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地域、「景観」に配慮し防潮堤抑制 熱海、伊東市で津波対策まとまる 伊豆の他協議に影響も

2017/12/10

 静岡県熱海土木事務所と熱海、伊東両市は熱海市の5地区と伊東市の10地区について「津波対策の方針」をまとめた。県は伊豆半島の10市町を50地区に分け、平成27年から津波対策の取りまとめに向けた協議を進めているが、方針がまとまったのは両市が初めて。いずれも日常生活や漁業、観光などの産業に配慮して防潮堤の整備は最小限にとどめる内容で、同じような事情を抱える伊豆半島の他の地域の協議にも影響を与えそうだ。

 熱海市は6地区に分かれ、協議中の網代地区を除く泉、伊豆山、熱海、多賀、初島の5地区で対策方針がまとまった。

 100~150年に1度とされるレベル1津波への対策について、景観などに配慮が必要な地域では防潮堤の新設・かさ上げは行わない▽1千~数千年に1度とされる最大規模のレベル2津波の対策は、避難路整備や避難誘導看板の増設といったソフト対策で対応する-ことが柱で、泉、伊豆山、初島の3地区では新たな防潮堤の設置やかさ上げは行わないことが決まった。

 中心部の熱海地区ではサンビーチ-マリンスパ間に高さ6・6メートルの防潮堤を整備する。レベル1津波が発生した際の同地区の必要堤防高は7メートルだが、海岸線の景観に配慮して防潮堤の高さを同区間内にある展望デッキと同じ6・6メートルにそろえた。その南の多賀地区では必要堤防高7メートルの地区の護岸の高さを6メートルと7メートルにする。

 一方の伊東市では、海の眺望の阻害や船着き場の使い勝手の悪化などへの懸念に配慮して、10地区全てで防潮堤のかさ上げは「当面行わない」ことが決まった。津波からの避難方向を示した路面標示を現在の55カ所から115カ所に増やすことや、津波救命艇1隻を伊東港に設置するなどのソフト面での対策を今年度中に行う。

 静岡県が25年6月にまとめた県第4次地震被害想定によると、本県でレベル1の地震・津波が発生した場合の人的被害は約1万6千人(うち津波による死者は約9千人)。県は同年11月にこの人的被害を10年後の34年度末までに8割減少させることを目標とする「県地震・津波対策アクションプログラム」を策定し、レベル1津波への対策として県内の海岸線121・5キロに防潮堤を整備することを決めた。

 ただ、住民との合意が難航し、28年度末時点での整備率は0・2%(0・28キロ)にとどまる。観光や漁業が主要産業の伊豆半島で防潮堤の整備をソフト対策に切り替えるよう求める声が強いためで、熱海、伊東両市の決定を受け、今後も伊豆半島の各市町で防潮堤の整備を最小限に抑える動きが加速すれば、県アクションプログラムの大幅な見直しは避けられなくなる見通しだ。

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