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今年は春節特需なし? 韓国の観光業界が悲鳴 中国人客が激減、頼みは東南アジア

2017/01/30
201701301818_1-300x0.jpg昨年2月、「春節」の張り紙が掲げられた店で買い物をする中国人観光客ら。今年の韓国ではこうはいくまい=大阪市中央区のツルハドラッグ戎橋店(門井聡撮影)

中国の春節(旧正月)シーズンを前に、韓国の観光業界が悲鳴を上げているという。

昨年7月の米軍による高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備決定の発表後、中国政府が「報復」として韓国旅行を制限しているとされ、従来のような春節特需が見込めそうもないからだ。

そんな中、韓国側が注目し始めたのがタイやインドネシアなど東南アジアの国々。背景は韓国ドラマなど韓

言ってみれば「遅れてきた韓流」に頼らざるを得ない状況に陥ったわけだ。果たして中国人観光客の抜けた穴を東南アジアで埋めることができるのだろうか。

「今年の春節は商売上がったりだ」

春節を前に、聯合ニュース(日本語電子版)は韓国の旅行業界の関係者の話として「1月に入り、韓国を訪れる中国人観光客の数が減少している」とし、「パッケージ旅行の観光客数が半減した」と伝えた。

さらに別の関係者が「『今年の春節は商売上がったりだ』という話まで出ている」と述べ、免税店関係者も「昨年の春節に比べて、中国人客による売り上げは減る」と予想しているという。

データを見れば歴然だ。THAADの韓国配備決定が発表される昨夏までは中国人客は増加を続け、7月には91万7519人を記録していた。

しかし8月以降は4カ月連続で減少し、11月に51万6956人まで減少。中国人客の増加率も前年比で昨年7月は258.9%だったのに対し、8月は70.2%、9月は22.8%、10月は4.7%、11月は1.8%と急速に落ち込んでいる。

免税店の売り上げも落ち込んでおり、ロッテ免税店では中国人による売り上げ増加率が昨年9月の前年比約50%から最近は30%台に下がっているという。

中国政府は現地の一部旅行会社に韓国への旅行客の数を2割減らすとの指針を伝えたとされており、韓国の観光業界にとって、THAAD問題の余波がこれまで以上に深刻化することが懸念されているのである。

目をつけられた東南アジアの国々

中国にばかり頼っていられないと、韓国から目をつけられたのが東南アジア諸国。韓国紙、中央日報(日本語電子版)によると、東南アジアに深く食い込んだ韓流のおかげでこの地域では、韓国観光に対する認知度と選好度が高まっているという。

その一方で、訪韓客の半分近くを占める中国人の認知度と選好度は下落しているというのだ。

同紙によれば、韓国観光公社がニールセンコリアと共同で実施した「2016 韓国観光広告広報マーケティング効果調査」で、中国で韓国観光に対する認知度と選好度がいずれも下がっていた。認知度は15年の84.8%から昨年は81.6%で3.2%減少し、選好度も15年の80.4%から昨年は76.8%で3.6%低くなった。

これに対して、認知度でタイ(84%)は昨年、15年にトップだった中国を抜きトップに躍り出た。中国の次にインドネシア(70.9%)、ベトナム(69.6%)が続いた。選好度も東南アジアで高まっており、日本と台湾は30%程度だったが、ベトナムは78.3%と最も高く、タイとフィリピンがそれぞれ77.7%で続いた。

実際に東南アジアから韓国を訪れる人々は増えている。韓国文化体育観光部によると、東南アジアの主な6カ国の昨年の訪韓客数は前年と比べ大きく増加。ベトナムは55%、インドネシアは53%も伸びたという。

日本、中国で締め出されている韓流

その背景にあるのが、東南アジアにおける韓流の拡散とみられる。特に韓国ドラマが人気を呼び、関連消費が増えて韓国観光に対する関心も高まったという分析だ。中央日報によると、最近では買い物だけでなく暑い東南アジアでは見られない冬の雪やスキー場を目的にしたり、ウエディング撮影のために訪韓する東南アジアの観光客も増えているようだ。

このため、韓国では中国ばかりを見つめていた観光産業の関心を東南アジアに転じてこの地域を積極的に攻略しなければならないという指摘が出始めた。

韓国観光公社アジア中東チームの幹部は中央日報の取材に対し「低価格の団体観光の代わりに、韓流コンテンツと結合した商品開発に乗り出さなければならない」とし、「東南アジアの国々の中でも言語・所得など国ごとに特性が違うので、国ごとに合わせた戦略が必要になる」と強調した。

“韓流”といえば、韓流スターの中国での活動を規制する「限韓令(韓流禁止令)」が本格化することへの懸念が韓国で高まっている。

一方でそもそも日本では、大みそか恒例のNHK紅白歌合戦に韓国勢は5年連続で選ばれておらず、東アジアで韓流は締め出されつつある。

そうした中、韓国は「遅れてきた韓流」とばかりに東南アジアに狙いを定めたわけだ。タイやインドネシア、ベトナム、フィリピンの人たちが中国人に代わって訪韓客の“主役”を占めるようになるのだろうか。はなはだ疑問ではあるが、様子を見たい。

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