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[連載]宗さんがゆく!(3)たった1日で取扱高2.9兆円 「双11」から見た中国ショッピング事情

2017/12/06

訪日ビジネスアイをご覧の皆さま、こんにちは!

12月に入り、今年も残りわずか1カ月となりました。年末が近づいてきましたね。私は、11月中旬に奥多摩で紅葉を体験し、日本の秋を堪能しました。日本の11月の楽しみといえば、紅葉が代表的だと思いますが、中国人の11月の楽しみ、それは間違いなく『双11(シュワンシーイー)』です。

今年も盛り上がりを見せた「双11」

『双11』とは、毎年11月11日に開催されるタイムセールイベントのことで、11が2つ並ぶことから、中国語でダブルの意味がある「双」という言葉を使って『双11』と呼ばれています。電子商取引(EC)サイト最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)が2009年に始めたものですが、現在では中国国内のEC事業者はもちろん、ヤフーや楽天、イオンなどもこのイベントを取り入れるようになるなど日本でも開催されるようになりました。日本では「独身の日」というキーワードの方が、馴染みがあるかもしれませんね。

阿里巴巴集団(アリババグループ) 1999年に設立。BtoB(企業間取引)、BtoC(企業と消費者の取引)、CtoC(消費者間の取引)のオンライン取引プラットフォーム、決済サービス、クラウド・コンピューティング等のサービスを提供している。中国全土およびインド、日本、韓国、イギリス、アメリカなど70を超える拠点を持ち、190の国にインターネットを通じてサービスを提供している中国最大手のECグループ。

毎年、この日の取引総額が話題になりますが、今年も驚異的な数字がはじき出されました。アリババグループの取扱高は、11日の午前0時から開始28秒で170億円(1元17円換算)、3分で約1682億円、1日では過去最高の2兆8700万円の数字を叩き出し、盛り上がりを見せました。約2.9兆円という数字は、楽天の2016年1年間の国内EC流通総額に匹敵する金額だと東洋経済は伝えており、いかに『双11』が規模の大きい商戦日であるかをご理解いただけるかと思います。

11月11日の「双11」にアリババのサイトを利用した取引の商品総額を表示したスクリーン=12日、中国・上海(ロイター)

今年9年目に突入した『双11』は、とあるサイトが開催する「セールキャンペーン」というレベルを越え、「世界最大級のグローバルショッピングフェスティバル」に進化してきました。また、私は、この9年間で、中国人にとっての「ショッピング」の意味合いが変わってきているようにも感じています。それは、従来の「モノを買う」という行為から、「ショッピング自体を楽しむ」という傾向が強くなってきているように思えるのです。

「記念日」に位置づけた天猫のキャッチコピー

天猫(ティーモール)は、今年の『双11』のキャッチコピーとして「祝你双十一快乐(ダブル11おめでとう)」を打ち出したのですが、私はこのコピーがすごくいいなと思いました。「祝你~快乐」というのは中国の慣用句で、間に記念日を入れて使います。例えば、「祝你“生日”快乐」であれば、「お誕生日おめでとう」という意味になります。つまり、天猫は『双11』を「記念日」として位置付けたのです。

これまでセールイベントであることを全面に出していた天猫が、このようなコピーを用いたのは、「必要だから買う」「安いから買う」という買い物行動を、よりエモーショナルな体験に引き上げたいという想いがあったからではないかと考えています。

天猫(ティーモール) アリババグループが運営する中国国内最大のECサイト。法人が個人に商品を販売するモール形式のショッピングサイト。近年は「天猫国際」と呼ばれる越境ECプラットフォームも注目を集めている。

「みんな寝てない!まるで年越しみたい!」11月11日0時を過ぎた微信(ウェイシン)のモーメンツでこんな投稿を見かけました。消費者も『双11』を「記念日」と捉えており、『双11』の雰囲気も含めて楽しんでいることが分かります。「購入ボタンを押す」だけではないショッピングがそこにはありました。中国の国民的記念日と言えば『春節』のイメージが強いですが、国全体の盛り上がりや毎年の話題性を見ると、『双11』はもう十分記念日の地位を確立したと私は思っています。
 

天猫2017年『双11』広告クリエイティブ「祝你双十一快乐(ダブル11おめでとう)」(天猫のウェイボーサイト)

買われた物から見てみると…

2013年~2017年のブランド別売り上げランキングを見てみると、次のようなことが分かります。

  • 「苏宁易購(suning)」(中国系家電量販店「蘇寧電器」のECサイト)が2016年以降、2年連続1位
  • スポーツブランドのナイキとアディダスは2016年以降、2年連続トップ10に入り
  • 国産スマホメーカーの小米(シャオミ)、家電メーカーの海尔(ハイアール)、优衣库(ユニクロ)は連続5年、荣耀(honor スマホメーカー・ファーウェイのブランド)は連続4年トップ10入り

これを見ると、ここ数年はグローバルのアパレルブランドが伸びてきています。また、洋服などの単価の安いものだけでなく電気製品のような高額商品も積極的に購入されるようになり、生活の隅々まで、浸透してきていることがわかります。
ちなみに、中国にいる友だちに今年の『双11』で何を買ったのか聞いてみたところ、空気清浄機、浄水器、冷蔵庫、飛行機のチケット、子供服、日用品など、本当にさまざまなジャンルのものを買っていました。

「囤货」「剁手」「吃土」 SNSを見てみると…

『双11』前後、「微信(ウェイシン)」や「微博(ウェイボー)」といった中国のSNSでは、商品の情報交換をしたり、買ったものをシェアしたり、商品が届いて家中ダンボールで溢れかえっている様子を投稿したりと大盛り上がりを見せます。

「囤货」「剁手」「吃土」。これは、『双11』前後にSNS上にたくさん登場するキーワードです。「囤货」は「買いだめする」という意味で、セール中に消耗品をストック用に買いだめする人が増えたり、ネット上に買い溜めリストの記事ページが多数出回ったりすることから、人気のワードとなります。

「剁手」は「手を切り落とす」という意味なのですが、『双11』中にネットショッピングが止まらなくなり、後から請求金額を見て後悔した人たちが、「(もう購入ボタンをクリックしないように)手を切り落とすしかない」と自嘲の意味を込めて使用します。「吃土」は「土を食べる」という意味ですが、「(お買い物をしすぎてお金がなく、)土を食べるしか無い」という意味で使われます。

これらのキーワードからも、中国人がどれほど『双11』に夢中になり、また楽しんでいるのかがお分かりいただけるのではないでしょうか。11月11日当日はもちろん、その前後も人々は『双11』で頭がいっぱいになり、そしてその気持ちをSNS上で発信するというネットショッピング・プラス・アルファの行動をとっており、「ショッピング自体を楽しむ」という風潮が見られます。

私自身も、上海に住んでいた昨年までは、『双11』でたくさんの買い物をしていました。毎年、特に必要ないものまで勢いで買ってしまって後で後悔していたことも、今となってはいい思い出です。今年は参加できなかったので少し寂しい気持ちでしたが、こうして皆さまにご紹介できたことを嬉しく思います。少しでも皆さまのビジネスの参考になれば幸いです。

宗杏梅(そう あんばい) 中国江蘇省南通市出身。北京第二外国語大学日本語学科を卒業後、中国のPR会社やデジタル広告代理店勤務を経て、2017年6月に来日。ペイサーに入社し、ソーシャルメディアを活用したインバウンド支援を担当。坂本龍馬が好きで、上海龍馬研究会の設立・代表を務める。2017年9月には、NHK-BS1“「地球リアル」拝啓坂本龍馬様 篇”に出演した。日々、微信(ウェイシン)・微博(ウェイボー)をフル活用して、現地トレンドを収集。毎週末は、続々と来日する中国人の友人・知人を日本各地に案内し、中国人ニーズを研究している。

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