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棚ごと運ぶ物流ロボット 倉庫の作業効率4倍超、55人が10人に 負担軽減で人材確保へ

2017/12/22

 人手不足を補うロボットの導入が、物流倉庫各社で進められている。インターネット通販の拡大で倉庫の需要が高まる一方、働き手は減少。お年寄りや女性ら力の弱い人でも働ける環境を整えて人材を確保し、作業を効率化させる狙いがある。(織田淳嗣)

 作業効率4・2倍

ニトリ子会社の倉庫に導入された「バトラー」。互いにぶつかることなく棚を運ぶ=大阪府茨木市

 平べったく「お掃除ロボット」を思わせる機械が、荷物を積んだ棚の下に潜り込み、棚ごと運んでいく。広いフロアの中を互いにぶつかることなく進み、人が仕分け作業をする場所まで無事たどり着く。搬送ロボット「バトラー」は独自の人工知能(AI)で緻密にコントロールされており、倉庫での作業効率を4・2倍に高めているという。

 家具チェーン大手ニトリホールディングスの物流子会社、ホームロジスティクスの物流倉庫「西日本通販発送センター」(大阪府茨木市)では、この10月からバトラー約80台が試験的に導入した。

バトラーと連動した作業スペース。作業員はほとんど歩かずに仕分け作業に専念できる=大阪府茨木市

 バトラーは、シンガポール企業のグレイオレンジ社が開発し、楽天で物流事業を担った宮田啓友氏が社長を務めるグラウンド(東京)が日本国内での販売を手がけている。国内企業の導入は、ホームロジスティクスが初めてだ。

 「1日2万歩」削減

 一般的な倉庫業務では、作業者は大量の棚の中を延々歩き回り、重い荷物もピックアップして運ばなくてはならない。1日平均で2万歩を歩くとされる。

 バトラーは棚の大きさの制約から、大きな荷物は運べないものの、運搬作業の大半を担う。作業者は所定の位置で、運ばれてくるのを待っていればよく、歩数は大幅に削減される。さらに作業スペースではバトラーと連動したシステムが稼働し、商品の仕分け先のかごを照明で示してくれる。フロアでは働く人の数を従来の55人から10人程度まで減らせる計算となった。

 ホームロジスティクスの松浦学社長は導入について「通販関連の荷物はこの5年で2・7倍増え、来年も伸びていく。倉庫会社は物流費を抑制しながら売り上げを伸ばす必要がある」と説明する。投資額は明らかにしなかったが、投資の回収は「3年半、最長でも4年」(松浦氏)という。

 市場は倍増

 この倉庫ではバトラーだけでなく、トラックからの荷降ろしをベルトコンベヤーを使って円滑に行う機械も導入。産業用機械メーカーの村田機械(京都市)と共同開発した「デバンニングマシーン」だ。

トラックからの荷下ろしをベルトコンベヤーで行う「デバンニングマシーン」。大幅な労働軽減ができる=大阪府茨木市

 荷降ろしや積み込みは力仕事の重労働だが、この機械を使えば作業者は段ボールをベルトコンベヤーに乗せるだけの流れ作業で済む。比較的高齢でも仕事ができるうえ、トラックの回転効率を上げることもできる。同様のロボットや機械の導入は同業他社の倉庫でも続々と進められている。

 経済産業省の調べでは、平成28年の消費者向けの電子商取引(EC)市場は15兆1358億円で、前年より9・9%増加。22年の7兆7880億円から倍増している。一方、厚生労働省によると、今年10月の有効求人倍率(季節調整値)は1・55倍で43年9カ月ぶりの高水準。倉庫業界では特に人材不足が進んでいる。

 バトラーを販売するグラウンド社の宮田社長は「現在は80台の契約だが、来年は3ケタの数字に拡大していきたい」と話す。ロボットの導入で、人手不足を補い利益を出していけるか。バトラー導入の成否は、EC市場の発展をロボットが支えられるのか、重要な判断材料となりそうだ。

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