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訪日客を逃すな!ホテルも寺もアクティビティに本腰 “思い出づくり”で独自性アピール

2017/01/29

ホテル業界がアクティビティ(旅先での娯楽)のサービスを強化している。中国人観光客らの爆買いが一巡し、買い物中心の「モノ消費」から、催し体験など「コト消費」へニーズが移行しているためだ。各社は「思い出を売る」ことで独自性をアピールし、リピーターの獲得を狙っている。(田村慶子)

カクテル作りから剣舞、ランニングまで

201701272234_1.jpgプロのバーテンダーが家庭でも本格的なカクテルがつくれるコツを伝授=5日、大阪市北区のザ・リッツ・カールトン大阪(田村慶子撮影)

関西の高級ホテルの一つ、ザ・リッツ・カールトン大阪(大阪市北区)は昨年11月、高価格客室「クラブフロア」の宿泊客を対象に砂糖を使った美容品やカクテルづくりを体験できる講座を始めた。スパセラピストやバーテンダーらホテル内で働くスタッフが講師を務め、専門技術を生かして「思い出づくり」のサービスをする。

ザ・リッツ・カールトン京都(京都市中京区)は「体感京都」をテーマに20以上の講座を提供。剣舞や和傘づくりのほか、総支配人らとランニングに汗を流すという一風変わったプログラムも。「お客さまとの接点をつくることで、ニーズや不満を吸い上げられる」と広報担当者は話す。

背景には危機感も

こうしたアクティビティ強化の動きは「コト消費」の広がりに対応したもの。観光庁の「訪日外国人消費動向調査」によると、平成27年に訪日客が日本国内で使った「娯楽サービス費」は前年の約2・3倍となる1058億円。同約2倍だった買い物代を上回る伸びを示した。

ホテル業界では、アクティビティを強化することで新たな収益源を確保できるだけでなく、レストランなど客室以外の館内施設を利用してもらうきっかけになるとみられている。

都市部では旺盛なインバウンド需要に対応するためのホテルの開業ラッシュで「いつかは施設過剰になる」と危機感が高まっている。低価格帯のホテルに客を奪われないようにするためにもアクティビティ強化は重要な戦略となっている。

新たなビジネス

民泊仲介サイト「エアビーアンドビー」は昨年11月から、東京を含む全世界12都市、約500の体験ツアーなどを仲介。宿泊先仲介の枠を超え、旅行代理店事業に乗り出している。アクティビティを企画・提供する民泊運営者を募っており、1年以内でさらに50都市以上を追加する計画だ。

そんな中、積水ハウスは寺や神社の遊休地などにインバウンド向けの宿泊施設をつくる「宿坊」事業に乗り出した。第1弾は大阪市天王寺区で今年3月の開業を予定。周辺の寺から協力を得て、写経や座禅など一般の観光客が気軽に社寺体験できる施設を増やす。いわばアクティビティを前提にした宿だ。

今年中に10棟を計画する同社だが、候補地を探すまでもなく「宿坊ができないかとの問い合わせが増えている」(担当者)。檀家の減少や後継者不足、財政難といった悩みを抱える寺社が新たな収入源として注目しており、観光客を対象にした宿坊は既に全国で約300カ所あるという。

平成24年ごろから始まった訪日ブームは5年目に入り、定番コースや買い物以外の特別な楽しみを求めるリピーターも増えてきた。訪日をブームに終わらせず定着させるため、関係業界は「コト」の提案力を競っている。
 

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