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ドラえもんの「ほんやくコンニャク」が現実に! 外国人の「おもてなし」支える“日本の技”

2016/11/27

外国人と自由に会話ができたら-。そんな願いをかなえるドラえもんの道具のような便利グッズやサービスが続々と開発されている。2020年東京五輪・パラリンピックを控え、訪日外国人客が増え続ける中、実用化目前の夢の道具は、「情報を多くの人に伝えたい」「相手の目を見て話したい」といった、日本のおもてなし精神にあふれていた。(高橋裕子)

メガホンに話すだけ 4カ国語の使い手に!

201611251329_1.jpgパナソニックが12月に発売予定の翻訳機能つき拡声器「メガホンヤク」

今年4月17日、成田空港(千葉県成田市)の3つのビルでは外国人観光客ら計約3千人がロビーのベンチや床に座って夜を明かしていた。強風のため国際便の到着が深夜にずれ込み、出発できないなど大幅な遅れが発生。空港周辺の電車も止まり、行き場を失ったのだ。

そのとき、メガホンを持った空港職員が「無料で寝袋を配布しています」と日本語、英語、中国語、韓国語でアナウンス。広いロビーのあちこちから集まってきた多くの人に寝袋やビスケットが配布された。

アナウンスしたのは、さぞや語学ができる職員なのかと思いきや、秘密は手にしたメガホンにあった。

職員が持っていたのは、パナソニック(本社・大阪市)が開発中の翻訳機能つき拡声器「メガホンヤク」。ドラえもんの秘密道具「ほんやくコンニャク」は、一度ほんやくコンニャクを食べなければいけないが、こちらはメガホンに話すだけで、日本語を一旦録音して翻訳、4カ国語でのアナウンスを可能にする優れものだ。

成田空港会社によると、緊急時の物資配布は以前から行っていたが、館内放送で呼びかけても聞き流されてしまい、あまり伝わっていなかったという。4月のトラブル時に対応した同社のIT推進部、松本英久マネージャーは「すぐに声かけに気付いてもらえ、英語圏以外の人にも的確な案内ができた」と振り返る。

ペンダント型など会話用の翻訳機を開発しているパナソニックが、「一斉に大勢の人に翻訳を伝えられるものを」と1年半ほど前にメガホンヤクを発案。改良を重ね、試作品を昨年12月から成田空港や警視庁など約30の会社などに使ってもらっていたが、12月20日から正式に法人向けのサービス提供を始めることが決まった。

翻訳の正確性を重視し、約300の定型文を内蔵する。価格は定型文の更新などのメンテナンスも含めた3年契約で、月額1万円台後半となる見通し。翻訳機単体での販売はしない。

パナソニック無線ソリューション開発部の田中和之課長は、「東京五輪の開かれる2020年は訪日外国人の一つのピークになる。そのころには翻訳できる言語も増やし、定型文以外も翻訳できるよう、ある程度のところまで到達したい」と話す。

ドラゴンボールのスカウター? 目を合わせて話したい人はこちら

201611251329_2-300x0.jpg「神戸デジタル・ラボ」が開発した翻訳ソフトを使えば、「テレパシージャパン」など複数メーカーのメガネ型端末をかけるだけで、日本語と外国語のやり取りができる(荻窪桂撮影)

一方、「神戸デジタル・ラボ」(本社・神戸市)は「テレパシージャパン」(本社・東京都中央区)など複数メーカーのメガネ型端末をかけるだけで、日本語と外国語のやり取りができる翻訳ソフトを開発した。

相手が話した言葉をメガネ型端末が翻訳して音声で再生するとともに、メガネのレンズ部分に設置された超小型ディスプレーに字幕を表示。互いに端末を装着すれば、視線を合わせながらそれぞれの言葉でコミュニケーションをとることができる。メガネ型端末はまるで、漫画「ドラゴンボール」で、相手の戦闘力などを測る「スカウター」のようだ。

英、中、韓など30言語を翻訳。ソフトはメガネ型端末のほか、スマートフォンなどにも対応しており、チケット窓口などでは、職員がメガネ型端末をかけ、客側にタブレットを置いて使用することも可能だ。「スマホの翻訳アプリではスマホに目線が行きがち。お客さまと目を合わせて対応できる」とホテルや店舗など接客業から、問い合わせが相次いでいるという。

将来的には、外国人がメガネをかけて街を歩くだけで、目的地までの切符の買い方や料金を案内したり、飲食店のメニューが翻訳されて表示されるなど、「操作を意識せずに自動的に情報が得られるものにしたい」と、神戸デジタル・ラボのマネージャー、佐々木幸一さんは話す。外国人だけでなく、障害者を手助けする用途も想定しているという。

2020年には一般の人が手頃な価格でスマホからアプリをダウンロードできる商品の発売を目指す。佐々木さんは、「まずは言語の壁、そしてプラスアルファの壁を越えるサービスが、東京五輪のころにはいろんな場面で普及している状態にしたい」と意気込んでいる。

無料で外国語メニュー作成 店のPRもできるウェブサイト

既に実用化されているものでは、飲食店のメニューを多言語で作成できるウェブサイト「EAT東京」が人気を集めている。

東京都内の飲食店向けに、都が平成27年1月に始めたもので、店名などを登録し手順に沿って操作すれば、英、中、韓、仏など12カ国語でメニューが作成可能だ。宗教上の理由やアレルギーで避ける食材がある人には喜ばれそうな「卵」「牛肉」「豚肉」などを表すピクトグラム(視覚記号)も多数用意している。

店内に置くメニューとウェブサイトの両方が作成できる上、都のサイト内で「外国語メニューがある飲食店」として紹介してもらえるおまけもつく。広告料ももちろん無料だ。現在の登録店舗は約600店で日々増えているという。

都の担当者は、「都が運営する安心感と無料の手軽さが受けたようだ。登録が増えれば訪日外国人の目にとまりやすくなり、旅行者にもより便利になる」と話している。

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