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しまなみ、沖縄に続け! 各地の自治体がサイクリングで訪日客誘致…成功のカギは?

2016/10/25

日本を訪れてサイクリングを楽しむ外国人が増えている。海に囲まれ、山間部が多い日本は多様なサイクリングコースを楽しめるうえ、走りながら四季折々の自然を満喫できるからだ。訪日外国人観光客の誘致は地方創生につながるとあって自治体もコースづくりや大会開催に注力、旅行会社と手を組んでイベント情報を世界に発信している。(松岡健夫)

260人強の外国人が参加する「サイクリングしまなみ2016」

201610251609_1.jpgサイクリングしまなみ」には多くの外国人サイクリストが参加。しまなみ海道は、世界7大サイクリングロードに選ばれるほどメジャーに(写真は2014年の大会)


愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」を自転車で駆け抜ける国際サイクリング大会「サイクリングしまなみ2016」が10月30日に開催される。今年が2回目で、3800人超からエントリーがあり、このうち10を超える国・地域から260人強の外国人が参加予定だ。台湾からはチャーター便を飛ばして約150人がやってくるという。

瀬戸内海国立公園指定80周年と、日本で唯一の海峡を横断する自転車道が整備された「しまなみ海道」開通15周年が重なった2年前に初開催し、約7200人が駆け抜けた。このうちアジアや欧州など31カ国・地域から集まった525人が海の上を走っているような感覚や途中で高速道路に入るなど非日常の景色を味わいながら健脚を披露した。

世界のサイクリストから注目されるようになったのは、12年5月に台湾最大の自転車メーカー、ジャイアントの劉金標会長がしまなみ海道を走り、「すばらしい」と世界に発信したからだ。これを機に、米CNNはトラベル情報サイトで「世界7大サイクリングロード」と持ち上げたほか、フランスミシュランはガイド誌で「一つ星」を与えた。

今や「サイクリストの聖地」となったしまなみ海道を、愛媛県経済労働部観光交流局観光物産課の藤原康芳主幹は「世界で唯一無二の海峡を橋でめぐるサイクリングコース」と得意顔で話す。その上で「平日もシーズンズ中は外国人を見かけない日はない」と言い切る。

当初は「サイクリング客は走るだけ。落とすのはゴミ」と乗り気でなかった地元の観光関連業者も「滞在客が増え、宿泊や買い物でお金が落ちるようになった」と歓迎、外国人観光客の増加を実感しているという。

愛媛県は「愛媛マルゴト自転車道作戦」を進行中で、県内に26のサイクリングコースを整備、しまなみ海道にとどまらず県内全域にサイクリストを誘導する。

需要を見込んで、受け皿となる宿泊施設や飲食店も相次ぎオープン。松山市に15年8月に開業した「カンデオホテルズ松山大街道」のセールス責任者、曽我部聡氏は進出理由を「道後温泉、松山城など観光資源に恵まれ、自治体も韓国、中国人観光客の取り組みに積極的なので松山に興味を持った」と説明、訪日客の宿泊利用を期待する。

旅行会社とタッグ、世界に情報を発信

海外からの大会参加者の誘致や参加ツアーの企画・販売、大会のプロモーションなどでかかわったのがJTBグループ。訪日専門の事業会社JTBグローバルマーケティング&トラベルの植田裕己彦MICE事業部国際イベント課長は「日本でサイクリングがブームになっている。


自治体もPRに力を入れており、海外展示会などに一緒に参加して情報発信している」という。「サイクリングしまなみ」も大会参加に加え、道後温泉や四国周遊など魅力ある商材とセットでツアー客を呼び込んでいる。

「日本一早い桜と、碧い海を走る。」をメーンコンセプトにサイクリストを誘うのは沖縄県。1月の観光閑散期の底上げを狙って、沖縄本島中北部の9市町村を走る「美ら島オキナワCenturyRun(センチュリーラン)」にも同社が海外からの誘客で力を貸す。

201610251609_2.jpg※1月に開催された「美ら島オキナワCenturyRun」に参加した韓国人サイクリストら。沖縄でのサイクリングをエンジョイしている

17年1月15日開催の第8回大会の参加者を11月末まで募集しているが、サイクリング需要があり、13年から15年で約13倍に増えた台湾や韓国をメーンターゲットに据える。

海外からの参加者は、10年の初回がわずか10人(全体1550人)だったが、16年は約200人(2038人)に増えた。

沖縄でスポーツといえばダイビングなどマリンスポーツを思い浮かべる。このため冬に訪れる訪日客は多くないが、海外でもブームとなっているサイクリングで訪日外国人を誘致できれば「サイクリングアイランド沖縄」の認知度は間違いなく向上。閑散期も埋められる。

各地の自治体がイベント開催 “争奪戦”に

サイクリングにもってこいの季節を迎え、日本各地で自治体が競って大会を開催、サイクリストの奪い合いの様相を呈している。

どれだけ情報発信できるかがポイントになるが、「外国人ブロガーがSNSで『サイクリングだけでなく自然や食事もよかった』と発信すれば相当のアピール力になる」と指摘するのは日本スポーツツーリズム推進機構会長で早稲田大教授の原田宗彦氏。「サイクリングは世界から人を集める観光資源の一つ。スポーツで汗をかいた後、観光地に行って泊まって帰れば経済効果は大きい」と効用も説く。

スポーツで訪日客を呼び込めば宿泊や食事の提供などを通じて雇用創出を生み出し地方活性化をもたらすのは確かだ。それだけに世界のサイクリストを惹きつける発進力が求められる。

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