Logo sec

外国人留学生も「売り手市場」 企業が熱視線、インバウンド需要や理系人材不足に対応

2018/02/05

 日本の新卒学生の就職活動が「売り手市場」となり、採用に苦戦する企業が目立つ中、日本の大学や日本語学校で学ぶ外国人留学生を本格戦力として採用する動きが広がっている。人材紹介会社や労働局などが主催する留学生向けの就職説明会には、参加を希望する企業が増加。留学生の国内就職率は約3割にとどまるが、訪日旅行客のインバウンド需要を取り込みたい飲食業界や理系人材を求める製造業界など、幅広い職種の企業が熱い視線を送っている。(林佳代子)

 留学生は「即戦力」

 昨年11月、大阪市内で人材派遣大手「パソナグループ」が主催する外国人留学生向けの秋の合同企業説明会が開かれた。製造や小売り、金融などさまざまな業種から参加した17企業がブースを設け、集まった約380人の外国人留学生に会社の魅力をPRした。

 売り上げの約8割が海外への販売という半導体製造装置メーカー「TOWA」は海外の工場や販売会社で勤務可能な留学生の採用を計画。「理系、文系、国籍を問わず人材がほしい。企業向けに商品を販売しているので、合同企業説明会に参加しないと会社の知名度が上がらないと思い、ブースを出展した」と話した。

 一方、焼肉やラーメン、和食レストランチェーンを展開する「物語コーポレーション」は組織を活性化させるダイバーシティー(多様性)の観点から留学生を積極採用。これまでに約80人を採用した実績があり、人事担当者は「日本人と同じ条件で働いてもらうことで、組織内で多様性を持たせ、組織の成長を促す目的がある。幹部候補生として活躍できる留学生を探している」と説明した。

 秋冬シーズンも需要

 日本学生支援機構の昨年の調査では、日本で就職を希望する外国人留学生は全体の63・6%だったが、同年卒業した留学生のうち日本で就職できたのは30・1%にとどまった。

 しかし、パソナグループの担当者は「外国人留学生が日本独自の新卒一括採用のシステムになじめず、企業と留学生との接点が少ないために人材が行き渡らないだけではないか。外国人留学生の採用を希望する企業のニーズは高まってきている」と分析する。

 実際、大阪労働局が大阪市内で昨年5月に主催した合同説明会には、製造業や小売業など、日本の学生の「理系離れ」が進んだ影響で、理系人材を求める会社も含めて150社が参加。留学生向けとしては異例の多さで、JR西日本や高島屋といった大企業もブースを設けた。

 また、日本の新卒学生の就職活動としては時期外れとなる秋の合同企業説明会への参加を希望する企業も増加している。

 定着率アップに課題

 こうした潮流に対し、もともと留学生をメーンに採用してきた企業では危機感も生まれている。

 外国人留学生の間での知名度が高いとされる免税店大手の「ラオックス」の採用担当者は、「以前は外国人留学生を採用しようとする企業が少なく、あえて合同企業説明会に参加しなくても自然に人材が集まったが、最近は企業間で人材の取り合いになっているため積極的に動かざるを得なくなった」と打ち明ける。「優秀な人材であれば、就活時期とは関係なくすぐにでもほしい」と話す。

 一方、物語コーポレーションの人事担当者は「最近は内定を辞退する留学生も出てきた。今後、さらに留学生の就職活動が過熱していく場合、企業側にも離職や転職による人材流出を防ぎ、定着率を上げるための取り組みが求められていくのではないか」と分析している。

 日本学生支援機構の調査によると、昨年5月1日時点の外国人留学生は過去最多の26万7042人で、前年同時期より2万7755人増えた。

 出身国・地域別ではアジアが大半を占め、中国が40・2%(10万7260人)で最多。前年より8777人増えた。ベトナムの23・1%(6万1671人)、ネパールの8・1%(2万1500人)と続き、4位以下は韓国5・9%(1万5740人)、台湾3・4%(8947人)、スリランカ2・5%(6607人)の順だった。

 留学先は大学など高等教育機関が18万8384人で、日本語学校は7万8658人だった。

あわせて読む

COOL JAPAN

もっと見る
「COOL JAPAN」の記事をもっと見る 「中国」の記事をもっと見る 「韓国」の記事をもっと見る

訪日外国人旅行者数

もっと見る
「訪日外国人旅行者数」の記事をもっと見る

多言語対応

もっと見る
「多言語対応」の記事をもっと見る

観光ルート

もっと見る
「観光ルート」の記事をもっと見る 「人材」の記事をもっと見る

翻訳・通訳

もっと見る
「翻訳・通訳」の記事をもっと見る

訪日プロモ

もっと見る
「訪日プロモ」の記事をもっと見る

地方創生

もっと見る
「地方創生」の記事をもっと見る

インバウンド

もっと見る
「インバウンド」の記事をもっと見る