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音楽、グルメ、化粧品…日本で空前の台湾ブーム そのワケは?

2016/09/22

台湾の音楽やグルメに化粧品、さらにはいわゆる“ゆるキャラ”まで、台湾カルチャーが今、続々と日本に上陸している。

背景にあるのは、ここ数年でより親密さを増す日台間の友好的な関係。日本カルチャーに親しんで育った台湾アーティストから生み出される作品が日本人に親しみやすいことや、韓国ブームから台湾ブームに移りつつあるとの指摘もある。

盛り上がるライブ

「日本と台湾はこれからも相思相愛でいきましょうー!」

8月、都内・恵比寿で開催された台湾カルチャーのイベント「台ワンダフル」。ステージで演奏を披露した台湾で人気のロックバンド「Fire EX.(滅火器)」のボーカルを務めるSam(サム)さんがこう叫ぶと、会場に詰めかけた日本や台湾のファンからは大きな歓声が上がった。

同イベントでは台湾のバンドによる演奏や台湾関連グッズの販売などが行われ、主催者側によると一晩で約900人が来場。年代は20~40代が多いように見受けられた。

今年、日本では複数の台湾バンドがデビューしている。「Fire EX.」は6月にアルバム「REBORN」を発売し、日本のミュージシャンとコラボレーションした曲や東日本大震災の被災地でミュージックビデオを撮影した曲も収録。11月には都内のコンサートホール「Zepp 東京」で行われるライブへの出演も決まっている。

男女3人組のバンド「Elephant Gym」も8月に日本デビューアルバムを発売し、男性3人組の「宇宙人」は2月、初の全曲日本語のアルバムを出した。

「Fire EX.」のマネジメントを行うスペースシャワーネットワーク(東京都港区)エンタテインメント事業部の川崎英和さんによると「メンバーは日本のバンドの影響を強く受けていて、日本でのデビューを希望していた」といい、「彼らが台湾を代表するロックバンドになったことが日本デビューの一番の決め手だが、東日本大震災をきっかけに日台の距離が一気に縮まったと感じる」としている。

海外の音楽に詳しい音楽評論家の関谷元子さんは「台湾のアーティストは日本で尊敬していたり気が合うアーティストと組んで活動するのも、彼らの日本進出にとって良いかたち。これまで、台湾のアーティストは市場規模の大きさと言語が共通していることから中国を一番に考えることがほとんどでしたが、ここ数年の台湾では『台湾人意識』が高まっていて、中国市場を意識せず日本に来るアーティストもいる」と話す。

人気のゆるキャラ

白と黒の動物といえばまず思い浮かぶのがパンダ。だが、台湾からやってきた白黒の“ゆるキャラ”はマレーバクをモチーフにした「LAIMO(ライモ)」だ。台北の動物園で人気者のパンダに焼きもちを焼くなどするブラックユーモアなつぶやきが台湾のフェイスブックユーザーの注目を集め、台湾で一躍人気キャラクターとなった。

  • 【関連サイト】LAIMO

その動きに目をつけた玩具大手のセガトイズ(東京都台東区)がライセンスを取得し、日本国内でぬいぐるみや文具、雑貨などのグッズが各メーカーから展開されている。若者に人気の雑貨ショップ「渋谷ロフト」で作者を招いて実施した4月のイベントには約100人が来場し、8月には新宿伊勢丹でも特設ブースを設置した。

セガトイズは同時に、ネコをモチーフとした「爽爽猫(ソウソウネコ)」のライセンスも取得。同社ライセンス事業部の泉沙織さんは背景をこう話す。

「台湾で非常に人気があり、キャラクター自体がスタイリッシュなので日本でも男女ともに受け入れられると考えました。LAIMOも爽爽猫も作者は大の日本好き。日本文化の影響を受けた作者が生み出したキャラクターなので、日本でも親近感を抱きやすいのかもしれません」

出店加速するグルメ

201609221907_1-300x0.jpgもちもちとしたタピオカをミルクティーに入れた「タピオカミルクティー」は台湾を代表するドリンクだが、このタピオカミルクティーの発祥とされる台湾茶カフェ「春水堂」(本社・台湾台中市)は、日本での出店を加速している。

2013年、都内・代官山に1号店を出店したのを皮切りに、六本木や表参道、飯田橋などに展開。今年8月の「横浜ポルタ店」(横浜市)、9月16日の「天神地下街店」(福岡市)のオープンをもって全国展開に乗り出した。

日本で事業を手がけるオアシスティーラウンジ(東京都豊島区)によると、来春は関西に出店し、今後は年5店舗のペースで出店する計画。

18年2月期の売上高は16年2月期比約3倍の15億円を見込む。

事業開発グループのマネージャー、木川瑞季さんは「特に震災以降、台湾に対してポジティブなイメージが広まっている。当初は日本に住んでいる台湾の方や台湾へ行ったことのあるお客さまが多くいましたが、最近ではそうでない方の間でも『台湾はおいしい』という認識が広まってきているように思います」と言う。

より身近なところでは、台湾料理を乗せて走るフードワゴンも人気。

その一つ、「台湾茶舗」は都内を中心とした数カ所を拠点に、台湾の定番料理「ルーロー飯」(煮込んだ豚肉をご飯に載せたもの)や「タピオカミルクティー」を販売している。オーナーで台湾出身のアリス・チェンさんが「台湾料理を日本で広めたい」と5月に始めたもので、多い日は100人以上の“来店”も。「初めは台湾に行ったことのあるお客さまが多かったですが、最近はそうでない方も増え、一度食べたら毎回来てくれる方もいます」。

化粧品も高評価

女性のなかには、コンビニエンスストアやドラッグストアで「我的美麗日記」(私のきれい日記)という中国語が書かれたフェイスパックを見かけたことがある人も少なくないかもしれない。

台湾企業が台湾で2004年に発売開始したもので、値頃感から人気商品となり、現在はアジアを中心に世界14の国と地域で販売されている。

日本では13年から本格的な展開が始まり、「黒真珠」(5枚入り税別690円)や「官ツバメの巣」(同)といったラインアップが大手ドラッグストアチェーンやコンビニエンスストア、バラエティーショップなど幅広い場所に並ぶ。日本有数の化粧品口コミサイトでも高い評価を得ている。

日本事業を手がける統一超商東京マーケティング(東京都中央区)の山田真生さんによると、中心顧客層は10~30代女性で、「品質の良さと手頃な価格に魅力を感じていただけているほか、14年ごろから若い女性の間で韓国ブームが台湾ブームに移行してきていることも影響していると思われます」。商品名に台湾オリジナルの中国語を残したのは「台湾ブランドとして日本で挑戦したかった」ためといい、「最近は台湾ブランドとしての知名度が上がってきている」という。

日本文化の力

日本の対台湾窓口機関「交流協会」が7月に発表した台湾住民の対日意識調査結果によると、「台湾を除き、最も好きな国(地域)はどこか」という設問で、日本と答えた割合は56%と最も高く、中国(6%)や米国(6%)を大きく離した。

年代では20~30代が多く、この結果について台湾のある立法委員(国会議員に相当)は、「台湾には日本のカルチャーがたくさん入っていて、日本の音楽や漫画などに親しんで育った人は少なくない。そういったことも日本に親しみを持つ背景になっている」と、“文化の力”の大きさを分析する。

今後、日本にもより多くの台湾カルチャーが浸透すれば、日台関係はますます深まりを見せるかもしれない。

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