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日米欧に出回る模倣品の7割が中国製 これが「電子商取引大国」の実態だ

2018/02/06

 中国が「EC(電子商取引)大国」としての存在感を強めている。みずほ総合研究所によると、インターネットを通じた海外への輸出額は個人向け、企業向け含め約4兆5000億元(約77兆円)に達し、4年で3倍に膨らんだ。ただ、欧州連合知的財産庁(EUIPO)の調べでは、日本、米国、欧州の3市場に出回る模倣品の約7割が中国製という。ネットの普及で、知的財産侵害という“害悪”をまき散らしやすくなっており、どこまで歯止めをかけられるかが国際社会の課題となる。

 「いくつかの国は他国を犠牲にして(国際社会の)システムを食い物にしている」

 1月26日、スイスで開かれた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)でトランプ米大統領は中国を念頭にこう述べ、知財侵害といった「略奪的な行動」を非難した。中国のインチキ行為に対し、国際社会の怒りは強まっている。

 模倣品の拡散を後押ししているのがECだ。もともと、中国はネット通販大国。内閣府が1月発表した「世界経済の潮流」によると、16年の中国国内向けを中心としたネットの小売り売上高は5兆1600億元(約88兆7500億円)に上り、05年の200億元(約3400億円)の250倍強に達した。

 中国は国土が広大で、遠隔地同士のコミュニケーション・ツールとして、ネットが普及しやすい環境にあったことが後押しした。中国のECサイト市場を牽引(けんいん)するのは「アリババ集団」「京東」といった巨大企業だ。

 また、ECサイトを通じた中国から海外への販売額も増えている。みずほ総研が中国の行政機関に委託して調べまとめたリポートによると、11年の販売額は1兆5500億元(約25兆円)だったが、15年には4兆5000億元(約77兆円)へ増えた。一方、経済産業省の調査を踏まえて算出した16年の中国から日本へのネット小売り額は、前年比8%増の226億円だったという。

 「手軽にネットで中国製品を買うことができるようになっている分、模倣品や偽物も世界に出回りやすくなっている」。市場関係者はこう警戒する。

 そんな中、EUIPOと欧州刑事警察機構(ユーロポール)が昨年6月まとめた報告書は世界に衝撃を与えた。中国の輸出品全体の12.5%が模倣品で、日米欧で流通する模倣品の72%が、中国からの輸出品だというのだ。報告書は「中国は長く、世界の模倣品産業のエンジンとして知られてきた」と指摘した。

 日本でも通販サイトなどを通じて中国の事業者から、ブランドの模倣品をつかまされたり詐欺にあったりといった“被害”が増えている。事態に対処するため、政府は15年度、消費者庁の傘下にあった「越境消費者センター」を国民生活センターに移管し、相談体制を強化した。

 直前の14年度は月300~400件の相談がセンターに寄せられ、トラブル相手である事業者の所在国は、中国が27%で1位だったという。16年度は合計4473件で中国は9%まで下がったものの、米国(36%)、英国(22%)に次いで3位となった。

 一方、財務省によると、17年1~6月の全国の税関で偽ブランド品などの輸入を差し止めた件数は前年同期比11%増の1万5393件となり、上期としては過去3番目の高水準だった。このうち、中国からのモノが92.8%の1万4282件に達し、7年連続で9割を超えたという。

 なぜ、中国は「偽物作り」をやめないのか。基本的に、知財を保護する意識が薄いことが背景にあるとみられる。みずほ総研の酒向浩二上席主任研究員は「まずはアリババ集団など、業界をリードする大手企業が意識を変えるしかない」と指摘する。

 ただ、これまでの報道などによると、アリババ集団のジャック・マー会長は16年、「模造品の多くは正規品より優れている」と語り批判を浴びた。最近は、運営するECサイトから模倣品を追い出す方針を打ち出しているようだが、どこまで徹底する気があるのかよく分からない。

 知財保護については、米国を除く11カ国で大筋合意に至った環太平洋戦略的連携協定(TPP)でもルール作りが主要テーマとなった。経済がグローバル化する中、中国が真に国際社会へ仲間入りしたいなら、意識を徹底的に変革することが必要だ。(経済本部 山口暢彦)

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