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インバウンド商戦、新たなニーズは「日本人を知りたい」 百貨店は中国本土に挑戦

2016/12/15

インバウンド(訪日外国人)の国内消費を牽引(けんいん)してきた「爆買い」が失速している。中国での電子商取引(EC)の市場が拡大したことなどが影響したとみられる。一方で、訪日中国人客の興味は、買い物から日本の文化や生活体験に移っているようだ。新たなニーズに応え、中国人客の心をつかもうとする各企業の取り組みを追った。(社会部 小林佳恵、前橋支局 住谷早紀)

「生活見てみたい」

201612151447_1.jpg着物を着て雷門周辺を散策をする香港から来た夫婦=東京都台東区

「着物の着心地は、少し暑いかな」。ちゃめっ気たっぷりに話すのは香港から訪日した自営業の余暁盈(ユーシャオイン)さん(30)。11月上旬に夫の林慶彪(リンチンピオ)さん(30)とともに東京・浅草の写真スタジオ「スタジオ七色」を訪れ、着物を体験した。

日本滞在中は夫婦で東京ディズニーランドや新宿も訪れた。幼い頃に聞いたJ-POPをきっかけに日本に興味を持ったという余さんは「日本を知りたい。日本人が実際にどのような生活を送っているのかを見てみたかった」という。

スタジオ七色の受付、関賢一郎さんは「海外からのお客さまは、中華圏の方が圧倒的に多い」と話す。平成26年に開店したときには中国語を話すスタッフはいなかったが、現在は関さんら3人が加わった。

外国人観光客に人気なのは、おいらんの格好をして撮影する2万円以上のコースだ。マネジャーの松田弘宣さんは「中華圏の方は写真にお金をかける傾向があり、写真やサービスの質が高ければお支払いいただける」と自信を見せる。

一方で厳しい現実も。近年、浅草周辺には外国人向けの写真スタジオが急増しているが、松田さんは「これから淘汰(とうた)されていく」として、「価格やクオリティーなど、お客さまのニーズをくみ取れたところが生き残れる」と考えている。

「魅力アピールが大事」

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観光庁によると、今年7~9月期の訪日外国人旅行消費額は前年同期比2.9%減の9717億円。前年同期を下回ったのは平成23年10~12月期以来、4年9カ月ぶりという。また、訪日客1人当たりの消費額は同17.1%減。同庁は円高の影響も大きいとしているが、中国は18.9%減の約22万8000円と落ち込んだ。

JTB総合研究所の三ツ橋明子主任研究員は、中国でのECの市場拡大などにより「中国本土にいても安く買える品が増えた」と指摘。「リピーターも増え、中国人観光客の興味は日本の生活や文化体験に移っている。爆買いが先細り『どうしよう』と焦るのではなく、日本をより知りたいというニーズに合わせて、魅力をアピールしていくことが大切だ」と強調した。

中国人需要に伸びしろ

こうした状況に対し、爆買いにより潤ってきた小売業界も、新たな一手を考えている。三越伊勢丹ホールディングスは、中国のEC最大手アリババグループが運営するショッピングサイトに参入。今後取り扱い点数を増やしていくという。

高島屋も、中国本土の客の取り込みに積極的だ。専用アプリで購入希望商品のQRコードを読み込んで申し込めば、中国本土の客に商品を国際配送するサービスを準備している。

高島屋の担当者は「去年は宝飾品や時計など、ラグジュアリーなものが売れたが、最近は化粧品などの消耗品に完全にシフトした」と指摘し、こう続けた。

「中国人の日本製品に対する需要は、今後も伸びしろがあると思っている。日本に来たことのないお客さまも含め、中国市場には新たなチャンスがある」

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