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ミシュランガイドは「新しいスタイルに進化した料理」

2017/12/27

 日本の料理店の“格付け”として、すっかり定着した「ミシュランガイド」。フランスのタイヤメーカーのミシュランが派遣する、お忍びの調査員の厳格な調査でつけられた「星」の数は、超一流料理店の証しとなる。しかしここ数年、料理のジャンルに「イノベーティブ」という言葉がみられるようになった。イノベーティブとはいったい何か。カテゴライズされた店主からは熱い思いがあふれてくる。(木村郁子)

欧州のシェフが「名乗る」

 先月、東京より一足早く内容が発表された「ミシュランガイド2018 京都・大阪」では、4軒の店が「イノベーティブ」とされた。イノベーティブのジャンルが関西版に表れたのは平成24年発行の「2013」版から。そのときには5店が掲載されたが、以前は「フュージョン」「現代風フランス料理」などとカテゴライズされていた。

 ミシュランガイド広報事務局担当の塚田真己さんによると、ヨーロッパで、自らのスタイルを「イノベーティブ」と称するシェフが現れたことによるという。「国籍にとらわれない料理人やシェフのオリジナリティーを取り入れた新しいスタイルに進化した料理を、革新的という意味を込めてイノベーティブと呼んでいます」(塚田さん)

創作から世界発信まで

 以前に使用されていたフュージョンは、直訳すると「融合」。一方、イノベーティブは「革新的」。2012版も、2013版も店を紹介する内容はほぼ同じなのだが、料理を生み出す側にとっては大きく異なるようだ。

 大阪市中央区にある二つ星レストラン「フジヤ1935」のオーナーシェフ、藤原哲也さん(45)は「フレンチ、イタリアン、日本料理などのジャンルに分けられると、どこにも属しようがない。イノベーティブという言葉が、まさに『腑に落ちた感じ』なんです」と好意的にとらえる。

 2012版ではフュージョンとされたが、藤原さんは「和・洋・中のいいところを表面だけ取り入れる料理とは違う」という。

 革新的スタイルを取り入れた先駆的名店とされるスペインの名店「エルブジ」(現在は閉店)の調理方法を取り入れ、液体窒素などを使った革新的な料理を提供しようと、藤原さんがこの地に店を開いたのが15年ほど前。そこからどんどん進化させ、新しい料理を作り出してきた。

 「イノベーティブとは、創作した料理で、料理人が世界に発信できるようなカテゴリーといえます」

現代的な解釈も加える

 今、藤原さんがつくりだすのは、「母性本能を刺激するような『ママの味』」だという。

 秋をイメージした藤原さんの頭に、「畑を焼く焦げたにおい」が浮かんできた。そこで、栗の皮でいぶした渋皮煮にクリームを添えた一品が生まれる。鮎、鱧、栗、クエといった日本の食材を使用し、米の油からドレッシングを作り出す。日本的な食材を利用するが、例えばお正月だからおせち料理の食材を-というような取り入れ方はしないという。

 「日本でどうやって食べられるようになったか、きっかけを知ったうえで、現代風に解釈して、皿に落とし込んでいく」

 進化の一方で、魚料理と肉料理の間に、口直しとして出す島根県益田市産のわさびを使ったパスタや、気泡を含ませたパンは、オープン当初から変わらずに出している。

 「世界の人々の記憶と、僕の記憶が合致するような料理を、これからも作っていくだけなんです」-。熱く語る藤原さんの話を聞いていると、料理の決められたジャンル、カテゴライズにとらわれず、“超える”ことの大切さが伝わってくる。

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