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訪日客4000万人達成へ「質」が課題 各地で避難訓練や英語対応などの取り組みも

2017/01/18

日本政府観光局(JNTO)が1月17日に発表した平成28年の訪日外国人旅行者数は増加ペースが減速した。東京五輪・パラリンピック開催の2020(平成32)年に4000万人という政府目標に向け、政府は一般住宅に有料で観光客を宿泊させる「民泊」の環境整備などを進めるが、訪日旅行を世界の潮流として定着させるには、「数」ではなく「質」にこだわった体質改善が求められる。(佐久間修志、写真も)

201701181749_1.jpg新宿・歌舞伎町の外国人旅行者=2016年10月29日、東京都新宿区

「パスポートをなくしてしまいました」「再発行が必要ですので大使館の場所を調べます」。英語の問いかけに係員がよどみなく答える。不動産大手の森ビルが六本木ヒルズ(東京都港区)で17日実施した外国人対応の避難訓練。震度6強の地震で外国人が施設内に足止めされた想定で、施設管理者らが外国人を避難場所まで誘導し、身元を確認したり、非常食を配布したりした。

ホテル宿泊客の7割が外国人で商業施設にも多くの訪日客が訪れる六本木ヒルズで災害が発生すれば、外国人被災者であふれる。森ビルの八木沢浩行エリアマネジャーは「東京が国際都市を目指すなら災害時の外国人対応は避けて通れない」と重要性を強調する。

政府の観光ビジョンでは文化財や公共施設を観光資源として活用するほか、民泊の推進、高速無線LANの整備など、訪日客の受け入れ環境を整備するメニューがずらりと並ぶ。28年の前年比約2割増も成果が表れた格好だが、「手数には限界もある」(観光庁関係者)との懸念もある。

「消費や雇用、対外発信につながらないインバウンド施策は本末転倒」。東洋大の島川崇教授(国際観光学)は、今後の観光施策の方向性は“数よりも質”になるとみる。ビザ緩和が訪日客急増のきっかけを作ったように、「オープンな人材や地域づくりにつながる“開国”的な施策がもっと必要だ」と指摘する。

既に岡山県和気町では昨年秋、旅館や温泉施設の従業員向けに無料の英語教育を開始。温泉やサイクリングロードなどの観光資源に恵まれる同町だが、訪日客に対応できる施設や人材の不足に悩んでいた。小学校高学年まで対象を広げた「英語公営塾」も開講し、どこでも英語が通じる街づくりを目指す。

担当者は「多くの町民が訪日客に話しかけ、ふれあいが持てる。そんな居心地の良い町になれれば」と語る。

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