Logo sec

たった5分で買い取り上限1000万円に達する日も 「即金」のメルカリ過熱

2017/12/14

フリーマーケットアプリ最大手「メルカリ」による品物をすぐ買い取ってもらえる新サービス「メルカリNOW(ナウ)」が注目を集めている。11月下旬の開始当初はサーバーがわずか17分でダウンするなど混乱したが、その後は、1日の買い取り総額の上限1000万円にたった5分で達する日もあるなど人気は過熱気味だ。これまでのメルカリと違い、見知らぬ個人ではなく、メルカリ子会社がすぐに現金化してくれるという安心感が人気の主な理由のようだ。

メルカリが始めた新サービス「メルカリナウ」の画面。バッグなどを撮影すると査定額が表示される

 メルカリナウは11月27日に始まった新サービスで、メルカリアプリ内の「NOW」のタブを選ぶと使える。従来のメルカリのアプリの機能拡充という位置付けだ。

 現在、ブランド品の洋服、靴が買い取りの対象で、ブランド名や「新品」「中古」など商品の状態を登録した上で品物を撮影すると、メルカリの過去の取引履歴などをもとにシステムが自動で金額を査定する。査定金額に納得すれば、すぐにメルカリのアカウントに「売上金」として計上され、メルカリ内の買い物などで使える。売上金は90日後にポイント(1ポイント=1円)に変換される。現金として売り上げを手にしたい場合は、最短で4営業日内に指定の銀行口座に振り込まれる。

 品物はメルカリ子会社のソウゾウが2週間以内に集荷して買い取り、メルカリがマージン(もうけ)を上乗せしてメルカリのアプリで販売する。これまでのメルカリの個人間取引では、品物を荷造りして配送するまでに手間や送料がかかっていたが、メルカリナウでは、無料で集荷して配送してくれるのも大きなメリットとなっている。

 古物営業法では本人確認が義務付けられていることや、メルカリで盗品が売り出されるなど不正利用が相次いだ事態を踏まえ、本人確認をはじめとする改善策も盛り込まれている。

 メルカリナウ開発責任者の石川佑樹さんが「より高く売れるメルカリとすぐに売れるメルカリナウ」と説明するように、メルカリナウではすぐに売れる代わりに、個人間で売買する従来のメルカリよりも安値で査定されるというデメリットもある。

 しかし、世の中には安くてもすぐに売りたいと思う人が多いようで、サービス開始当初から利用者は殺到している。メルカリはこの事態を予想して、1日の買い取り総額を1000万円に制限したが、メルカリ関係者は、予想を上回る利用者の急増にうれしい悲鳴を上げる。

メルカリが始めた新サービス「メルカリナウ」の画面。バッグなどを撮影すると査定額が表示される

 初日の11月27日は正午のサービス開始から17分でサーバーがダウン。その後午後2時半ごろからサービスを再開し、6時前には上限に達した。上限に達すると翌日の午前10時から買い取りを再開するシステムだが、28日以降毎日、10分程度で上限に達している。30日はわずか5分で終了した。

 メルカリは出品までの手間がかからないアプリの使い勝手の良さが特長で、若年層の利用者を増やしてきたが、「実際にお金が支払われるのか」「ちゃんと品物が届くのか」「購入希望者との価格交渉などがめんどうだ」など個人間取引への不安や不満の声も聞かれていた。

 若者の価値観やトレンドに詳しい、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平さんは、メルカリナウの過熱する人気について「メルカリは1対1で素人同士の売買だったが、素人だと逃げられるという不安もある。メルカリナウは、メルカリ子会社が買ってくれるので安心して(手持ちの品を)売れるというのが一番の理由だ」と分析する。

メルカリが始めた新サービス「メルカリナウ」の画面。バッグなどを撮影すると査定額が表示される

 一方、中古の品物を自宅に来て査定する古物の買い取り事業者もいるが、メルカリナウは自分で荷造りして集荷してもらうだけなので、「買い取り事業者に家に来てもらいたくないという層のニーズにもマッチした」とも指摘した。

 順調なスタートを切ったメルカリナウだが、既にトラブルも起きている。査定時には「(ほぼ未使用の)美品」と申告されて撮影された品物の写真も美品だったにもかかわらず、実際に買い取って届いた品物は「買い取れないほどひどい状態のもの」(メルカリ広報)というケースもあったという。

 こういう場合はメルカリ側が強制的に買い取りをキャンセル扱いにした上で、買い取り金額を没収する措置を取る。ただ、既に現金化されてしまった場合や、売り上げた金額(ポイント)をメルカリで買い物に使われた場合などは、アプリで買い取った金額を返金するように通知するなどの対応を取るが、そこまで悪質なケースはまだ発生していないという。

 同様のスマホの中古品買い取りアプリの「CASH(キャッシュ)」が6月にサービスを開始した際は、約16時間半で3億7000万円もの取引があり、サービスがパンクした例もある。キャッシュは上限を設定するなどの対策を取って8月に再開しており、メルカリもキャッシュの対策を踏まえた上でサービスを開始した。

 メルカリは平成25年のサービス開始以降、違法な商品や偽ブランド品の売買に使われるなど、個人間取引の“先輩”であるヤフーのオークションサイト「ヤフオク」と同様のトラブルに見舞われながら、取引監視要員を増やすなどの対応を進めてきた。メルカリナウでも想定外のトラブルが起きる可能性も十分にありそうだが、トラブル対応と使い勝手の良さの両立が求められる。

 さらに、毎日、開始10分程度で買い取りサービスを終了してしまうと、顧客離れにつながりかねない。想定より早期の買い取り上限の引き上げなどが必要となりそうだ。(経済本部 大坪玲央)

                   ◇

 メルカリ  インターネット上で消費者同士がフリーマーケットのように品物を売買できる国内最大手のスマートフォンアプリ。出品者は品物の写真と商品説明、価格を入力する。購入者が商品代金を運営会社に支払うと、運営会社は手数料を差し引いた金額を出品者に支払う。アプリの使い勝手の良さや売買成立の早さ、手軽さなどが特長。アプリと同名の企業が運営しており、英米でもフリマアプリを展開している。   

あわせて読む

流通業

もっと見る
「流通業」の記事をもっと見る

データ

もっと見る
「データ」の記事をもっと見る

規制緩和

もっと見る
「規制緩和」の記事をもっと見る

爆買い

もっと見る
「爆買い」の記事をもっと見る 「通信」の記事をもっと見る