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「山・鉾・屋台行事」のユネスコ無形文化遺産登録…各地で観光振興への期待膨らむ

2016/11/02

18府県33件の祭りで構成する「山・鉾(ほこ)・屋台行事」が10月31日(月)、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録するよう勧告されたことで、対象となった行事がある各地の自治体ではお祭りムードが高まっている。登録されれば、海外からの注目が高まり、訪日外国人観光客の誘致の大きな後押しになるだけに関係者の期待は膨らむ一方だ。

文化庁に31日入った連絡によると、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の補助機関は「唐津くんちの曳山行事」(佐賀)など18府県33件の祭りで構成する「山・鉾・屋台行事」を無形文化遺産に登録するよう勧告した。ユネスコが11月28日から政府間委員会で審査するが、勧告は尊重されるのが通例で、登録はほぼ確実になった。
【関連記事】「山・鉾・屋台行事」を登録へ ユネスコ無形文化遺産、18府県33件の祭り一括

九州からは5件、福岡市長「みんなで喜びたい」

福岡市の高島宗一郎市長は11月1日(火)の記者会見で、九州の祭り5件を含む「山・鉾(ほこ)・屋台行事」が登録を勧告されたことを受け、「(祭りのある)各都市と連携し、九州を盛り上げるために何か考えたい」と述べ、祝賀イベントの共同開催に意欲を示した。

201611022223_1-250x0.jpg博多祇園山笠

九州からは「博多祇園山笠」(福岡市)、「戸畑祇園大山笠」(北九州市)、「日田祇園の曳(ひき)山(やま)」(大分県日田市)、「八代妙見祭の神幸」(熊本県八代市)、「唐津くんちの曳山」(佐賀県唐津市)が含まれる。

高島氏は「みんなで喜ぶことができればよい。博多祇園山笠の世界的な知名度のアップにもなり、誇らしい」と喜んだ。

ただ、祭りなど各地の行事は担い手不足が課題となっている。高島氏は「『私』の時間を、『公』や伝統保持に費やさないと山は動かせない。祭りの華やかさと同時に、まちの絆や思いも、世界に発信できたらと期待している」と述べた。

北九州市の北橋健治市長は「大変喜ばしい。都市ブランドをより高めるための有力な資源。正式に登録され、市民と喜びを分かち合えるよう願っている」とコメントした。

熊本県の蒲島郁夫知事は「八代市などがこれまで守り伝えてきた努力のたまもので、大変うれしい。魅力をさらに磨き上げ、世界へ発信したい」とのコメントを出した。

岐阜・高山市は春秋の23台の屋台を一堂に

岐阜県の高山市では、市などが平成29年4月の春の高山祭終了後に、通常は春と秋の祭りにそれぞれ出される屋台計23台を勢ぞろいさせる記念行事開催の検討を始めた。

市は、登録が決まった場合、来年度予算案に記念行事の経費を盛り込む方向で検討している。開催は同年4月末を予定しているという。

高山祭保存会の寺地亮平理事(60)は「過去にも春秋の屋台がそろったことはあるが、ちょうちんをつけて夜の町を23台で練り歩くのは例がないのでは。伝統を未来につなげる契機にしたい」と話した。

高山祭は国の重要無形民俗文化財に指定されており、精巧な木工細工や金箔で彩った屋台が古い町並みを巡る。春と秋にそれぞれ2日間ずつ開催され、ともに20万人前後が訪れる。

滋賀・長浜曳山祭は来年4月、全曳山の出場を決定

長浜曳山祭の運営を取り仕切る「長浜曳山祭総当番」は1日、来年4月の祭りに曳山13基を全て出場させることを決めた。全13基が登場することで、無形文化遺産の登録ムードを盛り上げる。

長浜曳山祭は、その年の当番になった4基のみが登場することが慣例になっている。13基全てが登場するのは、1市2町が合併したことを記念した平成18年以来となる。

来年の当番になっている4基が、例年通り子供歌舞伎を披露。きらびやかな飾り付けや太刀やのぼりを積んだ残りの9基も登場し、祭りに花を添える。

埼玉「秩父夜祭」「川越まつり」関係者ら歓喜

201611021342_2-250x0.jpg秩父夜祭

埼玉県では、秩父市の秩父夜祭り、川越市の川越まつりが対象となった。

秩父祭は12月1~6日に行われる秩父神社の例大祭。京都祇園祭、飛騨高山祭とともに日本三大曳山(ひきやま)祭の一つに数えられる。屋台囃子とともに笠鉾2基と屋台4基の山車が町中に登場し、伝統的な秩父歌舞伎や曳き踊りなどが行われる。

川越氷川祭の山車行事は10月第3土日曜に開催。江戸時代に藩主・松平信綱がみこしや獅子、太鼓などを寄進したことが発祥で、曳き回しの際に山車同士を向き合わせて囃子の競演を行う「曳っかわせ」が観光客の人気を集めている。

秩父祭保存委員会会長の久喜邦康市長と同連合会専務理事の高橋信一郎さんらは勧告決まった31日の夜、市内の秩父まつり会館で記者会見。久喜市長は「12月3日に秩父夜祭が33団体の一番先に行われ、世界から注目されるのを期待している。登録が今後後世に伝えられる原動力になれば」と喜びを語った。

中近笠鉾保存委員会顧問も務める高橋専務は「祭りというアナログ行事が見直されることで、日本人自身の精神生活の上においても大きな意味があるのではないか」と話し、平成21年に初めてユネスコに提案が行われて以来、待ちに待った朗報に興奮冷めやらない様子だった。

川越市の川合善明市長もコメントを発表し、「全国の祭りを支える関係者の方々による長年の努力が認められ、伝統維持への活力になる」と喜んだ。

千葉「佐原の大祭」、県内初の文化遺産に期待

一方、千葉県内でも「佐原の山車行事(佐原の大祭)」の地元、香取市を中心に喜びの声が広がった。勧告通り登録されれば、県内初のユネスコ無形文化遺産となる。

今回登録を勧告された「山・鉾・屋台行事」に名を連ねたのは、県内では佐原の大祭のみ。佐原の大祭は「夏祭り」と「秋祭り」があり、約300年の伝統を誇る。期間中は勇壮な山車が江戸時代の情緒を残す町並みを進み、今年の秋祭りでは3日間で延べ約34万7000人の人出があった。

「喜びをかみしめている。おかげさまで夢がかなった」。NPO法人「まちおこし佐原の大祭振興協会」の永野美知子事務局長(66)は吉報に声を弾ませた。同協会は毎年、祭りの開催が近づくと、成田空港に山車のミニチュアを展示するなどして知名度アップに取り組んできた。

永野さんは「祭りは町の人たちの誇りで続いてきた。次の世代にむけ育ててていく。外国人観光客にも日本の文化を体験してもらい、和を感じてほしい」と話した。

勧告を受けて宇井成一香取市長は「永きにわたって市民に愛され、伝承されてきた佐原の山車行事を海外へも発信できる機会となり、大変うれしく光栄に思う」。森田健作知事も「大変うれしい。これを機会に本県の伝統文化の魅力発信や地域振興にさらに取り組む」とのコメントを発表した。
 

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