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映画興行収入が過去最高、そのワケは… 今年のカギを握る実写作品

2017/01/28

「君の名は。」効果で、平成28年の日本映画界は興行収入(興収)2355億円と、比較可能な12年以降で過去最高を記録した。映画会社などで構成する日本映画製作者連盟(映連、岡田裕介会長)が発表した昨年の統計や会見での発言から、業界の活況や動員を激変させつつあるSNS(会員制交流サイト)の存在、アニメと実写の融合などが見えてきた。(岡本耕治)

42年ぶり回復

201701271802_2-300x0.jpg興行収入235億円を記録した「君の名は。」効果で、昨年の映画界は活況に沸いた
映連の発表によると、昨年は入場者数も昭和49年以来、42年ぶりに1億8000万人台を回復。興収の構成比は邦画の63.1%(1486億円)に対し、洋画は36.9%(869億円)と、邦画のシェアが一段と高まった。

映画ジャーナリストの大高宏雄氏は「入場者数の1億8000万人達成には驚いた。昨年、歴代1位の興収854億円を達成した東宝は業界全体の36%を占め、存在感は圧倒的。しかし、松竹も歴代2位の190億円を達成するなど、業界は良い方向に向かっている。長年の目標だった入場者数2億人達成も夢ではなくなってきた」と話す。

今年の動向については、「『君の名は。』クラスの作品が今年も出てくるとは考えにくい。各社の実写作品がどこまで安定的な数字を上げてくるのかが鍵。昨年比でトーンダウンは避けられないだろうが、好調は続くのではないか」と予測した。

SNS存在感

昨年の特徴として各社が指摘したのが、SNSによる口コミの存在だ。

東宝の島谷能成社長は「君の名は。」の成功について、「観客の若者たちが作品の魅力を評価してSNSで拡散。それが、うわーっと広がった」と言及。

KADOKAWAの井上伸一郎専務も「『シン・ゴジラ』公開と同時にファンの喜びの声がツイッターなどにあふれ、それが話題を呼んで観客が増えた。ファンが応援したくなる現象を作ったのが昨年の大きな特徴」と話す。

岡田会長は「今の口コミは、皆さんの素直な評価がスマートフォンなどを使用して一気に爆発する。だから、酷評されない作品を作らないといけない。分かりやすい時代になったのかもしれない」と感慨深げに話した。

アニメ新時代

原作もなく、知名度も高くなかった新海誠監督による「君の名は。」が興収235億円(22日現在)を記録したことなどを受け、各社からはアニメに関連した発言が相次いだ。

東映の多田憲之社長が「『君の名は。』は“ジャパンドリーム”であり、うれしい」と語るなど、各社はこぞって称賛。井上専務は「昨年は『アニメはスタジオ・ジブリ作品だけを見ればいい』と思っていた層が他の作家を発見していった年。(アニメ好調の)傾向は数年は続くと思う」と分析した。

アニメが一部のファンだけのものであった時代は過ぎたようで、各社は企画段階で「実写・アニメを区別しない」と口をそろえる。島谷社長は「アニメーション新時代の到来を確信した」とし、「実写とアニメで、企画素材、クリエーター、お客の垣根がなくなっている。映画企画者はすごく自由だ」と話した。

松竹の迫本淳一社長も「映画に対するコミックの影響度が高まったことと、映像技術が進歩したことが実写とアニメの境をなくしている」とし、「両者が融合した画期的な作品が出てくる可能性がある」と期待を示していた。

■平成28年全国映画概況
   28年 27年
入場者数 1億8018万人(8.1%増) 1億6663万人
興行収入  2355億円(8.5%増) 2171億円
構成比(邦画) 1486億円(63.1%) 1203億円(55.4%)
構成比(洋画) 869億円(36.9%) 967億円(44.6%)
平均入場料金 1307円(0.3%増)  1303円
スクリーン数  3472 3437
(日本映画製作者連盟発表)

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