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訪日客の医療費未払い防げ 関西官民で対策強化 入国時加入OKの保険など

2018/01/09

 日本の病院などで治療を受けた訪日外国人客(インバウンド)による医療費未払いトラブルの増加を受け、関西の自治体や損害保険会社など官民が連携して対策に乗り出している。訪日客の約3割が旅行保険に未加入で、高額の治療費を払えないケースが多いことから、入国後に簡単に加入できる保険を発売したり、「踏み倒し」を防ぐマニュアルを作成したりして、治療を受ける側、受け入れる側双方のリスク軽減を目指す。

 昨年夏、大阪府内のある病院は救急搬送された訪日客を集中治療室(ICU)で治療したが、治療費の一部を支払っただけで帰国し、残りの約60万円の催促には応じないという。近畿運輸局が平成28年に実施した調査では、同年5~7月で回答した大阪府内147病院のうち、20病院、27件で未払いが発生し、総額は1500万円を超えた。60万円超のケースも2件あったという。

 訪日客を対象にした観光庁による25年の調査では、4%が旅行中にけがや病気をし、うち4割が病院に行った。ただ、全体の約3割が旅行保険に未加入だった。未加入で治療を受ければ、保険で補償されず、医療費が高額になるが、保険に入らず、旅費を抑えたいという考えが優先されているようだ。

 こうした中、官民連携の対策が始まっている。東京海上日動火災保険は28年7月、訪日客専用の新しい型の保険の発売を開始。海外旅行保険は出発国で現地の保険会社の保険に加入するのが原則だが、訪日客が日本到着時にスマートフォンで手軽に申し込めるようにした。英語、韓国語、中国語で対応し、保険料は滞在3日で1540円、7日で2820円で、1千万円まで補償する。

 東京海上日動の広報部は「順調に加入件数を伸ばし、月によっては前年よりも10倍以上になる」としている。大阪観光局はホームページで訪日客向け旅行保険のバナー広告を掲出し、加入を後押ししている。

 また、東京海上日動は大阪府や病院と共同で、督促の仕方などをまとめた病院向けの医療費未払い対策マニュアルを作成した。東京海上日動関西公務金融部の窪田実次長は「治療や支払いを通訳対応するなどして防げるケースもある」と話す。

 政府は28年に2404万人だった訪日外国人客を、東京五輪・パラリンピックが開かれる32年には4千万人とする目標を掲げている。医療機関を利用する訪日客は今後も増加するとみられ、自治体や損保は対応を強化していく。

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