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「山・鉾・屋台行事」登録を正式決定 和食、和紙などに続き国内21件に

2016/12/01

エチオピアのアディスアベバで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の政府間委員会は12月1日(現地時間11月30日)、「京都祇園祭の山鉾(やまほこ)行事」(京都市)や「秩父祭の屋台行事と神楽」(埼玉県)など18府県33件の祭りで構成される「山・鉾・屋台行事」の無形文化遺産への登録を決めた。今回の登録により、国内の無形文化遺産は和食、和紙などに続き21件となる。

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※「山・鉾・屋台行事」の無形文化遺産登録が決まり、各国代表と握手して喜ぶ日本政府代表=30日、アディスアベバ(共同)

登録対象の祭りは、山車を引き回すのが特徴だ。山車は山、鉾、屋台、だんじりなどと呼ばれ、神霊が降臨する依り代となる。木工や金工、漆塗りといった伝統技術の粋を凝らした飾り付けが行われる。芝居やはやしの上演などのため、住民が準備や練習に取り組み、地域の絆を強めるのに役立つとされる。

33件はいずれも保護団体があり、国の重要無形民俗文化財に指定されている。他にも似た行事が各地にあるが、高齢化や過疎化で継承が難しくなっており、文化庁は「登録が担い手の誇りとなり、地域活性化につながる」と期待を込める。

政府は、国の文化財に指定した祭礼行事や伝統工芸などを順次、ユネスコに提案。33件のうち京都祇園祭と「日立風流物(ふりゅうもの)」(茨城県)の2件がそれぞれ2009年に登録された。だが、11年の審査で秩父祭と「高山祭の屋台行事」(岐阜県)が先の2件との類似性を指摘され、登録を見送られた経緯がある。

提案の増加を受けてユネスコが審査件数の上限を設けたこともあり、政府は特徴の似た33件をグループ化して昨年3月に提案。事前審査を行う評価機関が今年10月末、「地域文化の多様性を示している」と評価し、登録を勧告していた。18年には「男鹿のナマハゲ」(秋田県)など8県の8行事をグループ化した「来訪神 仮面・仮装の神々」が審査される。

「世界の祭りへ躍進」…三重県伊賀市で記念式典

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※「山・鉾・屋台行事」の無形文化遺産登録決定を祝い、万歳する「上野天神祭のダンジリ行事」の関係者=1日午前、三重県伊賀市

上野天神祭でのだんじり行事がユネスコ無形文化遺産に登録決定された三重県伊賀市では、市内の「だんじり会館」に1日早朝から約120人が集まった。太鼓の演奏で始まった記念式典では、地元にある文化美術保存会の八尾光祐会長(80)が「三重の祭りから世界の祭りとして躍進させていただいた」とあいさつし、会場は喜びの拍手に包まれた。

式典では、くす玉割りや鏡開きも行われ、岡本栄市長が「待ち望んだ決定でうれしい。今後、どう生かすかが大事だ」と話した。参加した同市の北川博さん(75)は「これで祭りはまた発展するし、地域の活性化につながると思う」と目を細めた。

祭りを核に町おこしを…祇園祭山鉾連合会

「山・鉾・屋台行事」の無形文化遺産への登録が決まったことを受け、祇園祭山鉾連合会(京都市)の岸本吉博理事長は1日、「非常にめでたいが、これまで以上に継承に取り組まねばならないという大きな責任を負った」と気を引き締めた。

さらに「祭りを核にして地域社会が結束し、町おこしにつなげていかないといけない。『自分たちの祭りが一番』という郷土の誇りを持ち続けることが大事で、それが次世代に継承していくモチベーションとなる」と話した。

長浜曳山祭の地元がお祝い…市長ら70人が記念行事

国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産への登録が決まった「山・鉾・屋台行事」のうち、子供が歌舞伎を披露する「長浜曳山祭の曳山行事」の地元、滋賀県長浜市では1日、記念セレモニーが開かれ、藤井勇治市長や関係者ら約70人が登録を祝った。

セレモニーは日本時間の11月30日夜に予定されていたが、審議の延長に伴って市の担当者ら数人を残しいったん解散。登録が決まった後の1日午前8時から開かれた。会場には登録決定を祝う看板が掲げられ、万歳三唱の後に全員で「よいさ」と祭りの掛け声を響かせた。

藤井市長は「ようやくこの日が来たと実感している。誇りを持って祭りを国内外に発信したい」とあいさつした。

郷土の誇り、次世代に継承…福岡知事、市長

「博多祇園山笠行事」と「戸畑祇園大山笠行事」がユネスコ無形文化遺産に登録が決まったことを受け、地元福岡県の小川洋知事は1日、「(行事は)それぞれの地元で愛され、郷土の誇りとして大切に守ってきたものだ。魅力を内外に発信するとともに、次世代に着実に継承されるようしっかり取り組む」と歓迎するコメントを発表した。

博多祇園山笠行事が開かれる福岡市の高島宗一郎市長もコメントで「770年以上にわたり振興・継承に取り組んできた先人、関係者の尽力のたまものだ。博多祇園山笠の世界的知名度が高まる」と期待を込めた。

秋田・土崎の関係者「思いが結集」

秋田市の「土崎神明社祭の曳山(ひきやま)行事」(土崎港曳山まつり)が「山・鉾・屋台行事」のユネスコ無形文化遺産に登録されることが決まった1日、土崎神明社では関係者が万歳三唱して喜んだ。

土崎神明社祭の曳山行事は江戸中期に始まったとされ、毎年7月、勇壮な武者人形と世相を風刺した「見返し」を飾った曳山が「ジョヤサ」の掛け声に合わせて秋田市の港町、土崎地区を練り歩く。

土崎神明社奉賛会会長の小林一彦さん(83)は「みんなの思いが結集して決まった。文化遺産として大事に育てていきたい」と感極まった。

秋田県からはほかに「角館祭りのやま行事」(仙北市)と「花輪祭の屋台行事」(鹿角市)の登録が決定。佐竹敬久知事は「地域の伝統や文化を守り受け継いでいくとともに、観光客誘致などの地域活性化に向けた取り組みも進めたい」と決意を示した。 

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