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日本の美容師、世界へ続々と飛躍…きめ細かなサービス、手先の器用さが人気

2016/12/02

日本の美容師が世界に飛躍を始めている。海外出店件数は、4年間で約2.5倍に急増。国内でも外国人観光客の利用増で、外国語でのメニュー表示を充実させるなど工夫を凝らす店舗も出ている。ハンドマッサージなど髪のカット以外のきめ細かなサービス、手先の器用さを生かした技術力を武器に世界に挑む。(江森梓)

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※シンガポールに出店する新店舗の完成予想図を眺める秋道勝人さん=滋賀県湖南市

「日本の美容技術を広めていきたい」

滋賀県内で美容院2店を営む秋道勝人さん(31)は12月中旬、シンガポールに海外初出店する。「技術の安売りではなく、こだわりの技術で対価を求めたい」と5000円程度から1万円の価格帯で運営していたが、都市部と比べ料金が安い地方で今後の方向性を模索する中で、海外に活路を求めたという。

海外進出企業向けのセミナーなどに参加し、物価が高く、日系企業が多く進出しているシンガポールに狙いを定めたとする。

シンガポールの美容業界は、60円程度で散髪している路上の“美容室”もあれば、カット料金のみで8000円~2万円程度のハイブランド志向の店舗もあり、幅が広い。

市場調査を兼ねた現地視察の結果、秋道さんはパーマやカラーリングなどカット以外のサービスも含めて3万円程度と強気の価格設定で挑む。日本から進出している美容院への評価や相場から決めた。

メイクをしない人やドライヤーをかけない人が多いと感じたともいい「ドライヤーでのヘアケアや日本のトリートメントを紹介し、美容への関心を高めたい」と意気込む。

一方、国内では数多くの外国人観光客が訪れる美容院もある。JR京都駅(京都市下京区)近くにある美容室「green leaves」。立地の良さなどで京都観光の外国人が立ち寄るようになった。

口コミなどで、アジアから欧米まで外国人客は1カ月に5人程度訪れる。英語のメニュー表記を用意。丁寧なシャンプーや頭の形に沿ったカット、ハンドマッサージやお茶のサービスなども喜ばれているという。

店長の安田祐介さん(33)は「日本でカットすることが一種のステータスになっているようだ。髪を切る体験を通じて『いい旅行だった』と思ってもらえるとうれしい」と話している。

日本貿易振興機構(JETRO)の調査によると、美容院の海外進出数は平成27年10月~28年9月で49社。23年10月~24年9月(20社)と比べると、約2.5倍増えている。

急増の背景には、少子高齢化による国内市場の縮小など厳しい環境がある。

調査会社の矢野経済研究所によると、27年度の美容関連市場規模は1兆5220億円と18年度から約854億円減少。一方で美容院の数は増加を続け、縮小する市場を奪い合う構図になっているという。また、爪を着色するネイルやまつげエクステなど美容室以外での美容サービスも増え、競争激化に拍車をかける。

その一方で、美容師の技術を競う世界的なコンテストで日本勢は躍進する。

今春、世界の理美容師が技術を競った選手権大会「OMCヘアワールド」では、シニア団体テクニカルカテゴリー部門で日本勢が銀メダルを獲得。理美容関連の国際団体「OMC」(本部・パリ)が主催し、世界最高峰とされる大会での快挙で、日本の美容師への注目が高まった。

全日本美容業生活衛生同業組合連合会の細井重憲事務局長は「以前は『美容先進国』とされるフランスや米国などで勉強し、箔(はく)を付けて帰るというケースが多かった。近年は日本の丁寧な技術が評価されるようになり、海外市場で勝負するための進出に変わりつつある」と話している。
 

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