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対馬に船で向かう韓国人客が急増するワケ 訪韓“ご褒美旅行”の主役は中国企業から東南アジア諸国の企業へ

2018/01/04

 韓国メディアによると、船舶で日本、特に対馬(長崎県対馬市)を訪れる韓国人観光客が急増しているのに対し、船で韓国に向かう日本人客は減少が続いているようだ。一方で、米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備に対する中国政府の報復で訪韓中国人客が激減するなか、昨年は営業成績などが優秀な社員に企業がご褒美として提供する「インセンティブ・ツアー」(報奨旅行)で訪韓する中国人客も急減したのだが、中国以外の地域からの観光客は大幅に増えたという。韓国メディアによれば主に東南アジア諸国からの観光客で、日本人客に関する言及はない。

 中国人客比率は9%まで激減

対馬の観光名所、和多都美神社を訪れる韓国人観光客ら=昨年7月、長崎県対馬市

 THAAD配備に対する中国政府の報復による訪韓中国人客の激減はすでに織り込み済みだが、「インセンティブ・ツアー」でも同様の傾向が出た。政府の意を受けた中国企業が優秀な社員に企業がご褒美として提供する報奨旅行なのだから当然といえば当然の現象なのだが…。

 韓国紙、朝鮮日報(日本語電子版)は韓国観光公社の2日のまとめとして、中国以外の地域から韓国を訪れたインセンティブ・ツアーの客数が昨年18万3307人で、2016年の14万6867人に比べ25%も増えたと報じた。中国のインセンティブ・ツアー客が16年の12万3410人から昨年は1万7279人へと86%減少したのとは正反対の現象で出た。

対馬の新厳原港国際ターミナルビルで出航を待つ韓国人観光客=昨年10月、長崎県対馬市

 国・地域別では、ベトナムが前年より91%増の5万6246人で最も多く、次いでタイ(3万8381人)、インドネシア(2万6人)の順。台湾も前年比43%増の2万6021人を記録した。これまで訪韓インセンティブ・ツアー客が少なかったインド(387%)、ミャンマー(2847%)、トルコ(92・2%)なども大幅に増えたとしている。このため、すべてのインセンティブ・ツアー客のうち中国人が占める割合は、2016年の46%から昨年は9%へと大幅に下がった。

 朝鮮日報はこうした現象について、東南アジア諸国の経済が近年成長してインセンティブ・ツアーの需要が増加していることや、韓流ブームの影響で韓国に対する関心が高まっているためだと分析している。

 インセンティブ・ツアー客は人数、規模ともに大きく、一般の観光客に比べて平均消費額が30%以上高いとされる。同紙の取材に対し韓国観光公社関係者は「中国一辺倒の観光政策では『THAAD報復措置』のような危機に対処するのが難しい。東南アジアを中心に、韓国観光のPRやマーケティングをさらに強化していく」と答えている。ただし、「THAAD禍」で増加が期待された日本人客への言及はなかった。

 対馬に船に行き続ける韓国人客

 そして、さらに韓国が日本人客を取り込めていない状況を明かすデータが示された。韓国の釜山港湾公社は2日、釜山港国際旅客ターミナルを発着する韓日旅客船を昨年に利用した乗船者数は約141万700人で、2016年に比べ約20万6千人(17・2%)増加したと発表。ただし、日本人の占める比率は昨年は14年の半分まで下がったとしている。聯合ニュース(日本語電子版)などが報じている。

 釜山からは福岡、大阪、山口・下関、長崎・対馬行きの国際旅客船が運航されている。乗船者数は14年の約99万9千人から15年には約112万9千人に増加。16年に初めて120万人を超え、昨年は140万人を突破するなど増加を続けている。

 ただし韓国人乗客が大幅に増える一方で、韓国を船で訪れる日本人は減少の一途をたどっているという。同公社のまとめによると、14年は乗客全体のうち韓国人客は81・1%だったが、16年には86・0%に上昇し、昨年11月末は90・2%に達した。しかし、日本人客の比率は14年の18・9%から昨年には9・8%に下がった。つまり、半減しているわけである。

 こうした結果に韓国側にも言い分はあるようだ。韓国人乗客は特に対馬航路で大きく伸び、14年の約38万7千人から昨年は約72万9千人と3年間で90%近く増加。釜山港湾公社は、対馬への韓国人客が急増しているのは航空路線がない上、船の運航距離が短く1~2時間で行けるため日帰り旅行が可能で、免税品も購入できるためだと分析している。

 一方で日本人客減少については、格安航空会社(LCC)の日本就航が大幅に増えたことと、円安で韓国を訪れる日本人が全般的に減少した影響があるとみられると指摘。だが、LCC日本就航が急増しているのに、全体で訪韓日本人客が増えていないという現実もある。日本人の海外旅行先の調査結果で韓国は年々順位を下げ続けているという調査結果もある。

 韓国国民の8人に1人が日本に「おもてなし」を求めてやってくるという。韓国人にとっても日本の観光地が魅力的であるということにほかならない。韓国政府が本気で日本からの観光客を呼び込みたいのであれば、日本の取り組みの中にヒントを見いだせるかもしれない。

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