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訪日客呼び込む佐賀の熱気球フェスタ 「観る」「する」「支える」三者一体で地域経済活性化

2016/11/28

豊かな自然を眺めながらアウトドアスポーツを楽しみたい外国人を呼び込もうと地方が躍起になっている。

地元の自然環境に適した「するスポーツ」の開催を世界に発信して選手を誘致する一方で、地元ボランティアがおもてなしにより大会を「支える」。こうして知名度が上がれば「観る」人も世界から集まる。宿泊や飲食、土産などのショッピングも伴うので経済波及効果は大きく、地元の雇用創出と経済の活性化にもつながるとあってスポーツツーリズムへの期待は大きい。

1158機・約4500人の海外選手・クルーが参加

風を読みながらゴールを目指して飛行する熱気球大会もその一つで、10月28日から11月6日まで佐賀市で開かれた「2016佐賀熱気球世界選手権」には、同時開催のホンダグランプリやフェスタなど別競技を含めると180を超す熱気球が佐賀の広大な空を舞った。

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※「2016佐賀熱気球世界選手権」に参戦した105機が、多くの観客が見つめる上を次々と飛び立っていった=5日、佐賀市

2年に1度開催され、熱気球のオリンピックといわれる世界選手権が佐賀で行われるのは3回目。米バトルクリーク(ミシガン州)の4回に次ぐ開催回数だ。

熱気球界では、国際大会「佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」を1984年から開催してきた佐賀の知名度は高い。2015年までに延べ1158機・約4500人の海外選手やクルーが参加し、日本選手を含めると3506機が佐賀の空を飛行した。

この実績から「受け入れ態勢、離着陸スペースなど規模も含めてトップレベルの大会を運営できる」(同選手権実行委員会オフィシャルバルーン管理メディア担当の大野修氏)と評価され、今回は31カ国・地域から予選を勝ち抜いた強豪が勢ぞろいした。

観客の多さも佐賀の魅力で、期間中に目標(120万人)を上回る131万人が会場を訪れた。外国人も例年の約1.5倍といい、会場のあちこちで英語や中国語などが飛び交っていた。

観客の多さが参戦者のモチベーションを高めるようで、わざと観客の頭の上を通ってから上昇するパイロットもいて大いに盛り上がっていた。

大会支えるボランティア、地元農家の協力も不可欠

一方で、大会を支えるのは「すべてボランティア。大会準備は仕事を終えてから集まって打ち合わせた」と大野氏。パイロットでもある同氏はボランティアとして25年間、運営に携わってきた。

地元の理解も欠かせない。熱気球の離着陸地が田畑の場合もあり、農家の了承なくして大会は開けないからだ。また熱気球は風任せのため、想わぬ場所に降りることもある。

しかし、佐賀では勧迎ムードにあふれる。ホームステイを希望する外国人選手の多さが証明する。

「今年は42チーム158人と例年の2倍の応募があり、新規受け入れ先の確保に追われた。国際交流の一環で、おもてなし」と大野氏は説明する。

宿泊先を指定する常連がいるほか、口コミでおもてなしを知った初参加者が希望したためだ。受け入れ先では身ぶり手ぶりを交えて交流しているという。

「すてきなおもてなしをありがとう。また佐賀に来てビーバーの熱気球に乗りたい」。佐賀の空を初めて飛ぶ米国人パイロット、ジョー・ズヴァダ氏は、共栄火災海上保険が運営を委託しているビーバー・バルーンクラブ(佐賀市)主催のパーティーであいさつした。

同クラブが保有する熱気球「まもるくん号」は3機。1機は、同クラブの鶴崎伸一会長(共栄火災海上佐賀支店代理店店主)が選手権とは別の25機が技を競った「フェスタ」と夜間係留に参加するため使った。

残る2機のうち1機のバスケットを借りてズヴァダ氏が参戦。もう1機は中国人に貸した。鶴崎氏は「競技志向というよりボランティア志向。国際交流を意識してパーティーを開き、熱気球を貸す」と語った。

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※ビーバー・バルーンクラブ主催のパーティーに参加したジョー・ズヴァダ氏(左)とクラブのクルー

客室稼働率は9割近く 経済効果は100億円超

佐賀市は大会期間中、国際色豊かになる。市内のメーン通りはイルミネーションでライトアップされ、ホテルも選手や観光客でにぎわう。

「アパホテル〈佐賀駅前中央〉」の八谷誠支配人は「熱気球を目的とした外国人宿泊客が年々増えている。今年は世界選手権となったことで注目度も高く、外国人が全体の2割ほどを占めた」と喜ぶ。開催期間中の客室稼働率は実に87.5%に達した。

佐賀インターナショナルバルーンフェスタ開催は海外からの注目度も高く、多くの訪日客が佐賀を訪れるため、この時期は市内における宿泊需要は最も高くなる。それだけ地元経済は潤うわけで、今年の世界選手権の経済波及効果は100億円を超すとみられている。

訪日外国人の誘致にスポーツの力を借りる動きが地方で活発化しているのは、プロ野球や大相撲など「観るスポーツ」は都市部で開催されるからだ。対抗するには、都市部にはない豊かな自然を生かすしかない。

四季折々の美しい風景を眺めながら汗を流せるサイクリングやマラソンといった「するスポーツ」は地方にとって最もふさわしいといえる。

大会開催などイベント情報を世界に発信して選手に参加を促しながら、大会を「支える」地元ボランティアのおもてなしをアピールして「観る」外国人も誘引。三者が一体となって大会を盛り上げ、雇用を生み地域経済の活性化につなげる狙いだ。(松岡健夫)

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