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宮島に「入島税」導入を検討 広島・廿日市、外国人観光客増加…安定財源に

2016/11/08

12月に厳島神社の世界遺産登録から20年となる広島県・宮島で、島に立ち入る際に税を徴収する「入島税」の導入が、地元・廿日市(はつかいち)市で本格的に検討されている。

住民の高齢化に伴い税収が減少する一方、外国人観光客が急増しており、観光地の維持整備費の一部を観光客にも負担してもらうのが狙い。

ただ、入島税は類似例は少ないうえ、反発も予想されており、市は今後、導入の是非を慎重に判断していく方針だ。

島民も1回100円?!

201611072038_1-250x0.jpg学識経験者や地元観光関係者などでつくる検討委員会は、具体案をまとめ、11月18日に市長に提出する。提案では、来島者に課税する方法と、島内の水族館や神社などの観光施設に課税する2案を併記する。

来島者への課税案では、島に渡るフェリー乗り場に専用ゲートを新設。コインを入れるとバーが回り、通過できる仕組みをイメージしている。通勤・通学に利用する島民からも一律徴収するため、反発が想定されるうえ、ゲート設置のための整備費や維持費がかさむ難点もある。

一方、観光施設の案では、宮島水族館や宮島歴史民俗資料館など市施設以外に、厳島神社や宮島ロープウエー、ホテル・旅館など民間施設の利用者が対象。ゲートなどをつくる必要はないが、税導入で利用者が減る恐れもあり、施設側の理解が必要だ。

税額は現時点では未定だが、検討委では、過去のアンケートなどから1回100円の案をたたき台に議論を進めてきたという。

税収は激減、施設老朽化

入島税は、過去にも検討されたことがあるが、平成20年の「リーマン・ショック」を受け見送られた経緯がある。

しかし、22年に343万人まで落ちこんだ来島者は、24年には400人を突破。特に外国人観光客は23年の6万6000人から26年には13万7000人に倍増している。

一方、市民の高齢化や若者の流出などで、市税収入は19年の169億円をピークに26年は156億円まで減少。26年の社会保障費は105億円と19年時点からほぼ倍増している。

観光施設やトイレ設備などは老朽化が進むが、改良が追いつかず、市では今回「安定的な財源の確保」を目指し、入島税の導入検討を始めたわけだ。

導入にハードル高く…

ただ、税導入の是非にも賛否両論があり、観光客からは「島の環境保全につながるのであれば」と歓迎する声もあるものの「観光地を訪れるのに税金を払うなんて…」と否定的な声も。

類似例も沖縄県の伊是名村と伊平屋村、渡嘉敷村の「環境協力税」など少ない。廿日市市の担当者は「宮島はほぼ10分間隔でフェリーが運航しており、沖縄3村とは導入後の影響も大きく異なる。利害関係者も多く、説明や理解が大前提で、ハードルは高い」と話していた。

■宮島
宮城の松島、京都の天橋立と並び日本三景とされる広島の景勝地。平安時代末期以降、厳島神社の影響力や海上交通の利点を生かして発展した。平成23年には世界最大級の旅行サイト「トリップアドバイザー」の「外国人に人気の日本の観光スポット」第1位となった。一方で、17年に廿日市市に編入合併された宮島地域の人口は1682人(今年4月)と、7年時点から3割以上減少。島内には学校や金融機関もあるが、進学や就職で若者の流出も多い。

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