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カジノ法案、イチから読み解く 横浜か大阪か、それとも…開業は東京五輪後に 

2016/12/05

カジノを中心とする統合型リゾート施設(IR)整備推進法案が12月6日の衆院本会議で可決、通過し、14日までの今国会で成立する見通しだ。経済への波及効果が期待されるIRだが、今後は政府がさまざまな法整備を進める必要があり、実現はまだ先の話となる。

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日本でもカジノ解禁が現実味を帯びてきた。外国人観光客の誘致に大きな期待が集まる。写真はニューヨークのカジノ施設(AP)
 

 IR法案は、どんな内容なのか

 IRとは大型ホテル、国際会議場、飲食店、商業施設などが一体となった施設群を指し、その一部にカジノも含まれる。

 すぐできるのか

 今回の法案はIRの整備推進を政府に求め、方針を示しているにすぎない。政府、自治体、民間事業者の取り組みを具体化させる号砲の役割だともいえる。新たな法整備が必要で、開業は先の話だ。

 必要な法整備とは

 IR推進法施行後1年以内をめどに、政府が具体策を定めた実施法案を制定する。運営事業者の選定基準や手続き、ギャンブル依存症対策、カジノを規制する政府の管理委員会の業務など、実施法で定めるべき内容は複雑だ。

 開業までどれぐらいの時間がかかるのか

 推進派には2020年東京五輪・パラリンピックまでに開業させ、相乗効果を生む狙いもあった。しかし、実施法案策定や国会審議、地域や事業者の選定、施設の建設の時間を考えると五輪に間に合いそうにない。現在は「五輪後の集客対策」の側面が強い。

 民進党や公明党内にギャンブル依存症の増加を懸念する声があるが

 IR実施法で依存症対策を講じる。例えばシンガポールでは、利用客が家族の申請によりカジノへの立ち入りを禁止される。入場回数制限を設けている国もある。カジノは127カ国で認められている。政府は海外の事例を参考にしながらカウンセリングも含めた対策を練ることになる。国民の懸念が強いテーマなので、実施法案では十分な国会審議が必要だ。

 IRは、どこに整備されるのか

 住民の理解を得た自治体が立候補する「手挙げ方式」で申請を受け、国が特別に認定した区域につくられる。IR議連によると、最初の認定地域は2、3カ所とし、効果を検討した上で増やすか判断すべきだとしている。地元経済への波及効果の期待が大きく、北海道や横浜市、大阪府、長崎県などが誘致に名乗りを上げている。

賭博罪との兼ね合い、遊技機の公平性…警察「現状は静観するしか」

IR整備推進法案は議員立法で進められており、警察庁は現状では関与していない。賭博罪との兼ね合いや犯罪組織の介入阻止、遊技機の公正性確保など課題は山積しているが、現状は「具体的な内容が話し合われる段階に入ってから関与していきたい」(警察庁幹部)というスタンスだ。

カジノの設置については平成26年6月、古屋圭司国家公安委員長(当時)が国会で暴力団排除や青少年の健全育成への配慮が必要との認識を示した上で、「今後、どういう制度設計がなされるか見極めた上で対応する必要がある」と慎重な答弁をしている。

IR整備推進法案は所管省庁すら決まっておらず、具体的な内容は見えていない。「警察としての議論はこれから。民泊の是非と同じで、明確な方針が定められるまでは静観するしかない」(警視庁幹部)。

警察庁幹部はカジノが設置された場合、暴力団の介入の阻止▽外国人犯罪組織の影響排除▽賭博事件で過去に摘発されたことがある不適格者の排除-などが問題になるとしている。

警察行政としてはこのほかにも、遊技機の公正性の確保やカジノ周辺地域の治安悪化の懸念排除などの課題もある。「クラブ同様、地域の苦情につながる装飾や音響などについては運営業者などに対して協力を求めていくことになるだろう」と警視庁幹部は話す。

また、ある警察関係者は「そもそもカジノ内の遊技は賭博罪に当たらないのか。その矛盾についてどこまで議論が尽くされるのか」と、議論の行方を注視している。

経済効果は年2.1兆円 参考は観光大国・フランス…200施設へ拡大も規模小さく

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IRは、外国人旅行客の増加や地方活性化の有力な手段として期待されており、誘致に前向きな自治体や企業が現れている。

日本を訪れる外国人旅行客は今年初めて2000万人の大台を突破した。それでも、平成27年の客数(1974万人)は国・地域別で16位になり、アジアでは中国、タイ、香港、マレーシアの後塵(こうじん)を拝している。旅行客からの観光収入額をみても、全世界1兆2000億ドル(約136兆円)のうち、日本は2%にとどまる。

世界一の観光大国で年間8000万人以上の旅行客を集めるフランスは、カジノの営業を1907年に温泉観光地に限り許可。88年に「人口50万人以上の観光都市」へと範囲を広げ、同国の現在のカジノ施設数は欧州最多の約200になる。米ラスベガスや中国マカオなどに比べ、各施設の規模は小さく、日本にIRを導入する場合の参考になりそうだ。

大和総研が平成26年に公表した試算によると、横浜、大阪、沖縄の3カ所にIRを誘致した場合の経済効果は年間2兆1000億円。宿泊施設や他のリゾート、小売り・飲食業などへ波及し、雇用や税収の増加につながることが期待される。

横浜市はカジノを誘致して臨海部開発に弾みをつけたいとし、大阪府は37年の国際博覧会(万博)とセットで大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま、大阪市)への誘致を目指す。

長崎県は旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)とともに、同社傘下の大型リゾート施設ハウステンボス(同県佐世保市)への誘致を狙っている。

 

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