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カラフル「茶筌」いいね! 編み糸に彩り、インスタ発信 奈良・生駒高山地区の伝統工芸

2017/12/26

 茶筌(ちゃせん)の国内生産量の9割以上を占める奈良県生駒市の高山地区で、30代の最年少職人が茶筌の新たな魅力発信に取り組んでいる。竹の広がりを固定する編み糸に多彩な色を使って外国人観光客にアピールしたり、作品を写真共有アプリ「インスタグラム」で紹介したり-。後継者不足による衰退も危惧されるが「日本の文化を絶やしたくない」と話している。(藤原由梨)

熱は使わず削りの技術で曲げる

青や赤など鮮やかな編み糸を使った茶筅

 茶筌師、久保建裕さん(35)。高山地区の茶筌は室町時代から500年以上の歴史があり、久保さんも茶筌師の家の7代目だ。10代後半から祖父の作業を見て、一つ一つの手順を覚えた。「茶筌づくりは人それぞれやり方が違うので説明書はない。祖父の前に一日中座ることから修業を始めた」と振り返る。

 茶筌づくりは竹の皮むきから完成まで、大きく8つの工程に分けられる。このうち、久保さんが注力するのは「味削り」と呼ばれる繊細な作業だ。穂先の先端に近づくにつれて薄くなるよう刃物で削ってしごき、先を丸くカールさせる。これが茶の味を左右するといわれ「海外産は熱を使って曲げるが、高山茶筌は削りの技術で曲げる。全く茶の味は違ってくる」という。

深刻な後継者不足、新たな魅力を発信しようと

 生駒が日本に誇る伝統工芸も、深刻な後継者不足に直面している。高山の茶筌組合に加盟するのは現在18軒で、最盛期の3分の1程度に減った。職人も70代以上が増え、高齢化がますます顕著に。35歳で最年少の久保さんは「10年後には半分ほどになるかもしれない」と危惧する。

 そこで、茶筌の新しい魅力を発信しようと、黒、もしくは白が定番だった編み糸にさまざまなカラーバリエーションを用意。クリスマス用に赤と白と緑、イタリアやフランスなど海外の三色旗、プロ野球の阪神タイガースをイメージした黄、白、黒など、彩り豊かな茶筌の作製を始めた。作業は母の智美さん(61)と妻の幸子さん(34)が担う。

形は変えられないが… 最年少職人が「守りたい」

竹の穂先を削る茶筅師の久保建裕さん=生駒市高山町

 これまでになかった「カラフル茶筌」はさっそく、外国人観光客や海外へのお土産として人気を集めており、「今後は2020年の東京五輪に向け、五輪カラーにも力を入れたい」と語る。また、それらの作品を自身のインスタグラムで紹介し、若者にもアピール。インスタグラムを見て気に入り、ダイレクトメッセージ機能を使って注文する顧客も出てきたという。

 久保さんは「茶筌の形は完成されており、変えられないが、変えない大切さを守りたい。自分の代でこの伝統を終わらせたくない」と意気込んでいる。

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