3兆ドル割れを嫌気して、1元=16円31銭と前日比約12銭の円高元安だった。円高元安傾向は過去1~2年にわたって続く。これは、中国経済の先行き不安から、企業の資本が海外に流出しているためだ。

中国当局は、元安を恐れて外貨準備を取り崩し、ドル売り元買いの為替介入を繰り返したとみられるが、3兆ドルの“大台”を割ったことで、「『当局がそこまで必死なのは、中国経済の悪化が深刻だからだ』との懸念が市場で高まり、むしろ元安が加速しかねない」(メガバンク系エコノミスト)。

そうなれば、対中輸出額が年間13兆円に上る日本経済にも悪影響が出る。製造業を中心に不安は根強く、建設機械メーカー大手コマツは、元に対して1円の円高になれば、営業利益が年間3億円吹き飛ぶと試算する。

さらに懸念されるのは、円高元安で訪日中国人客の消費額が減ってしまうことだ。元を円に両替したときに受け取れるお金が減少するため、「中国人客による日本での消費が失速する恐れがある」(同)という。

観光庁によると、中国人を中心とする訪日外国人客の昨年の1人あたり消費額は、前年比11.5%減の15万5896円。中国当局が海外で購入した土産物への関税を高くしたことや昨年前半の円高で、既に失速し始めている。

中国外貨準備3兆ドル割れは約6年ぶり

【上海=河崎真澄】中国人民銀行(中央銀行)は2月7日、今年1月末の外貨準備高が前月比123億ドル減の2兆9982億ドル(約336兆円)になったと発表した。3兆ドルの大台割れは2011年2月以来、約6年ぶり。中国経済の鈍化懸念から海外への資本流出に歯止めがかからず、一方で人民銀行が人民元相場の急落を阻止しようと、外貨準備を取り崩してドル売り元買い介入を続けたためだ。

輸出などでドルを稼いだ高度経済の象徴である「人民経済の貯金」の3兆ドル割れは、中国の景気減速や先行き不透明感を強く印象づけることになりそうだ。

中国の外貨準備高は高度成長に伴い、世界一だった日本を06年に追い抜いて11年3月に初めて3兆ドルを突破した。ところが14年6月の3兆9932億ドルをピークに失速。2年半あまりで1兆ドル(約112兆円)近くを失う結果になった。

対中進出した外資系企業の間で本国への資金引き揚げが広がった。さらに国内の投資家や国有企業の幹部らが景気減速や元安への懸念から、海外で高額の保険商品や不動産を購入するなどして資本逃避させ、昨年通年で約7250億ドルが流出したとの調査もある。

中国当局は、外資系企業の送金を制限する一方、1月からは投資家らが海外旅行名目で両替した外貨の使途に詳細な報告を求めることで、証券や保険、不動産などの海外購入を規制し始めた。ただ、外貨準備高の3兆ドル割れは、外資系企業や投資家らにとって新たな懸念材料になりそうだ。


今後、円高元安が加速すれば、こうした傾向に拍車がかかるのは必至だ。訪日客数全体の伸びを鈍化させ、日本の成長戦略を狂わせかねない。

 

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