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「観光立国」への課題 入国審査待ちで訪日客が長蛇の列

2016/09/25
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空港、港湾で入国審査官や税関職員が大わらわだ。急増する訪日外国人客と、世界的にリスクが高まるテロへの対応で、作業が膨大になっているためだ。空港などでは入国審査で30分前後も待たされ、訪日客もうんざり。

政府は入国審査官などを緊急に増員し、どうにか急場をしのぐ日々が続く。

だが、政府が東京五輪が開催される2020年までに訪日客数を4,000万人に引き上げる目標を掲げる中、それでは不十分。「観光立国」にふさわしい、充実した検査体制を構築することが求められている。

OBの手も借りたい

入国審査待ちの訪日客が長蛇の列-。国内の空港でよくみかけるようになった光景だ。訪日客の急増に入国手続きが追いつかず、関西国際空港では待ち時間が今年1~6月の平均で40分にも上る。成田空港や羽田空港も27分と長い。

政府は待ち時間を20分に短縮することを目指しており、法務省は9月2日、入国手続きのスピードアップのため、全国の空港と港で入国審査官計62人を緊急増員すると発表した。
 

財務省は9月2日(火)、急増する訪日外国人客への対応やテロ対策強化のため、税関の職員を緊急で計79人増員すると発表した。人やモノの出入りが増える中、検査体制を強化する。
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また税関も訪日客の急増などで作業が増えており、財務省は同日、税関職員を計79人緊急で増員すると発表。税関OBの雇用や、度途中の新規採用で確保するという。

法務省と財務省は昨年12月、入国審査官計57人、税関職員計51人の緊急増員をを決めたばかり。検査体制の強化を重ねても、「人やモノの出入りが日に日に増えており、対応が追いついていない」(港湾関係者)状況だ。

税関職員の試算見直し

訪日客は増える一方だ。2015年は過去最高の約1,974万人を記録し、10年前の2005年(673万人)に比べて約3倍に膨れあがった。今年に入っても増えており、上期(1~6月)は前年同期比で約3割増えたという。

一方、全国の入国審査官は今回の緊急増員で2,680人、税関職員は9,041人となる。10年前に比べると、入国審査官は2倍弱、税関職員は約6%の伸び。3倍という訪日客の増加ペースに比べると、人手不足は否めない。

政府は訪日客数を2020年までに4,000万人、さらに2030年までには6,000万人に引き上げる青写真を描く。

訪日客の急増は「予想を超える伸び」(財務省)。このため、これまで2015年から5年間で税関職員を550~700人程度増やす必要があるとみていたが「今後の対応を検討する」ことにした。法務省も、入国審査官の今後の増員を検討するという。

テロ対策も必須

東京五輪だけでなく、 2019年のラグビーのワールドカップ(W杯)など、日本では今後、国際イベントがめじろ押しだ。訪日客が増えることが期待されるが、国内外から人が集まるイベントを狙ったテロが起きる懸念もあり、徹底して未然に防止しなければいけない。

そのために法務省や財務省が力を入れているのが、航空機が到着する前に、乗客の航空券の購入場所や支払い方法、旅程などの乗客予約記録(PNR)を航空会社から取り寄せることだ。取り締まりの対象を効率よく絞り込むことで、乗客や貨物の検査に役立てている。

ただ日本は現在、米国やアジアなどの世界の主要航空会社からPNRの提供を受けているが、プライバシー保護に厳格な欧州連合(EU)からは入手できていない。日本側はEU側に提供について打診しているという。

今後の通関業務に求められるのは、人材を手厚く確保した上で、スムーズな通関手続きと徹底した水際の安全対策を今までよりもうまく両立させることだ。

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